「デジタルお米クーポンのようなもの」「クーポンでもお米に限定しますから、それは買う場所が違うだけで現物支給だと思います」。当初、国からの交付金でお米10キロをご自宅まで配送するとしていた大阪府の吉村知事は、12月12日正午ごろの会見でこう述べました。吉村知事は会見で「本日の議会でも議論します」としましたが、当日の午後から始まった大阪府議会の一般質問(12/12~15)における食料支援事業に関する質疑と、知事会見の内容は噛み合っていますでしょうか。今回は、12月12日の知事会見と、同日の前田議員(維新)と杉本議員(自民)、14日の野々上議員(民主)の一般質疑の様子を書き起こしています。

 

  2022年12月12日(月)吉村知事のツイート

 

 

  2022年12月12日(月)の報道

 

 

 

 

  2022年12月12日(金) 11:50~吉村洋文大阪府知事 囲み会見より

会見の動画はこちら

クーポンでもお米に限定しますから、それは買う場所が違うだけで現物支給だと思います

  • 「議会でも今日、しっかり議論させてもらいたいと思います」としていますが、府議会の本会議開始の直前の知事会見で電子クーポンの話が出ていたことを、当日午後の質疑議員は知っていたのでしょうか。補正予算案の説明については、前回の書き起こしにある通りです。

7:49~
◇記者
毎日放送の**と申します。知事が先日表明されました、府内の子どもに対してお米10キロを配るという事業につきまして、*の方でお米現物支給以外にも、おこめ券**いろいろ検討していた話しが出ていますが、それについて知事は、お考えどうでしょうか。

◆吉村知事
いわゆるおこめ券そのものではないというふうに思いますけれども、地域限定で使えるような、そういったデジタルお米クーポンのようなものは、やはりやるべきだと思っています。それはスーパーとか、あるいは米穀店、小さな米穀店も府内に多くありますから、そういったところで購入できるような仕組み、これを検討していきたいと思います。議会でも今日、しっかり議論させてもらいたいと思います。

◇記者
もともとの発表時は、現物支給のお考えだったと思うんですけれども、ただ現物支給ではなくて、クーポンという形に切り替えるということでしょうか。それとも、現物支給もあればクーポンもあるという形なのでしょうか。

◆吉村知事
クーポンでもお米に限定しますから、それは買う場所が違うだけで現物支給だと思います。それから、お米以外でも、お米にアレルギーとかある人もいますので、お米以外の食料品について選べるような仕組みにはしたいというふうには思っています。ECサイトのようなもので選べるような仕組みにはしたいと思っています。そのお米について、これはお米が主になりますけども、お米の現物支給というのはもうそのままです。なので、そのままですけれども、それを何かこう、お渡しする方法として、例えばその方の近くのスーパーとか、その方が普段使っている米穀店なんかで取得できるようにする、その仕組みを構築したいと思っています。なので、現物支給は変わらない。なんか現金にするとかいうつもりは全くありません。お米限定のデジタルクーポンというようなものを、今、検討しています。

◇記者
***ないですけど、お米がメインであって、お米が食べられないアレルギーに対しては別途違うものを用意する。これは何かどういった食材を…。

◆吉村知事
あの、アレルギーもそうですし、どうしてもこれはお米よりも違う方がいいと言われる方、おっしゃる、食料、別の食料品のほうがいいとおっしゃる、判断される府民の方もいらっしゃると思いますので、そういった方用に、これは日持ちするようなものにはなると思いますけれども、食料の支援をしていきたいと思います。それは選べる形で、そこまで品揃えは豊富になるか分かりませんけれども、日持ちのするような食料品を、お米の代替品として選べるようにはしたいというふうに思います。アレルギーのある方もいらっしゃいますので。ただ、アレルギーでなくても、どうしてもお米は、じゃないものが、あのー、の食料だ、を、おー、というご家庭もいらっしゃると思いますから。お米は主食ですけれども。だから基本お米です。ただ、あのー、それ以外の食料品も、長もちするようなものについて選択できるような仕組み、これを今考えています。

◇記者
ありがとうございます。

 

