これまでに浦和レッズを出て海外に活躍の場を移していった選手(出戻りも含む)。


小野伸二・相馬・アレックス・長谷部・阿部、そして細貝。


日本代表で主軸を務めた選手が多い。

(相馬だって間違いなく代表レベルにある選手だったと思う)


浦和レッズはACLチャンピオンになった時もそうだったが、

レッズは世界と対等に戦うチームを目指す。

それを目標に戦うチームを目指している。


その結果、いい選手を獲得し、(闘莉王・高原、阿部、アレックス、相馬、そして外人選手たち)

いい成績を収めた年もある。

しかし、そのサッカーは同じJリーガーから「面白味もなんにもないサッカー」と言われた。

そして、抜けた選手の穴を埋めきれないチーム事情。


ここにひとりの外国人選手を加える事で、私の中で一つの仮説が成り立った。


その選手とは、エメルソン。


そして、その過程とは、「世界レベルを目指すフロント組織の欠乏」。


~日本人選手達の移籍とリーグ衰退~


日本人選手の海外移籍には大きく流れがある。

2002年以前の選手移籍は日本のエース級の選手が、広告や海外クラブでの経営の面での援助を期待しての

モノが多く、その後選手個人の能力と本質を見ての獲得も増える一方で、日本からのマネーを少なからず

意識している時代があった。

しかし、2006年のW杯の結果もあり、日本人選手の獲得に大きな変化が訪れる。

それが、ここ数年の日本人選手の獲得にも表れている。

それは、できる限り若い選手でJリーグ出場記録の多い選手たちが優先的に海外に買われていく。

そんな彼らは、20歳そこそこから買われていくことも多く、

下手すれば、ようやくプロA契約を得て数年しかたっていない選手が多い。

また、多くが単年契約を結ぶ選手たちばかりなのである。

香川にしても内田にしても、そんな中でおめがねにかなう選手だったのだろう。

だからこそ、申し分なく活躍するだけの根拠があるのである。

海外で選手が多く活躍する事は、さらなる日本サッカーのレベル向上につながるだろう。

しかし、それだけ海外に魅力を奪われることになるのである。

そして、これは日本プロ野球と同じ様に、スター選手の流出につながり、

結果、やはりリーグへの興味よりも、代表への興味しかわかなくなる。

それは、4年毎に起こるW杯の結果だけに左右されるフィーバーなのである。


浦和レッズはこの点で、山田直樹・原口元気らに複数年契約を提示した。

違約金という意味で、レッズの損を補てんできるからだ。



~浦和レッズの上昇志向と選手の志向との差~


さらに、「つまらないサッカー」をしていた黄金期のレッズは、

あくまで海外と対戦し、世界との距離を知り、さらに自分達を知る事ができる場でしかなかった様だ。

近年、代表にしても海外との試合をした際に、昔ほど、

「相手との差がすごかった。自分達は何もやらせてもらう事ができなかった」

というコメントは中々聞く事ができなかった。その代わりに、

「自分達に足りないモノが何か分かった」とか、「スピードやテクニックにおいて大きな差は感じなかった」

というコメントが良く目立つような気がする。

それは、自分が世界のサッカーの中でどのくらいの位置にいて、

大きな選手としての「海外リーグで活躍したい」という目標において、今いる自分の位置を確認、アピール

する場であったのだと感じる。

レッズもレッズで世界と戦うためには優秀な選手を必要とする。

その選手たちが、海外クラブからオファーがあった時には本人の意思を優先する

などの条項が契約に加わったのだろう。

移籍する選手らからは違約金を得て海外に渡って行った選手がなんと少ない事か。


レッズではないが、これは香川を見ていればハッキリと分かる。

あれだけ、現時点でリーグ8点を決め、ブンデスリーガで首位を走るチームのMVP的活躍をする選手が

移籍金3000万円程で手に入り、将来確実にやってくるビッグクラブへの移籍の際、おそらく彼には10億以上の

値段がつくだろう。

しかしその利益はセレッソではなく、ドルトムントが得るわけだ。

そして、浦和も彼らを手放した際に得るべき利益を得ていない。

その上で補強をするのだ。

チーム事情はどんどんと苦しくなる。世界と戦うと言っている以上、

同等のクオリティの選手をこれまでより高いコストで獲得するのだから。



~移籍係数の取り払われた日本と金持ちリーグ~


ここには、昨年オフに撤廃されたJリーグ独自の移籍係数を撤廃した事による副作用のようなものだろう。

これまでは、Jという視点で地元チームをできるかぎり守る方法だった。

しかし、これが撤廃されて、急に世界と向き合っても勝ち目がない。

サッカーとしての物価の安い国のバーゲンセールは世界にとっては閉店セール並みのやすさなのだろう!


もし、それでも今後の衰退を食い止めるのならば、という意味でエメルソンの登場である。

彼は、とてつもない個人技との爆発的なスピードで浦和のエースとして君臨した。

他チームであれば、マグノアウベスらのような選手はできるかぎりの複数年契約で

日本で安定した収入をまず求めた。

チームも活躍を前提にかれらの契約に応じた。

そして、そんな彼らの能力を海外が目を付けた訳だ。これは、アジアだろうが関係ない。

事実、エメルソンはカタールから舞い込んだ破格の契約にレッズから去って行った。

レッズもいつかはこういう日が来るというリスクヘッジがあったのだろう。

だからこそ、彼が出て行ったレッズには多額の移籍金というものが残った。

そして、大型補強が可能になったのだ。


個人的には、これが最もスタンダードな世界なのだと考える。


現在進行形で進歩を遂げていっている日本サッカー界で、

今いきなりに、選手に日本のリーグの事も考えてほしい。

というのは道理にも合わない事だとは理解している。

ただ、チームを経営するフロントの世界的にスタンダードな契約をする方法を考えなくてはならない。

その上で選手たちにも、チームやJに対する愛をもっと感じてほしい。


レッズでは、ペトロビッチ・マリッチ・ワシントン・ポンテ。

どうやら、日本人選手以上に外国人選手に浦和への愛は伝わっているのだと感じる。

もちろん、日本人選手にも愛がない訳ではない。

ただ、上昇志向と愛着は別なのである。

そうである以上、フロントも選手ももう少しドライに契約について見つめるべきではないか。



細貝が移籍し、この教訓も活かす事ができないのであれば、

世界トップを目指すなんて、フロントは言わない方がいい。

ヨーロッパ下位チームの様に、世界に置いてかれない程度に利益が得られるチーム運営を目指すと

言ったらどうか。







最後に、これらの忠告はあくまでレッズを愛するがために言っていることと理解してほしい。

ACLで優勝し、CWCで南米やヨーロッパと対等に戦うレッズというものを見たいからこそ言っている。


さらに語弊があるかもしれないが、選手たちが言う「なんの面白みのないサッカー」でACLを優勝し、

僕らは感動して泣いたのだ。それが楽しいサッカーなら言う事ないだろうが、

それでもなく事はできるのである。

そして、それは改善点として翌年に持ち越せばいい。と個人的には考える。

去年のインテルのサッカーが面白かったか?そして今年のレアルのサッカーはバルセロナより楽しいか?

それはおそらくNOだろう。

しかし、勝つ事でしか得られない充実感もある。

選手にはそこも考えてもらいたい。