2018年に公開された岡田准一主演の映画「来る」は、2015年の澤村伊智の小説「ぼぎわんが、来る」を原作としたホラー映画だ。原作小説は第22回日本ホラー小説大賞で大賞を受賞している。またこの作品は、作中に登場する霊媒師姉妹を主人公とした比嘉姉妹シリーズの第1作目となっている。2018年には漫画化もされている。

 

 私はまだ原作を読んでいないのだが、漫画版は既読済である。ちなみに漫画は原作に沿った作品になっているのか、映画版とはかなり内容が違っている。

 

 この作品の特徴は、ただのホラー映画としては描かれていない点である。周囲からは良い人間に見えるのに中から見ると違う一面が見えてくる、そんな人間関係の複雑さを同時に描いている作品でもある。

 もしも興味があれば、原作を読んでみてはいかがだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

・邦画「来る」を観た感想

 

 個人的採点 ★★★☆☆(3点/5点満点中)

 

 映画の冒頭は、妻夫木聡演じる田原秀樹が「アレ」と呼ばれる存在に怯え、電話口から女性のアドバイスを聞き対策を講じているシーンから始まる。

 

 序盤のあらすじはこうだ。

 お調子者だが家族を大事にするイクメン(育児をするメンズの略)と思われている田原秀樹の周囲で、不可解な現象が起こるようになる。妻と幼い一人娘に危害が及ぶのではないかと怖くなった田原が大学の准教授で民俗学者である友人津田に相談すると、彼はオカルトライターである野崎を紹介してくれる。

 野崎は霊媒の力を持つキャバ嬢、真琴と共に田原家の調査を始めるのだが、その「何か」は彼らが敵う相手ではなかった。

 だが妹の危機を察して真琴の姉琴子が彼らの前に現れる。琴子は強力な力を持つ霊媒師で、その「何か」に立ち向かう。

 

 果たして彼らは、その「何か」に打ち勝つことができるのだろうか。

 

 結末に関わってしまうので細かくは書かないが、怪奇現象が起こる原因に田原の一人娘が関わっており、物語が進むにつれ、決して幸せな家庭ではなかった田原家の姿が浮き彫りになっていく。

 映画版は、最後曖昧なまま終了する。おそらく観ている人に、彼らは「何か」に打ち勝ったのか、それとも結局何も変わらなかったのかを個人個人で判断してもらうためなのだろう。

 

 私の感想はネタバレになってしまうのであまり細かく言わないが、大勢の人が倒れていく中で「何か」と戦っていた琴子はどうなったのか、それが気になったとだけ言っておこう。

 

 もしもみなさんの中で興味を持った方がいましたら、ぜひこの作品を観てはいかがでしょうか。