コーリッシュQのシェーンベルク Op.45

 

Arnold Schönberg

Streichtrio Op.45

 

 

  今日採り上げるのは、シェーンベルクの弦樂三重奏曲 作品45です。

 

      此の曲は、アルノルト・シェーンベルクが1946年にハーバード大學から作品の委囑を受けて同年8月20日に作曲に着手し、其の1か月後の9月23日にかけて書き上げられたもので、シェーンベルクのアメリカ亡命後に於ける十二音技法による傑作と云い得るものです。シェーンベルクは弦樂三重奏曲というジャンルを多くは作曲しておらず、初期には幾つかの作品を書いていた樣ですが、何れも完成されず、斷片しか殘されてはいません。つまり、此の作品45の弦樂三重奏曲は、シェーンベルクが完成させた此のジャンルに於ける唯一の作品という事に成ります。又、此の曲にはシェーンベルクの持病であった喘息の發作の體驗が反映しているとも謂われています。

  初演は作曲完成翌年の1947年にボストンにて行われました。

 

  今日採り上げたのは、コーリッシュ弦樂三重奏團、即ちコーリッシュがプロ・アルテ弦樂四重奏團のリーダーに就任後の同カルテットのメンバーが行ったライヴ演奏の録音です。

  コーリッシュはシェーンベルク作品の上演を目的としてカルテットを立ち上げた人物だけに、彼の演奏するシェーンベルク作品の全てがが此の作曲家の肝煎であった事は言わずもがなで、冒頭からの氣合の入り樣は半端では無く、單一樂章からなるこの曲の熱演が見事に繰り廣げられている白眉の演奏であると云い得るでしょう。後に名演として名高いラサール弦樂四重奏團のセッション録音がなされますが、其れとは異なる意味で、コーリッシュ・トリオの此の演奏は肉筆というのか、温かい血の通った音樂性の高いものであるのは間違いの無い事です。

 

  演奏メンバーは以下の通りです:

 

  Rudolf Kolisch (Violine)

    Bernard Milofsky (Bratsche)

    Ernst Friedlander (Violoncello)

 

      ※ 因みに、ヴィオラ奏者は結成當初のプレヴォストからミロフスキーに交代しています。