ゲーム「サクラ大戦」のエンディングに流れる歌で、様々に廻る「想い出」をメロディからも表した、甘く懐かしく美しい曲。
 過去を振り返るという内容であるため、通常のショウのエンディングなどには使いづらい特別な曲である。公平先生の談話によると「使うと終わってしまう」曲とのことで、ライブでも特別な意味のある時に歌われる。
 2012年及び2013年の奏組舞台公演では、蒸気ラジオから流れてくるシチュエーションが印象的に使われた。
 『檄!帝国華撃団』がゲームユーザー向けの主題歌である事とは対照的に、本曲は太正世界の中で帝国歌劇団の代表的な曲として広く知られている、という設定の歌である。

特徴
 長調と短調が境目なく一体化したメロディライン。
 リズムは2拍3連の一種で1小節を3-3-2に分ける、いわゆる「ピアソラのリズム」が使われ、さらにそれを半分にしたものも織り込まれる。
 テンポは最初のスローパートが80BPM程度で緩急があり、Aメロから134BPM(測るとわずかに遅い)になり、最後はまた80BPM程度になる。
 ジャズのビッグバンドにラテンパーカッションと弦楽器が加わった、アメリカ大陸とヨーロッパが混じったような編成は、戦前~戦中の上海租界で多くの国の文化が交じり合って生まれた「夜来香」を想起させるようなゴージャスなもの。

調性
 変ロ長調を基本に、長調と短調が自在に入り交じる。
 長調から短調への変化が起きる所で「胸がキュンとする」印象を作り出している。
 明確な転調は無いが、「命尽きても」の所で5度上のヘ長調に一時転調する副五度の技法が使われている。
 間奏の終わりのメロディが半音階になっているが、テンションを組み合わせて構成したクリシェである。

編成
 アルトサックス、テナーサックス、トランペット、トロンボーン、クラベス、ボンゴ、コンガ、ドラムセット、ウィンドチャイム、鐘、エレキギター、エレキベース、ピアノ、シンセ、女声コーラス、バイオリン、チェロ。

構成
 スローパート→A→A’→B→B’→間奏→A’→B→B’→B→B’→C→エンディング(B’がスロー化したもの)
 イントロがなくアカペラ歌唱から始まる。間奏は管楽器の掛け合いで演奏される。

歌の音域
 G3~D5で、さくらの音域に合わせて作られている。D5はサクラソングの地声の音域としては最も高い音なので、高音域はさくらとカンナ以外が裏声になる。このため花組のコーラスに声を張る感じがなく優しく溶け合う印象になっている。
 また、録音当時に裏声を使っていなかったマリアはオクターブ下を歌い、C3~になっている。この低い音域は一般的に女性には非常に出しづらい。

タイトル
 『花咲く乙女』というタイトルは、1965年の舟木一夫主演の映画『花咲く乙女たち』とその主題歌からの引用と思われる。


歌手が違うバージョン
 南青山少女歌劇団による「サクラ大戦ミュージカル ~花咲く乙女~」では南少乙女組が歌っている。
 シンセの電子音によるリズミカルなアレンジで、かなり印象が違うものになっている。編曲は玉麻尚一さん。

 田中公平さんが2011年夏のコミケで販売した「Koska olet taalla」には、田中公平さん自らによる歌唱バージョンが収録されている。
 バンド編成は、アルトサックス、ドラム、エレキギター、エレキベース、ピアノ。


ライブでの使用
 特別公演や節目になるようなイベントで歌われている。
 歌謡ショウ「愛ゆえに」、乙女組ミュージカル、花組クリスマスのアカペラバージョン、新世紀カウントダウン、すみれ引退記念の新春歌謡ショウ、「さくら祭り」(2003年3月のイベント・映像のみでCDには収録されていない)、歌謡ショウファイナル「新・愛ゆえに」、武道館ライブ2。
 このうち、生バンド演奏だったのは歌謡ショウ「愛ゆえに」(編曲は宮崎慎二さん)と歌謡ショウファイナル「新・愛ゆえに」(編曲は田中公平さん)。
 「新・愛ゆえに」バージョンは歌詞の最後が『夢のつづき』から引用した「麗しの帝国歌劇団」になっている。


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