凍るように冷たい風を感じながら、加茂川を二人で歩き、


白川のフランスレストランに向かった。


一眼レフのカメラ ニコンF3 のお礼にと


デレックが提案したから。。。


落ち着いたダークブラウンの木製のフレームのアンティークなドアを開けると


店の中は 静かで 暖かく、冬の午後の日だまりにいる心地よさがあった。


シェフと、一人のウェイター以外には 誰の姿も見受けられなかった。


魚のコースを二人とも選んで、グラスで白ワインをオーダーした。



向かい側に座った デレックの頬は 透けるように白く、スコテッシュらしく紅潮している。


金色のかすかな産毛 、 睫が 穏やかに輝いている。



「だんなさんの 今日の行き先を知らないっていうのは どういう事???」


と不思議がられて、


私と夫の 暗黙の了解が沢山ある 少し変わった結婚生活について


ポツポツと 私は語りだした。


「特に深い意味はないけれども、夫は 自由であることを 好むので、朝出かけるときは

一応、毎日仕事 って感じで出かけるし、何時に帰ってくるか 聞かれることを拒む。

夕食は 毎日外食してくる。

行き先、帰宅時間、については 一切 聞かないことにしている


と、話していると、


私は なんだか 私は 自分が本当に 愛されているのか? と


これまでは、疑問に感じていなかった 大きな疑問に心が占領されだした。


私も ある程度 自由だから こんな結婚生活は 楽でいいと 喜んで受け入れていたのだが、、、、、



私の話をデレックは 静かに 耳を澄まして聴いてくれた。


熱心に 聴いてくれた。




ウェイターが 次々と お料理を出し、お皿を引き、その態度は とてもプロフェショナルで、


何も話は 聞いていませんよ 的な そんな 優しささえ感じられた。



以外にも デレックは 私に 同情しだしたようだ。



日本人の妻って 大変だなって かんじかな



ゆったりとした 長いランチ。日常から 切り離されたような 空間。




デレックと 私は 彼の部屋に向かうことにした。