全国共通おこめ券ではなくて、デジタルクーポンにする狙い

  • おこめ券は大量発行に時間がかかり、500円で440円分と中間経費もかかり、送料もかかる
  • 5,000円分のデジタルクーポンを配布した上で、地域限定で大阪府内43市町村で使えるような形に
  • ただし、吉村知事は「10 キロ相当の米というふうに思っていただいた方がいい」と強弁するので話が分かりづらい
  • 「1月の下旬に入札が終了して、2月頭が多分契約になると思う」
  • 「3月ごろに申請の受け付けをして配布が始まる」

14:37~
◇記者
読売テレビの**です。補正予算の話に戻りますけれども、お米のデジタルクーポン、その全米販の全国共通おこめ券ではなくて、デジタルクーポンにする狙いというのはどういうところにあるのでしょうか。

◆吉村知事
まず、おこめ券はですね、いろいろ、おこめ券で最初に検討したんです、これは。まずここ、お米を配布するという大きな目標のために、じゃあ、いろんな政策をいろんな実務的な精査っていうのをしてきました。その中で、おこめ券というのも当然、最初、誰しもが頭に思い浮かぶものですから、それも検討しました。で、やはりちょっと課題としてあるのが、おこめ券というのは単純に印刷・発行できるわけではなくて、やっぱり印刷は、発行するのに、いろいろ非常に時間や手続きが、どうしても大量発行する場合にはかかるということが一つと、もう一つは、おこめ券というのは当然お米券自体をそのものを批判する意味では全然ないんですけれども、お米券というのはもともと持っている性質上500円のおこめ券を500円では買えないんです。500円のおこめ券を買うには440円分のお米券を買う。つまりそこで60円の手数料が必要になってくる。手数料というか必要経費が、おこめ券そのものに必要になります。そうするとそれを、500円のものを500円で買えないわけですから、当然そこに440円ですので60円の経費がかかることに加えて、当然こういった事業をするための中間経費というのは必ず必要になってきますので、いかに経費を抑えながら府民の皆さんに効果的にお届けするのかということも非常に重要だと思っています。そういった観点からすると、おこめ券は時間の点もそうだし、中間経費ということを考えた点でも、非常にどうしても費用がかかる。また、併せておこめ券をお渡しするとなると、そのお渡しする際に送料というのはどうしてもかかります。それ。価値あるものを送ることになりますので、その分のお一人お一人の送料、非常に中間経費としてかかるわけです。なので、そういった意味から、いわゆる価値物である商品券、あー、おこめ券をお配りするというのは、検討した結果、適切ではないと判断をしました。なので、その一部報道でおこめ券というのが出てましたけれども、あれはちょっと違うと。報道としてはちょっと違うのかな。まあ、過去の情報をどこかから引っ張ってきてやったのかもしれないですけど、おこめ券を今なんか新たに検討しているわけではなくて、おこめ券はもともと検討した上で、これは適切ではないと判断をして、そして、その後の議論を深めていく中で、先ほど申し上げた、いわゆる地域限定のデジタルクーポンのようなもの、デジタルお米クーポンのようなものができないかということを、いま制度設計をしているということになります。

◇記者
デジタルにしたというのは、先ほど知事がおっしゃったように中間経費が必要であるということに加えて、金券ショップでの換金だとか転売だとか、それを防ぐ目的でもあるんですか。

◆吉村知事
あります、もちろん。金券としてお配りしているわけではなくなりますので、デジタルでお渡しすることによると、金券での換金ということもできなくなります。また、デジタルのデータを送るのもメールであったり、あるいは様々、簡便な方法で、いわゆる簡易書き留めのようなもので非常にお金のかかる方法で送らなくても府民の方にお渡しできる、管理ができるというところがありますので、デジタルの優位性というのは非常に高いと思っています。中間経費をできるだけ抑えていくという意味があります。もちろんデジタルを使えない方向けでも紙発行でも、QRコード等を発行できますので、換金できるものでもありませんし、そういった意味で換金ができるものでもなく、またいわゆる券そのものに中間経費が大きくかかるものでもなく、発送そのものに対しての経費が大きくかかるものではないという観点からすると、デジタルの地域限定のクーポンの方式にするのが、今もっとも有力な選択です。本日の議会でも議論しますし、これまで議会の皆さんにも当然さまざまな、僕が言ってから、ご意見をお聞きをしています。地域のお米店でも使えるようにというようなご意見も多いです。そういったものを兼ね合わせるような仕組みというのを今作っている。そして何より、府議の皆さんに、できるだけ中間経費を抑えながら、5,000円分のクーポンのお渡しを直接したいと思っています。なので、そのクーポンによって5キロ相当のもので、比較的こうコシヒカリとかそういうもので10キロ買われる方もいらっしゃると思いますし、比較的安価な米で量が多いのも買う方もいらっしゃると思いますし、いつも買っている地域のお米屋さんで買えるようにもできるだけしていくというようなことを今考えています。なので、10 キロ相当の米というふうに思っていただいた方がいいと思います

