そう、シロクはいつだってちゃんと色々なことを理解して考えて行動していたのです。
そんなシロクが帰ってこないのは、シロクは最後の時を外で迎えたかったのだと、はたと悟りました。
山の中で、風を感じながら大地に横たわって土の匂いや草花の匂いの中、鳥の声や虫の声を聞きながら死にたかったのだ。
夜の星を眺めたりそのうち朝日が山の木々を少しづつ照らしていく夜明けの様子を地面の上でじっと見ていたかったのだ。
シロクにとっては家の中で壁に囲まれて買いためたフードが山積みの台所の気配を感じながら死ぬより、そっちの方がずっと好ましかったに決まっている。
おっとや私がシロク最後の計画を邪魔しないよう、ちゃんと庭の金網の向こうへ行ける秘密のルートも確保していたのだろう。
シロクはまったくベタベタしたところがなくクールだったし、たまにだっこしても30秒もすると勘弁してくれと体をよじって逃げて行く猫だった。
この家に住みだしてからわたしの隙をついてまんまと庭に出たときの、日の光を浴びて空気の匂いを嗅ぐシロクの姿が宗教画のようにきれいだったのを今でも鮮明にに覚えている。
そんなことを考えているうちに、少しづつ重苦しい気持ちが薄れてきた。
まだ悲しさは残っているものの、シロク良かったね、最後にきれいな自然の中で死ねて良かったね、長い間一緒に暮らしてくれてありがとう、と今日になってやっと思えます。
長文にお付き合いくださり、ありがとうございました!

