ゲーム「サクラ大戦」での、アイリスのキャラクターソング。
 ゲーム中のキャラ別エンディングで一部が流れる。フルバージョンはアルバム「帝撃歌謡全集」に収録。

特徴
 テンポの早い3拍子で、小節4つがひとまとまり→2つ→1つ、と変わる事で緊迫感を出す構成。
 163~167BPM程度で、イントロが早く歌は遅め、随所にリタルダンドで「溜め」が入る、という緩急が付けられている。
 調はニ短調で始まり、サビでニ長調になる。同主調での短調→長調の変化は、ドラマチックなのでサクラソングでもよく使われる。
 フランスをイメージする楽器として、アコーディオンが使われた最初の曲。
 少女の恋についての歌だが、俯瞰的な見方をしている歌詞のため、アイリス本人がこんな言い方をするだろうか、という点では違和感がある。単純なキャラクター紹介ソングではなく、シャンソンらしい愛の歌にアイリスの心情を重ねた曲、という事だろう。

構成
 イントロ A A’ B B' 間奏 A’ B B' B B' アウトロ。
 Aパートは26小節、A'パートは19小節と、8の倍数ではなく変化を付けている。最初は4小節ひとまとめでシャンソン風のゆったりした12拍リズム→2小節単位で緊迫感が増す→1小節で緊迫感が最も強くなる→4小節単位に戻る、という作りから来る小節数である。
 マイナーのAとメジャーのBの二種類のメロディが繰り返され、伴奏がどんどんドラマチックになっていく。マイナー調で語られる切なさと、メジャー調の希望が交錯し、最後は希望が勝って終わる構成。

和声
 サビに入ってからDメジャーに転調、サブドミナントの代理コードEmに対してツーファイブワン進行であるF#m7(-5)→B7→Emで、その後のドミナント進行であるA7→Dに行くのをずっと待たせる流れになっている。ここは歌詞も「もう少し待っていて」で、歌詞とコード進行が合わせてある。
 その後はE7→A7→Dのドッペルドミナントだが、Dに行く前にA7(+5)でタメを作り、少女の強いあこがれに則した「待ちきれなくてじれったい」感じを出している。

編成
 ピアノ、アコーディオン、ウッドベース。
 サクラソングの中ではかなり小さい編成である。
 低音部にピアノだけではなくベースパートを別に付けるのは、ピアノの低音部は他の弦の共鳴のため音程感がはっきりしないので、低音に専用の楽器がある方が音がクリアになるため。


ミュージシャン
 アコーディオン担当は鶴来正基さんがクレジットされている。キーボードを中心に多彩な楽器を操り、作曲から演奏・プロデュースと活動分野も広い人、とのこと。


ライブバージョン
 最初の歌謡ショウ「愛ゆえに」では生演奏で歌われた。アコーディオンパートはキーボードで弾いていると思われる。
 その他は2005年の「笑え!花組」でショートバージョンが歌われたのみで、ライブで歌われる事が少なかった曲である。


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