◇記者
米ですけども、電子クーポンの場合は、5,000円分のクーポンを配布した上で、それは地域限定っていうのは、大阪府内43市町村で使えるような形にしようというスキームでしょうか

◆吉村知事
そういうスキームです

◇記者
時期的なものというのが、9月議会後半議会で採決されたら、いつまでにこう、まあ多分紙じゃないのでスピードアップもできると思うんですけど、いつまでに配布したいとか。

◆吉村知事
3月ごろに申請の受け付けをして配布が始まるということになると思います。どうしても申請方式で、まず、そもそもこれから議会のご議論を経て、仮にご議決をいただいたとしても、それは(12月)20日ですから、そこから公募して、特にこのWTO案件になりますので、1か月ぐらいの入札期間が必要になりますから、事実上、事業者が決定するのがそもそも2月の頭ぐらいになると思います。1月下旬から2月の頭ぐらいに。1月の下旬に入札が終了して、2月頭が多分契約になると思うんです。2月ごろになりますので、どうしてもその期間は3月ぐらいになるというふうに思います。

 

現物での米を府から発送するっていうスキームは、もう基本的にはない

  • 「渡し方が変わった」
  • 「米の現物をお渡しするという事業は全くそのまま」
  • 「府が元々米を持っているわけじゃないから、そもそも発送できない」
  • 「僕の中で変わっている認識は特にない」
  • 「10キロ相当は十分買える5,000円分のクーポンをそのまま使えるように」

 

◇記者
確認ですけど、現物の発送っていうのは、知事が最初に囲み取材でおっしゃってる、現物での米を府から発送するっていうスキームは、もう基本的にはあまり考えてはいないと

◆吉村知事
ないです

◇記者
基本的には、もう電子クーポンで検討すると。

◆吉村知事
そうですね。電子クーポンで、そのお米限定のね。お米限定の電子、地域限定クーポンにして、そこで皆さんが普段使っているところで、その取得をできるようにするということです。なので、そんなに大きく変わっているとは思わないんですけどね。大きく変わってるというか、米の現物をお渡しするという事業は全くそのままです。なんかこう、府が元々米を持っているわけじゃないから、そもそも発送できないので、うん。だから現物の米っていうのは変わってないです。だから僕の中で変わっている認識は特にないです。ただその10キロ相当っていうのが10キロっていうキロでフィックスをしてませんので、10キロ相当は十分買える5,000円分のクーポンをそのまま使えるようにしますから。5キロ、5キロで買って、2,000円ちょっとぐらいのお米になると、**なりますし、あと10キロでもうちょっと安めのお米で量を多くという方もいらっしゃると思いますし、そこは選べるようになるということですけど、基本的なのは、10キロ相当の米を、現物をお渡しするということは、あの、渡し方はちょっと変わってますけど、直接府が何か決まった米を送るわけじゃないですけれど、でも、もともと10キロ相当の決まった米の銘柄を直接お送りするという、そういうものでは、あの、僕も話してませんから。うん。ただ10キロっていうのが言いましたからね。だから、10キロを相当の米を**して取得、現物をお渡しするということになります。その現物のお渡しの仕方がクーポンで、皆さんが普段買っているところで取得できるようにするということです。

◇記者
渡し方がやっぱ変わったっていうことは、庁内であったり各会派からも意見それぞれあったと思うんですけど、そういうことを総合的に勘案したうえで、やっぱり電子クーポン、結論…。

