OVA「桜華絢爛」第一幕〜四幕でエンディングに流れる歌。
 2曲しかない藤枝あやめ名義の曲の一つだが、『夜のサンバ』が降魔・殺女の歌であると考えると、藤枝あやめの歌は実質的にこの一曲のみとも言える。
 題名は、1930年代にジャズのスタンダードナンバー「My Blue Heaven」を日本の喜劇王エノケンなどが和製ジャズとして歌った曲「私の青空」からの引用であろう。
 曲調の方はグレン・ミラー楽団の「ムーンライト・セレナーデ」に似せた、クラリネットを前面に出したスローナンバーで、1930年代終わりから1940年代のビッグバンド・ジャズの雰囲気になっている。
 ビッグバンドジャズは演奏のスイング感のほかにも「全員がアドリブをとる」のが特徴だが、本曲では特にピアノの変化が大きく、テンションが足されて如何にもジャズらしいジャズ、という雰囲気になっている。おそらく和音進行だけが指定された、ピアニストの裁量にまかせた作りなのだろう。

編成
 いわゆるジャズのフルバンド(標準的な編成なら17人)にクラリネットとシンセを加えた編成で、クラリネット、ミュートされたトランペットセクション、トロンボーンセクション、サックスセクション、ピアノ、エレキギター、シンセ、ウッドベース、ドラム。

調性とテンポ
 調はト長調で、Bメロの途中で五度上や三度上の調に一時転調したり、感傷的な印象の和音(サブドミナント・マイナー)を繋いで転調する複雑なコード進行になっている。4/4拍子でテンポは86BPM。


コード進行の概略

●イントロからAメロ終わりまでは G Em Am D の基本的な和音の繰り返しなのだが、イントロ終わりを不安定なオーギュメントコードにして「溜め」を作ったり、ところどころ9thやフラット9th の音を入れたり、3度の音を半音上げる(sus4)など、単純な繰り返しにならないよう変化がつけられている。

●Bメロは技巧が凝らされていて、Bm Em C D Am Emまでは基本的な和音だが、「思うとき」の「き」で五度上のニ長調の C#m7(♭5)になり、F# Bm でト長調に戻して G Bm G C 「こころにうつる」の「こ」で三度上のロ長調のB、Esus4からロ長調のサブドミナントマイナーのEm、「あおぞーらは」の「ぞ」でロ長調のサブドミナントマイナーの代理コードC#m7(♭5)、 ト長調に戻ってEm C の次の「かがやいてる」の「や」でサブドミナントマイナーのCm、メジャーコードのCに戻してから D Am Em D。

 Bメロには、同じ和音なのに役割が違う「技」がちりばめられている訳だ。
 聞いていて「何か感じが違う」と思うところに音楽的な技が使われているのだが、特に「胸を締め付けるような感覚」をより明確にするため、前後に同じCのメジャーコードが置かれてマイナーコードを強調している、「青空は輝いてる」の「や」は、意識して聞くと技がわかりやすいのではないだろうか。


ライブでの歌唱
 かえでではなくあやめの歌である(同じ折笠愛さんが出演していても役が違う)ことで、歌謡ショウで歌われる機会が無かったのだが、2006年の新春歌謡ショウ「跳んでる花組♪」では、花組の出し物として恒例になっていた「アカペラ」に取り上げられ、無伴奏でコーラスとして歌われた。
 また2010年の「帝都花組ライブ」では、ライブのエンディングっぽい扱いでショートバージョンが歌われた。


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