ブログネタ:好きな監督 参加中
本文はここから
ぼくの最愛の監督はもちろんダリオ・アルジェント監督です
ダリオ・アルジェントのことは今までにもさんざん語っているので、今回は違う監督の話をします
最近はハマーやアミカスで恐怖映画を数多く演出したフレディ・フランシスにハマっています
フレディ・フランシスは、もともとカメラマンとして『年上の女』(1958年)や『回転』(1961年)の素晴らしい白黒の映像を撮り上げた人物
『息子と恋人』(1960年)と『グローリー』(1989年)で2度のアカデミー撮影賞に輝き
『エレファント・マン』(1980年)や『青春の輝き』(1992年)といった名作で華麗な映像美を創りあげた撮影の名手です
それだけにフレディ・フランシス監督の恐怖映画は映像の美しさが印象的です
『恐怖の牝獣』
フレディ・フランシス監督による、白黒で撮られたミステリー映画『恐怖の牝獣』(1963年)を観ましたが
モノクロームの、冷たく深みのある美しさの映像に魅了されました
つややかな陰影の美しさにため息が出そうなほどうっとりする画面で
さすがに『回転』の美しい白黒の映像を撮ったカメラマンが監督しただけのことはある・・・と感心しました
そしてカラーで撮影された『テラー博士の恐怖』(1964年)、『がい骨』(1965年)、『残酷の沼』(1967年)の映像も素晴らしい
原色の照明が毒々しくも美しい、ホラー映画ならではの幻想的な美しさが印象的な画面です
『がい骨』
とくに『がい骨』オープニングでの、真夜中の墓地を映し出す雰囲気たっぷりの映像美
うっすらと霧がかかった寂れた墓地を青い月明かりが照らす、幻想的な美しさの映像に心がときめきます
マリオ・バーヴァやニコラス・ローグと同様、カメラマン出身のフレディ・フランシスは幻想的な美しい画を撮ります
『異界への扉』(1973年)というフレディ・フランシス監督のホラーを昨夜観ました
これがまた実に面白い映画で、あまり期待していなかったのに大満足でした
怪優ドナルド・プレザンスが観客を怪奇な世界へ誘う精神科医を演じて、さすがの存在感を発揮しています
フレディ・フランシスお得意のオムニバス構成で、第1話と第2話はイマイチな印象でしたが
第3話と第4話がけっこう怖くておもしろかったです
『残酷の沼』
第3話の生きている樹の話は、過去にフランシスが監督した『残酷の沼』と似た感じでネタの使いまわしかと思いましたが
これはこれで、あのピアノの話とはひと味違ったブキミなラストがなかなかいい感じで気に入りました
この話のラストでの樹をとらえたショットは、さすがに映像派フレディ・フランシスの面目躍如といったところ
全体的に1960年代のフランシス監督作品のような色彩の美しさが希薄でがっかりしていましたが
第3話の悪夢のシーンではフレディ・フランシスらしい毒々しい色彩のライティングが見られて喜びました
そして極めつけの第4話は、カニバリズムをあつかったお話
直接描写はいっさい避けていながら、強烈に毒々しい後味がたまらない小粋な小品でした
この話は今後もたまに思い出してゾッとしてしまいそうです
アミカスのオムニバス・ホラーらしい、ぴりりと毒のきいた作風がなかなか魅力的で
『異界への扉』より ドナルド・プレザンス
ドナルド・プレザンスが狂っていく演技が見られるエピローグも鬼気迫っていてイイ感じ
フランシス監督の名人芸に酔いしれてしまい、続けざまに『美女を喰う館 グール』(1974年)を鑑賞
こちらは名優ピーター・クッシングが謎を胸に秘めた老紳士を好演する小傑作です
この作品も映像の美しさがフレディ・フランシスらしくて良かったです
オープニングでの真紅のカーテンをめくっていく映像の鮮やかな赤の美しさ
そして真紅のカーテンがめくられてインドの仏像が現れた瞬間の、ブキミさと美しさとの融合がたまりません
『異界への扉』同様にかつてのフレディ・フランシス作品で見られた過剰な色彩は希薄で
代わりにこの『美女を喰う館 グール』では、くすんだ色づかいの渋い映像が見られます