◆吉村知事
うん。いや、渡し方が変わったっていうか、その、10キロの米を、こう銘柄って色々あるわけですから、それをそのまま府が送るというのも、そこでもともとフィックスしてるわけじゃない。だから、米を10キロ相当分お渡しするというところについては、そこの核のところは特に変えている意識はないんですけどね。うん。その渡し方を精査していく中で、そういった渡し方でやるのが最も、議会の意見なんかも踏まえるとね、適切だろう。これまでずっと積み上げきた議論ありますけど、プラス、議会のご意見も踏まえた上で、適切な渡し方はそういう渡し方だろうというふうに判断したということです。

 

お米以外の食料品については、ECサイトを活用して自宅に届く仕組みに

25:06~
◇記者
**です。**なんですが、自宅に届くっていうことに**たと思うんですけど、そこが変わった理由っていうのは、配送手数料とかを勘案してということになる…。

◆吉村知事
そうですね。自宅に直接送るというパターンも当然あったかと思うんですけれども。やはりいろんな米の種類を選んで、そして取得するという意味では、あらためてその、特に小売店なんかに、小売店というか、近所の米穀店なんかでも取得できるようにする、選べる範囲を広げるという意味では、何かこう直接送るというよりは、そこで普段取得しているところで取得しやすいようにするというふうにした方がいいという判断をしました。

◇記者
自宅に届くという知事のスキームにすると、やっぱりどこか大手のところから一括で配布するというのは、ところを選らばざるをえなくになって、結果的に府内での消費が減ってしまうという、そういう指摘はあったということなんですかね。

◆吉村知事
あの、お米以外の食料品については、自宅に届く仕組みになると思います。それはECサイトを活用することになると思いますので。なので、自宅に届くのは、お米以外の食料品については、自宅に届く方式になると思います。当然、お米もそういった自宅に届くやり方もあったんですけど、そういうのでおっしゃる通りですね。やはり一番大きかったのは小さな米穀店、近所の米穀店でも買えるようにしてもらいたいっていう議員の声が非常に大きかったので、そこは何とか実現できるようにということで一部修正したというところはあると思います。

◇記者
ありがとうございます。

 

どうしても電子をうまく使えない方用にコールセンターを設置をして、郵送でも対応

26:58~
◇記者
MBS**と申します。僕も、電子クーポンの件ですけれども、取得しやすいようにする、まあこれまで物価高騰対策というと1万円のギフトカードだとか、電子クーポンも加えたりしたと思うんですけれども、その際に、どれだけ府民が使ったのか分からないといった**、なかなかデジタルだと難しくて使いにくいといった声もあったと思うんですけれども、その府民に**的には届けるっていう趣旨から、その辺の懸念点などはありますでしょうか。デジタルクーポンということで、なかなか利用が伸びなかったりとか、どれぐらい方が利用しているか分からないんじゃないかといった懸念点についていかがですか。

◆吉村知事
まず申請方式にいたしますので、その希望される方は申請をしていただくということになると思います。なので、その段階でもう一つは当然申請の意思があるわけですから、それを使う意思と当然イコールだと思います。それから、申請のデジタルの仕方があまりよく分からないという方に対してのコールセンターなんかも準備をしますので、基本的にはやはり電子申請をお願いしたいと思ってますし、その仕組みでいきますけれども、どうしても電子をうまく使えない方用にコールセンターを設置をして、郵送でも対応するようにしていきたいというふうに。

◇記者
先ほどの質問でもありましたけど、やはり電子クーポン**、換金を防ぐでありますとか、利便性とか、それってやっぱり大きな理由としてあるんでしょうか。

◆吉村知事
おこめ券との差ではそういうことがあると思います。

◇記者
ありがとうございます。

 

大阪府内の小さな米穀店でも買えるようにすべきだという議員の声が非常に大きい

28:36~
◇記者
**です。お米を希望されない方は5,000円分の他の食料を届けられるんですけれども、お米に関しては自分で出向いて重たいお米を持って帰らなきゃいけないというところもあって、他のものがECサイトで選べるんであれば、そっちを選択する方が思いのほか増えてしまう可能性もあるのではないかと思いますが、そのあたりは…。

