人との距離のとり方 | 年間登壇回数:140回、累計受講者数:10,003人 アドラー心理学講座講師 川原啓治 「講座にまつわる話し」など・・。

受講された方からの質問を

ご紹介します。

 

(質問)

人との距離のとり方は

どうすればいいでしょうか。

少しでも人間関係を楽に

したいのですが。

 

(回答)

時々、お尋ねのある質問です。

 

同じ質問でも、意味する内容は

人により様々です。

 

「親しくなりたいが、あまり

相手の中に入っていくと、

嫌われるのではないか」

 

反対に、「あまり踏み込んだ

つきあいはしたくないが、

大事な関係なので、

冷たくするわけにもいかない」etc.

 

自分がほどよく感じる相手との距離と、

相手が望む距離が一致していれば良いが、

相手がどう感じるのか分からないので、

悩んでいる、

という状態でしょうか。

 

その背景には、

自分がほどよく感じる距離に

相手を置きたいという思い、

言い換えると、

相手をコントロールしたい

という気持ちが働いていますね。

 

もっと極端な言い方をすると、

相手を支配したい、

という思いになります。

でも、

相手は自分の思いどおりに

ならないので悩む、

ということになるのです。

 

この「支配しようとする関係」を、

「タテの関係」と呼びますが、

人間関係を破壊する関係なのです。

 

では、「タテ」がよくないのなら?

そう、「ヨコ」ならよさそうですね。

 

ざっくりと言えば、

「ヨコの関係」とは、

「相手を変えようとしない関係」。

一方、「タテの関係」とは、

「相手を変えようとする関係」

ということになるでしょうか。

 

「ヨコの関係」とは、

「人間はすべて価値的に平等であり、

相手を支配もしないし、

相手にも支配されない。」

とも表現できると思います。

 

最初の質問に戻りますと、

「人との距離をどうとればよいか」

という質問の背景には、

「タテの関係」で判断しようと

する考え方があるようです。

 

どう距離をとろうと、

「タテの関係」の中での話しですから、

人間関係はあまりよくならないと

思われます。

 

では、

「相手を変えようとしないヨコの関係」

で見ていくとどうなるのでしょうか。

 

自分の思いは相手に伝えますが、

相手がその思いを受け入れるか

どうかは、相手が決めること、

と相手にお任せすることになります。

 

なので、相手の反応が自分の意に

反するものであっても、

気にならないということになります。

 

だれが相手であっても、同じことです。

相手によって、対応をどうすればよいか、

どの距離が適当か、

などは考える必要がなくなります。

 

コミュニケーションをとるのは

大切なことなので、

自分の思いはドンドン伝えていきましょう。

 

ただ、それに対して相手の賛同が

得られなくても、

こちらが腹を立てたり、

絶望したりすることではないのです。

 

晴れになってほしいときに、

雨が降ったとしても、

雨に怒りを感じたり、

なんとかしようと、

雨に怒鳴ったりはしませんね。

 

そのときは、

傘を用意して出かけたり、

雨がやむまで雨宿りしたりしますね。

 

人間関係も同じことなのです。

 

でも、人間関係では、

こちらの思いが伝わると、

相手が共感して、

相手が変わることがありますよ。

 

でも、それを期待しないように

することが肝心です。

 

このあたりの心の機微は、

いわく言いがたいものがあります。

 

こうなってほしいけど、

ならなくてもかまわない。

でも、こうなればいいけどね、

という感じでしょうか。