塾通信【ENDEAVOR】2014年3月号
< 正しい価値観を持ってほしい >より抜粋
毎年、受験期になると
思い出すことがあります
それは、私が中学1年生の冬のこと
昼食時、友達6人と食事をしていると
進路のことが話題にのぼりました
将来何になりたいのか
どこの高校に進学したいのか
どんな高校があるのか…
今、考えれば、まだまだ中学１年生。
すべての公立・私立高校が
いったい、どんな高校であるのか
知るわけがありません
生徒、学年、先生が違えば
学校の特色や雰囲気などは
すぐに変わってしまうもの
しかし、そんなことなど考えもせず
「〇〇高校は偏差値が高い」
「××高校は頭悪いんでしょ」
「△△高校は事件があったんだって」と
さもすべてを知っているかのように
何も知らない中学1年生たちは
大声で話していました
すると、その中の１人が
「ねぇ、お兄ちゃんはどこを受験するの？」と
私の隣にいた「ようちゃん」に
話しかけたのです。
ようちゃんのお兄ちゃんは
同じ中学校の３年生でした。
「私、何も聞いてないけど」と答え
「まだ決めてないんだと思う」と
ようちゃんは笑顔でした
昼食後、「まみちゃん、ちょっといい？」と
ようちゃんに連れられ
誰もいない玄関の靴箱の陰に行くと
ようちゃんの目からは
大粒の涙がポロポロと・・・
まみちゃん、あのね
私のお兄ちゃんはね
さっき話してた××高校を
受験するんだよっ
ようちゃんの一言で
私は、事の重大さに気づきました
毎日、毎日お兄ちゃんは
一生懸命勉強してるの
だけど、だけど、私
みんなの前で
お兄ちゃんが××高校を受験するって
どうしても言えなかった
誰が悪いわけでもないんです.。
何も知らない中学1年生たちが
周囲の大人から聞いたことを
ただ話していただけなんです
でも、考えがあまりにも浅かった
自分たちの発言が
大切な友人を、周囲の誰かを
無意識に傷つけることになると
あの時の私たちは
気づくことができなかったのです。
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