◆吉村知事
ここは最終的にはお米以外もやはり選べるように、お米アレルギーの方もいらっしゃいますので、そういった選択ができるようにはしたいというふうに思っています。お米は主食ですから、やはりお米をベースにして、自分が普段買っているところで買いやすいようなものにするということをスキームにしたいと思っています。じゃあ、何でECサイトに(お米が)入らないのというと、やはり一番大きな理由は、大阪府内の小さな米穀店でも買えるようにすべきだという議員の声が非常に大きいですから、そこも、そこを配慮して、配慮というかそこを踏まえて、お米についてはそういった形で買えるように、近所の普段買ってるスーパーとかはもちろんそうですけど、そうじゃないところでも買えるようにしていくという選択肢を新たに設けた、修正したということが近いなというふうに思います。議員の声を受けて修正したということが近いです。

 

府議会の動画はこちら

  2022年12月12日(月)大阪府議会 本会議 前田将臣(維新)一般質問より

 

◇前田議員
物価高騰対策への府の支援について、子ども食料支援について伺います。国際的な原材料価格の高騰や円安の影響により、エネルギー、食料品等の価格上昇が続いており、家計の負担増が懸念されています。こうした難局を打開していくためには、我が会派としても、子育て世帯へ継続した支援を講じるよう緊急要望を行ったところです。パネルをご覧ください。先日、知事は物価高騰対策として、18歳以下の子どもに、お米10キログラム相当を配布することを表明されました。物価高騰の影響は大きく、例えば現金を給付するという選択肢も考えられると思いますが、このような中、今回なぜ18歳以下の子どもに対し、食料支援を実施しようという結論に至ったのか、知事の本事業に対する考えを伺います。

◆吉村洋文知事
物格高騰の影響が長期化している中で、特に生活に直結する食料品の高騰により、家計負担が増大をしています。とりわけ、子育て世帯においては、子どものいない世帯と比較して家計に占める食費の割合が大きく、その影響を強く受けていると認識をしています。そのため、子育て世帯を食費の面から直接的に支援したいという思いから、府内の18歳以下の子どもに対し、主食であるお米を中心に、他の食品も選択できる形で食料を配布するということとしました。直接的に食料を配布するということとしたことにつきましては、子ども、子育て世帯の食料、食費支援の政策であるという政策目的を明確にするためであります。また、なぜその政策を取ったかは、先ほど申し上げたとおりです。子育て世帯に対し、迅速かつ確実に食料を届けられるように、しっかりと取り組んでいきたいと思います。

◇前田議員
本事業についての知事の思い考えは理解しました。先月末に知事が本事業の案を発表して以来、我が会派より考えられる課題等についてご指摘をさせていただきました。同様に、他会派からも意見が出ているのではないかと考えます。これらを受けて、具体的に、どのような事業スキームを検討されてこられたのかを順次確認していきたいと思います。まず、全額、国の地方創生臨時交付金を活用するとはいえ、約77億円の巨額の税金が投入されることになるため、効率的かつ効果的に事業を遂行する必要があります。今回は、前回、18歳以下の子どもへの1万円のギフトカード等を送付したときに採用したプッシュ型ではなく、申請に基づき配布する手法にされる理由と、その手法を前提とした場合、事業開始はいつごろを予定しているのか伺います。さらに、本事業については、直接府民に還元されない事務費の縮減を図ることが重要であり、例えばオンライン申請を前提としたスキームを構築することが有効と考えますが、一方でデジタルの活用が難しい方への対応これも考える必要があります。これらを踏まえ、本事業について具体的なスキームをどう検討しているのか、福祉部長に所見を伺います。

◆福祉部長
今回の事業につきましては、市町村の事務手続きや事務負担などを鑑み、府民から見て事務効率が高いと考えられる手法として申請方式を採用することとしたものでございます。御議決後、速やかに事業者を選定するための入札公告の手続きに入らせていただいて、年度内に申請配布を開始したいと考えております。配布スキームにつきましては、オンライン申請を活用することによる審査業務の効率化など、事務費の縮減を念頭に置きながら制度設計を進めているところでございます。オンライン申請が難しい方につきましては、コールセンターを設置して対応する予定にさせていただいております。18歳以下の子どもさんにしっかりと支援が届くよう取り組んでまいります。

◇前田議員
先日、わが会派では、この事業について、米穀店関連団体の皆様から切実な声をお聞きしたところであります。具体的には、地域の米穀店としても施策効果を期待している反面、地域の米穀店を経由せずに配布すると各米穀店の顧客損失につながるのではないかといった声や、急激な購入による価格変動が起きるのではないかといった声がありました。このような声に対してしっかりと耳を傾け、事業スキームを検討されているのか、改めて福祉部長に所見をお伺いいたします。

