歌舞伎町の路地裏。
行き場を失った十五歳の少年・純平は、三人の男に囲まれ、死を覚悟していた。
そこへシレッと現れた、どこか頼りなさそうな青年。
その名は、ガブリエル空次郎。
殴れば、殴った者に返る。
撃てば、撃った者に返る。
嘘をつけば、その嘘自身が矛盾となって返ってくる。
空次郎は無敵だった。
だが、自分からは決して攻撃しない。
彼の本当の力は、人の「怒り」「不信」「不安」「疑問」「賛同」を読み取り、敵同士にもう一度話をさせること。
相手を倒すのではなく、自分で武器を置かせる――世界最強のファシリテーターだった。
純平との出会いから始まった小さな物語は、やがて企業、犯罪組織、独裁国家、戦争、金融、そして世界を裏から管理しようとする巨大勢力へと広がっていく。
それでも空次郎は、王にならない。
神にもならない。
世界を支配しようともしない。
彼が残していくのは、ただ一つ。
CONTRIBUTION――誰かのために何かを差し出すという、新しい価値。
「俺みたいになる必要はないよ。
お前より困ってる奴を、一人助けろ。」
救われた少年は、やがて誰かを救う人間へ成長する。
そして世界を変えた空次郎が最後に選んだ姿は――なぜか、昼寝と源泉かけ流しの温泉が大好きな、ちょっとマヌケなパイボールドのミニチュアダックスだった。
最強なのに戦わない。
世界を救ったのに王にならない。
未来軍師・番犬隊長ガブリエル空次郎。
人が自分の力で未来を選び直すための、大活劇と人情と笑いの物語。
