不倫の証拠を掴むためにGPSでもよかったのだけど、そのGPSをどうつけるかで悩んでいた。
それよりも違う形で何か証拠は掴めないかな…
部屋の中で何をしているのかや、何時に出かけるのか何の服を着て出かけるのかや行動の記録、電話で通話してる記録が残せたらと思って小型カメラを設置してみようかと考えた。
金額もかけられないからすごく安いカメラで試そうと思った。
ネットで頼むとサイコロキャラメルくらいの大きさのカメラが届いた。
これならどこかに紛れて撮れるかもしれない。
撮影を試したら画像の質もそんなに悪くなかった。
この辺りならいいかな…何回か設置する場所を確認した。
充電を満タンにしてまた明日にでも設置しようと考えて元夫くんの部屋を出た。
この頃わたしは色んなことに神経を張り詰めすぎて疲れていたのだと思う。
最後の最後でやってしまった。
元夫くんが帰ってきた。
しばらくすると珍しく声をかけてきた。
「これなに?」
その手には小型カメラが握られていた。
私は箱にしまい忘れて部屋に置いてきてしまったのだ。
「あー…それ、友達から小さいけどドラレコとして使えるって言われて。借りてみたんだけど、そっちの部屋に置いてたっけ。ごめん返して。」
どう考えても不自然な言い訳をしたと思う。
「ふーん。そうなんだ。」
明らかに怪しいという顔をして返された。
間違いなく小型カメラを設置するという事がバレたと思う。
このカメラはリビングのわかりやすいところに置きっぱなしにしておいて、わざと使ってないアピールをすることにした。
本当に無駄な事をした…。
幼馴染くんに話すと笑っていた。
「本当に探偵に向いてないなー。まあ、そうなったのは仕方ない。警戒したとしてもそんなに続かないと思うよ。大丈夫、きっとこれもいい方向にいくきっかけになるとおれは思うよ。」
いつも幼馴染くんはなぜか物事に対して悪く言わなかった。
いい方向にいく、大丈夫。
いつもそう励ましてくれた。
なんでそんなに自信があるのかわからなかったけど、結局こうなった事でよかったことがあった。