◆福祉部長
お米の配布に当たりましては、デジタル技術を活用しながら、府民が地域の米穀店からも購入いただけるスキームを想定しているところでございます。さらに、大量のお米を確保できるんか、価格への影響の懸念等につきましては、お米以外の食料品も含め、複数の食料品から選択できるようにすることや、申請期間を3月ごろから6月ごろまで、配布期間は8月末までと、比較的長期間確保させていただくことにより、急激な価格変動などが起きないようにしてまいりたいと考えております。ご指摘いただいた点も含めまして、さまざまな観点から事業スキームを検討してまいりました。迅速かつ確実に食料は届けることができますよう、今後ともしっかりと取り組んでまいります。

◇前田議員
子どもへの食料支援は各地域においても非常に関心が高く、どのような方法で配布がなされるのか心配であるという声も多くいただいているところでありました。この事業スキームにより、的確かつ、最小限の経費で事業を実施していただきたいと考えますので、ぜひとも速やかな対応をよろしくお願いいたします。

 

 

  2022年12月12日(月)大阪府議会 本会議 杉本太平(自民)一般質問より

 

◇杉本議員
まず、子どもへの食料支援について質問をいたします。物価高騰はお米だけではなく、さまざまな商品に波及をしております。我が会派としては、使い勝手がいい現金給付が一番、もしくは事務費の懸念等はありますが、ギフトカードの配布が、使い勝手の面でお米の配布よりもいいと考えますが、なぜ今回はお米に対象を絞り込んだのでしょうか。福祉部長の所見を伺います。

◆福祉部長
物価高騰の影響が長期化している中、特に子育て世帯の食費の負担が増大していると認識しております。そのため、府内の18歳以下の子どもさんに対しまして、食料費の中でも一定量の消費が見込まれます主食のお米を中心に、他の食品を選択できる形で食料を配布することといたしました。子育て世帯に対しまして、迅速かつ確実に食料を届けることができるよう、しっかりと取り組んでまいります。

◇杉本議員
それでは、知事に伺います。物価高騰は食料品だけではありません。物価高騰対策は米の配布ではなく、好きなものを自由に購入できるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。米を支給すれば、米を購入する予定だったお金は他の物品に回されるだけです。さっきの質疑でも、食料支援を明確にするという政策目的という答弁がございましたが、米に限定した支援はナンセンスだと思いますが、知事のご所見を伺います。

◆吉村知事
まず食料費、物価高、食品の物価高が高騰する中で、とりわけ子育て世帯については、子どもがいない世帯と比較しても、やはりその食費にかかる負担が大きい、影響が大きいというものであります。また、その中でお米については主食でもあります。この子育て世帯、子どもたちについて、このお米、食料費、食料の支援をするということが、今回の政策目的であります。その政策目的をストレートに実行するために、このお米を選択するとしたわけであります。また、併せて当然、お米アレルギーとかもありますので、お米を食べられない方もいらっしゃいますので、他の食費も選択できるようにしてまいります。今回は現金支援、現金でいくと様々な他のものにも当然使えるものということにもなると思いますけれども、今回は子どもたちへの食料の支援だと、食費の支援だということを明確にするために、その政策目的を実行するために、その範囲を主食としたということです。

◇杉本議員
ちょっと議論がかみ合いませんけれども、次に行きます。引き続きお伺いいたします。今回のお米配布については、令和5年3月ごろから配布を予定していると聞いています。今年の夏、18歳以下の子どもたちに1万円のギフトカードを配布した際には、知事が夏休み中の配布と発言され、当該事業の予算を専決処分してから1ヶ月半のスピードで配布までこぎ着けました。それに比べますと、今回のお米配布のスピードが遅いというふうに感じます。

物価高騰対策として緊急で補正予算を編成したのであれば、今回のお米配布についても前回の1万円のギフトカードと同様、1ヶ月半で配布すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

