ストコフスキーのヴォーン・ウィリアムズ《グリーンスリーヴスに由る幻想曲》

 

Ralph Vaughan Williams

Fantasia on Greensleeves

 

 

 

  今日採り上げるのは、ヴォーン・ウィリアムズの《グリーンスリーヴスに由る幻想曲》です。

 

  此の曲は、イギリスの作曲家レイフ・ヴォーン・ウィリアムズが作曲した小管弦樂の為の小品で、イングランドの古い歌《グリーンスリーヴス》に基づいた、當作曲家の作品の中で最も有名な作品と成る者です。《グリーンスリーヴス》はエリザベス朝時代から知られていて、シェイクスピアの喜劇《ウィンザーの陽氣な女房達》の中でも言及されています。ヴォーン・ウィリアムズは此の喜劇を基にしたオペラ《戀するサー・ジョン》 を1928年に完成させていて、其の第3幕の間奏曲で此の旋律を用いています。そして、此の間奏曲をラルフ・グリーヴズ(Ralph Greaves)が編曲し、獨立させた作品が《グリーンスリーヴスによる幻想曲》です。初演は1934年9月27日にロンドンに於いてヴォーン・ウィリアムズ自らの指揮に由り行われています。

  尚、このグリーヴズの編曲以外にも、樣々な編成のための編曲が數多くの人の手で行われている外、作曲者自身によるピアノ獨奏版も存在しています。

 

  樂曲は主に以下の3つの部分から成っています:

 

  1.へ短調、レント、8分の6拍子で、フルート獨奏の導入部の後、ヴァイオリン

    とヴィオラが「グリーンスリーヴス」を奏でます。

 

  2.イ短調、アレグレット、4分の4拍子の中間部ではヴィオラとチェロに新たな

    旋律が現れますが、此れはヴォーン・ウィリアムズがノーフォークで採集し

    た民謡《ラヴリー・ジョーン》です。

 

  3.フルート獨奏のカデンツァを挾んで再び導入部と「グリーンスリーヴス」に戻

    り、靜かに曲が閉じられます。

 

  今日紹介させて頂くのは、レオポルド・ストコフスキーの指揮するニューヨーク・フィルハーモニー管弦樂團に由り1949年2月に行われたセッション録音です。

 

  ストコフスキーは、ヴォーン・ウィリアムズの王立音樂大學時代の仲間で、1896年に共にウォルター・パラットからオルガンを學んでいて、後にヴォーン・ウィリアムズの6つの交響曲を演奏してアメリカの聽衆へ紹介し、1949年にはニューヨーク・フィルハーモニックと彼の《交響曲第6番》の初録音を実施するのみならず、1958年にカーネギー・ホールに於いて《交響曲第9番》のアメリカ初演を行ってもいます。

  

  演奏メンバーは以下の通りです:

 

  Leopold Stokowski (Dirigent)

     New-Yorker Philharmonisches Symphonie-Orchester

 

(1949.02)