どぎつい色彩が美しい1960年代の作品も好きですが、この作品での落ち着いた渋い色づかいもなかなか魅力的です
そしてついに悪鬼が姿を現すラストでは、一転して1960年代の作品に通じるどぎつい色彩のライティングが登場
このクライマックスでの毒々しくも美しい色彩がフレディ・フランシスらしくて素敵です
『ゾンビ襲来』
フレディ・フランシス監督+ピーター・クッシングのコンビでは『ゾンビ襲来』(1973年)もおもしろかったです
狂気におちいってゆく科学者を演じるクッシング先生のこまやかな名演技にはしびれます
クッシング先生の熱演と、クールな演技でそれを支えるクリストファー・リーを見ているだけで魂が洗われるようです
そしてフレディ・フランシス監督の演出も、抑えたタッチでじわじわと恐怖を盛り上げてゆき
ブキミなクライマックスへと突き進んでゆく手際が冴えに冴えています
キワモノじみた放題に反して、心理的な恐怖を落ち着いた語り口で描いた正統派の西洋怪談です
『Mumsy, Nanny, Sonny & Girly』
フレディ・フランシス本人がお気に入りだという『Mumsy, Nanny, Sonny & Girly』(1969年)もステキな映画
『悪魔のいけにえ』(1973年)のブラック・ユーモア版とでもいうべき、殺人鬼一家の巻き起こす騒動を描いたカルトな名作です
美しい映像と黒いユーモアがまさにイギリス映画らしい魅力で、日本未公開ながらフレディ・フランシスの最高傑作と呼ぶべきでしょう
フレディ・フランシスの監督作品はけっこう見逃していたものが多かったのですが
再見のものも含めて最近立て続けに観てみたところ、非常に魅力的な画作りをする人ですっかり虜になりました
フレディ・フランシスの他にも、ロイ・ウォード・ベイカーとかピーター・サスディなど
イギリス映画の職人監督による低予算ホラー映画を最近よく観ています
やっぱり手堅い演出できっちりまとめられたブリティッシュ・ホラーは心がなごみますね
スプラッタに食傷している最近は、英国ホラーの上品で格調高いサスペンスが心地よいです
本文はここから
ぼくの最愛の監督はもちろんダリオ・アルジェント監督です
ダリオ・アルジェントのことは今までにもさんざん語っているので、今回は違う監督の話をします
最近はハマーやアミカスで恐怖映画を数多く演出したフレディ・フランシスにハマっています
フレディ・フランシスは、もともとカメラマンとして『年上の女』(1958年)や『回転』(1961年)の素晴らしい白黒の映像を撮り上げた人物
『息子と恋人』(1960年)と『グローリー』(1989年)で2度のアカデミー撮影賞に輝き
『エレファント・マン』(1980年)や『青春の輝き』(1992年)といった名作で華麗な映像美を創りあげた撮影の名手です
それだけにフレディ・フランシス監督の恐怖映画は映像の美しさが印象的です
『恐怖の牝獣』
フレディ・フランシス監督による、白黒で撮られたミステリー映画『恐怖の牝獣』(1963年)を観ましたが
モノクロームの、冷たく深みのある美しさの映像に魅了されました
つややかな陰影の美しさにため息が出そうなほどうっとりする画面で
さすがに『回転』の美しい白黒の映像を撮ったカメラマンが監督しただけのことはある・・・と感心しました
そしてカラーで撮影された『テラー博士の恐怖』(1964年)、『がい骨』(1965年)、『残酷の沼』(1967年)の映像も素晴らしい
原色の照明が毒々しくも美しい、ホラー映画ならではの幻想的な美しさが印象的な画面です
『がい骨』
とくに『がい骨』オープニングでの、真夜中の墓地を映し出す雰囲気たっぷりの映像美
うっすらと霧がかかった寂れた墓地を青い月明かりが照らす、幻想的な美しさの映像に心がときめきます
マリオ・バーヴァやニコラス・ローグと同様、カメラマン出身のフレディ・フランシスは幻想的な美しい画を撮ります
『異界への扉』(1973年)というフレディ・フランシス監督のホラーを昨夜観ました
これがまた実に面白い映画で、あまり期待していなかったのに大満足でした