◆吉村知事
できるだけ早く府民の皆さんにお届けをしたいと思っています。一方で、今回の事業ですけれども、市町村の事務手続き、それから事務負担なども考えて、府民から見て事務効率が高いと考えられる手法として、今回は申請方式を採用するということにいたしました。申請方式の手続きを進めにあたりましては、申請サイトの構築、それから事業者との調整に時間を要します。準備時間を考慮の上、年度内に配布を開始したいと思っています。子育て世代に対して迅速かつ確実に食料をお届けすることができるように、しっかりと取り組んでいきます。

◇杉本議員
申請方式の場合、本人確認が必要となり、健康保険証の添付などで確認する案もあると聞きますが、確認のための作業料や成り済ましの懸念があります。千葉県船橋市では、米10キロ相当の支援として、440円のおこめ券10枚を配布をします。おこめ券は全国の米穀店、スーパー、ドラッグストアなどで使用でき、有効期限はありません。お米に限定した支援を実施する場合、申請方式ではなく簡易書き留めでおこめ券を送付するプッシュ型のほうがいいと思いますが、知事のご所見を伺います。

◆吉村知事
まず、おこめ券については、当然、当初、最も当初の段階で検討したものでもあります。おこめ券について、先ほど議員も440円とおっしゃいましたが、実際、おこめ券というのは500円のおこめ券を500円で買えるものではありません。500円のおこめ券を買うと、それは440円分のおこめ券となります。つまり当初の段階で60円の、1割を超える手数料が必要になるということになります。また併せて金券ですので、このお渡しをするということに対しても非常に多くの事務費がかかるということになります。ですので、おこめ券以外の方法で検討を。あとは、おこめ券を発行するにおいても、単純に印刷して発行するのではなくて、内部でさまざまな手続きがあるということも聞いております。非常に多くの府民の皆さんにお渡しをするということになりますので、おこめ券については難しいだろうという判断をいたしました。また併せてこれは、市町村の場合は名簿を持っておりますので、名簿というか、住民の個人の情報というのは、市町村は持っていますが、大阪府は持っていませんですので、プッシュ方式とする場合には、それから国のいわゆるマイナンバーも整備されておりませんので、つまり情報がないという中でありますから、43市町村全てすべての同意がないと、なかなかプッシュ型では難しいということになります。今からこのプッシュ型で市町村同意ということになると、これは当然**審にもかけなければなりませんし、この議案の提案ということも含まれて、時間がかかることになるだろうというふうに思っています。ですので、今回あとはやはりお米に加えて、先ほど申し上げた通り、お米以外の選択もこれは当然必要だとなりますから、いずれにしても府民の皆さんの選択が必要になると思いますので、申請方式とするというようにした方が合理的だと判断したところです。

◇杉本議員
るる、ありがとうございます。もう少し議論したいんですけども、ちょっと時間がございませんので、次の質問に。

 

 

  2022年12月14日(水)大阪府議会 本会議 野々上愛(民主)一般質問より

 

◇野々上議員
最後に、補正予算からお伺いをいたします。今議会で上程されている、令和4年、2022年度9号補正予算案において、18歳以下の子どもにお米10キロ相当を配布するという事業、非常に話題になりましたけれども、こちらが盛り込まれております。この事業は、国の地方創生臨時交付金を活用したものでありまして、緊急経済対策の一環で地方に急遽交付された経緯があり、また、まだ事業化途中ということで、まだまだ検討事項が多くある中で提案されているというのではないかなという印象を受けております。まず最初に、なぜ今回、お米、お米を配布することになったのかということについて、福祉部長の見解をお伺いいたします。

◇福祉部長
物価高騰の影響が長期化しております中、特に生活に直結する食料品の高騰により、家計負担が増大しておりまして、とりわけ子育て世帯におきましては、子どものいない世帯と比較いたしまして、家計に占める食費の割合が大きく、物価高騰の影響を強く受けていると認識しているところでございます。そのため、子育て世帯を支援させていただくという観点から、18歳以下の子どもに対しまして、主食のお米を中心に、他の食料も選択できる形で、食料を配布することとしたところでございます。子育て世帯に対しまして、迅速かつ確実に食料をお届けできるよう、しっかりと取り組んでまいります。

