ゲーム「サクラ大戦」真宮寺さくらのキャラクターソング。
 ゲーム中のキャラ別エンディングで一部分が流れる。フルバージョンはアルバム「帝劇歌謡全集」(1996 12/18 発売)が初出。
 1997 3/21に『花咲く乙女』とのカップリングでシングルカットされた。このシングルにはカラオケも収録されている。

特徴
 歌メロディは童謡風のシンプルな作りで、全体的にファとシを省いた「ヨナ抜き」だが、歌詞でいうところの「強く激しくやさしく」の所にだけファが使われる。
 テンポは一定ではなく、かなり変化する。イントロ・アウトロは117BPM、歌は113BPM程度、フェルマータも多用され「呼吸をするような」変化が付けられている。おそらくは伴奏の主体であるピアニストの裁量にまかせた作りなのだろう。

調性とキャラクターの関係
 この曲の調性はハ長調で、転調はしない。
 サクラ大戦の場合、各キャラにそれぞれ固有の「調」が設定されているが、真宮寺さくらの「調」はハ長調である。中心に居る、安定、ある意味野暮ったい、など、さくらのキャラクター性と印象の合うものになっている。
 この「キャラクターの調」は、サクラ大戦2で若干変化していくが、その変化の仕方はキャラクターの変化や成長を反映している。
 
構成
 歌は四番まであるが、一番あたり16小節とかなり短い。
 二番の後にCメロが入る。四番の後はCメロが二回繰り返され、アウトロになる。

和声
 5thの音が、増五度、6thと半音ずつ上がる「内声のクリシェ」が使われている。

編成
 伴奏楽器はピアノと箏の二種類だけで、二番の後半から女声コーラスが入る。
 余談だが、サクラソングで編成の小さい順に並べると、伴奏がシンセ一台の『お祭りダンス(スロー版)』、マラカスまたはタンバリンだけの『エリカおはようダンス』、シンセとボーカル二人の『3分間ショッピング』、ボーカル含め三人の『心の傘は』、四人の『エチュード』と『オンリーマン』、ピアノ一台とボーカル三人『前説ソング』となり、本曲はそれに次ぐ小編成の曲である。

ミュージシャン
 箏を担当しているのは吉村七重さん。二十弦の箏を使う現代邦楽の箏曲が専門だが、ご本人の作品集CDの解説によれば、非常に多彩な分野とセッションするとのこと。
『檄!帝国華撃団III』と『ゲキテイ!(檄!帝国華撃団)』の、イントロと間奏の箏を担当しているのも、この方。

箏と調子
 本曲に使っている箏は、伝統的な箏の調子ではなく、ハ長調からファとシを省く「ヨナ抜き」に調弦してある。
 ちなみに、他のサクラ曲やBGMに箏が出てくる場合、1929年の宮城道雄作「春の海」の独特な調子(黄鐘だが音が高い方にシフトしている)がよく使われる。


ライブバージョン
 スタジオ収録版の他に、ライブで歌われたものを収録した音源は以下のものがある。「愛ゆえに」「新世紀カウントダウン」「歌え♪花組」「笑え!花組」。
 余談だが、「歌え♪」の方が「笑え!」より笑えるものになっている。これはアカペラバージョンなのだが、四番(冬)をマリアが短調で歌い、「オス!」のかけ声で締める。


その他のトピック
 帝撃歌謡全集CDを再生する際に出る曲名が、誤植で「花咲く乙女」になっている。
 発売当時は曲名を表示できるプレーヤーが一般的ではなかったため、この間違いは特に話題にならなかったのだが、現在iTunensなどに取り込んだ場合にはタイトルが混乱しやすい。


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