怪優ドナルド・プレザンスが観客を怪奇な世界へ誘う精神科医を演じて、さすがの存在感を発揮しています
フレディ・フランシスお得意のオムニバス構成で、第1話と第2話はイマイチな印象でしたが
第3話と第4話がけっこう怖くておもしろかったです
『残酷の沼』
第3話の生きている樹の話は、過去にフランシスが監督した『残酷の沼』と似た感じでネタの使いまわしかと思いましたが
これはこれで、あのピアノの話とはひと味違ったブキミなラストがなかなかいい感じで気に入りました
この話のラストでの樹をとらえたショットは、さすがに映像派フレディ・フランシスの面目躍如といったところ
全体的に1960年代のフランシス監督作品のような色彩の美しさが希薄でがっかりしていましたが
第3話の悪夢のシーンではフレディ・フランシスらしい毒々しい色彩のライティングが見られて喜びました
そして極めつけの第4話は、カニバリズムをあつかったお話
直接描写はいっさい避けていながら、強烈に毒々しい後味がたまらない小粋な小品でした
この話は今後もたまに思い出してゾッとしてしまいそうです
アミカスのオムニバス・ホラーらしい、ぴりりと毒のきいた作風がなかなか魅力的で
『異界への扉』より ドナルド・プレザンス
ドナルド・プレザンスが狂っていく演技が見られるエピローグも鬼気迫っていてイイ感じ
フランシス監督の名人芸に酔いしれてしまい、続けざまに『美女を喰う館 グール』(1974年)を鑑賞
こちらは名優ピーター・クッシングが謎を胸に秘めた老紳士を好演する小傑作です
この作品も映像の美しさがフレディ・フランシスらしくて良かったです
オープニングでの真紅のカーテンをめくっていく映像の鮮やかな赤の美しさ
そして真紅のカーテンがめくられてインドの仏像が現れた瞬間の、ブキミさと美しさとの融合がたまりません
『異界への扉』同様にかつてのフレディ・フランシス作品で見られた過剰な色彩は希薄で
代わりにこの『美女を喰う館 グール』では、くすんだ色づかいの渋い映像が見られます
どぎつい色彩が美しい1960年代の作品も好きですが、この作品での落ち着いた渋い色づかいもなかなか魅力的です
そしてついに悪鬼が姿を現すラストでは、一転して1960年代の作品に通じるどぎつい色彩のライティングが登場
このクライマックスでの毒々しくも美しい色彩がフレディ・フランシスらしくて素敵です
『ゾンビ襲来』
フレディ・フランシス監督+ピーター・クッシングのコンビでは『ゾンビ襲来』(1973年)もおもしろかったです
狂気におちいってゆく科学者を演じるクッシング先生のこまやかな名演技にはしびれます
クッシング先生の熱演と、クールな演技でそれを支えるクリストファー・リーを見ているだけで魂が洗われるようです
そしてフレディ・フランシス監督の演出も、抑えたタッチでじわじわと恐怖を盛り上げてゆき
ブキミなクライマックスへと突き進んでゆく手際が冴えに冴えています
キワモノじみた放題に反して、心理的な恐怖を落ち着いた語り口で描いた正統派の西洋怪談です
『Mumsy, Nanny, Sonny & Girly』
フレディ・フランシス本人がお気に入りだという『Mumsy, Nanny, Sonny & Girly』(1969年)もステキな映画
『悪魔のいけにえ』(1973年)のブラック・ユーモア版とでもいうべき、殺人鬼一家の巻き起こす騒動を描いたカルトな名作です
美しい映像と黒いユーモアがまさにイギリス映画らしい魅力で、日本未公開ながらフレディ・フランシスの最高傑作と呼ぶべきでしょう
フレディ・フランシスの監督作品はけっこう見逃していたものが多かったのですが
再見のものも含めて最近立て続けに観てみたところ、非常に魅力的な画作りをする人ですっかり虜になりました
フレディ・フランシスの他にも、ロイ・ウォード・ベイカーとかピーター・サスディなど
イギリス映画の職人監督による低予算ホラー映画を最近よく観ています
やっぱり手堅い演出できっちりまとめられたブリティッシュ・ホラーは心がなごみますね
スプラッタに食傷している最近は、英国ホラーの上品で格調高いサスペンスが心地よいです