◇野々上議員
ご答弁いただきましたけれども、今回のこの事業での対象は、胎児も含めて18歳以上のすべての子どもとされておりまして、およそ139万人が対象者。仮に全員がお米10キロ配布されると、それが1万4,000トン近くものお米が必要になるというわけで、これだけの量の確保はかなり困難であると危惧をしておりますけれども、今後の確保の見通しも心配になってきます。また、この事業、一気にこの1万4,000トンのお米が消費されることになり、お米の業界に与えるインパクトも相当大きいのではないかと考えております。実は昨年、私の地元の高槻でも、こちらは高校生を対象とした地元産のお米の配布事業というのをおこなったんですけれども、やはりそのあと地元産のお米の、非常に市場からの影響というのが生じまして、例えば学校給食なんかで非常に現場が苦労されたというようなことも、小さな町でも起こっていることであります。実際、この間、私のところにも米穀業者の皆さんから多くの心配の声が上がっており、地域の米穀店がこの事業によって廃業に追い込まれるようなことになってはならないと懸念をしております。この事業が米業界に与える影響については、どのように検討を加えてこられたのか、引き続き福祉部長にお伺いをいたします。

 

◆福祉部長
お米の需給がひっ迫するのではないかという点につきましては、お米以外の食料品も含め、複数の商品から選択できるようにすることや、申請期間を3月ごろから6月ごろまで、配布期間につきましては3月ごろから8月末までとし、比較的長期間確保させていただくことによりまして、そのような影響が起きないようにしてまいりたいと考えております。また、米穀店等への影響につきましては、先に申し上げたお米の確保と合わせ、お米の配布に当たりましてはデジタル技術を活用して、地域の米穀店からも購入できるスキームを想定しているところでございます。

◇野々上議員
ご答弁いただきまして、現在、事業の調整中ということが分かりましたけれども、現物支給というキーワードであったり、デジタルお米券であったり、ちょっといささか混乱が見られますので、この辺りしっかりと整理して、ギフトカードや時期を選べるような配布状況ということで対応をいただきたいというふうに思いますが、この点いかがでしょうか。また、今回の事業スキーム77億円という非常に大きな事業ですので、広域の大阪府が行っていくということは一定理解をしますけれども、やはり、特に子育て世帯への直接支援というのは、きのう知事も答弁で触れられておりましたように、実際に情報を持っている市町村がこれまで積極的に行ってきたものでもあります。今回の事業、そもそも広域行政が担うべき事業であったのか、この点についても、福祉部長の見解をお聞かせいただきたいと思います。

◆福祉部長
今、ご質問いただきました、デジタル技術を活用したというスキームについては、構築しているところでございます。そして、ギフトカードではなく、直接的に食料を配布させていただくということにしたのは、子ども、子育て世帯の食料食費支援という政策目的を明確にするためということで、今回こういった資金を取らせていただいたところでございます。本部がこの事業を実施させていただくことにした理由につきましては、本事業の財源に充てる地方創生臨時交付金につきまして、国からエネルギー・消費・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細かに必要な事業を実施する取り組みに、より重点的、効果的に活用するものとして交付されたものでございまして、具体的な事業メニューといたしましても、生活者支援、事業者支援に係る8つのメニューが国から示されていたところでございます。その中で、府といたしましては、子育て世帯への支援、とりわけ食費の支援が最も必要だとの判断から、この事業を実施させていただくということにしたものでございます。

◇野々上議員
子育て世帯への支援ということでは、夏にクオカードペイというのも支給されましたけれども、このクーポンの利用状況が企業秘密を理由に公開されず、事業効果がはかれないという事態が起こっております今回のお米は、そのようなことにならないようにしっかりと対応していただくことと、市町村との棲み分け、補完性の原則にのっとった広域行政たる大阪府の役割を改めてしっかりと議論する契機としていただきたいと思います。

 

  • 「前回、18歳以下の子どもへの1万円のギフトカード等を送付したときに採用したプッシュ型」(維新・前田府議)
  • 「前回の1万円のギフトカード…1ヶ月半で配布…プッシュ型のほうがいい」(自民・杉本府議)
  • 「住民の個人の情報というのは、市町村は持っていますが、大阪府は持っていません。プッシュ型で市町村同意ということになると時間がかかる」(吉村知事)
  • 「申請期間を3月ごろから6月ごろまで、配布期間につきましては3月ごろから8月末まで」(福祉部長)

次回は、この議案について「委員会付託」するかしないかが争点となっていきます。