数千本の映画を扱う配信事業者にとって、大規模な作品ライブラリの登録は簡単な作業ではありません。新たに動画配信アプリを立ち上げる場合も、既存のVOD(ビデオ・オン・デマンド)ライブラリを移行する場合も同様です。

映画を1本ずつ登録する作業は、作品名と再生URLの入力だけでは終わりません。ポスター画像や作品紹介、出演者情報、カテゴリーなども個別に設定する必要があります。数千本、数万本規模になると、こうした作業だけでも大きな負担になります。

一括登録によって手入力の作業は減らせますが、異なるシステムに保存された作品データを、そのまま新しいプラットフォームに取り込めるとは限りません。保有しているデータに合った方法を選び、不足する情報を補ったうえで、登録後の表示や再生に問題がないか確認する必要があります。

数千本の映画を一括登録する前に確認したいこと

一括登録を始める前に、既存の映画データがどのような形で保管されているかを整理します。アプリで利用できる再生URL、作品情報、カテゴリー情報がそろっているかも確認しておきたいポイントです。

主に次のようなケースが考えられます。

既存のCMSがある場合:作品名、再生URL、カテゴリーなどの情報が、コンテンツ管理システム(CMS)に保存されているケースです。データを書き出せるか、外部システムと連携するためのAPIが用意されているかを確認します。

既存のM3Uプレイリストがある場合:プレイリストに含まれる再生URLや各種項目を、一括登録用のデータとして利用できます。ただし、取り込みに先立ち、ファイルの形式、作品名、カテゴリー情報が登録先の要件に合っているかを確認する必要があります。

元の動画ファイルしかない場合:アプリからアクセスできる再生URLがまだ用意されていない場合は、まず動画の保存先や配信元、作品情報を整備する必要があります。

これらのケースは必ずしも一つに限られません。例えば、既存のCMSからM3Uプレイリストを書き出せる場合もあります。いずれの場合も、作品情報に不足がないか、再生URLが有効かを確認することが重要です。

一括登録の方法をどう選ぶか

利用できるデータを整理したら、次に考えたいのが、社内でシステム連携を開発し、その後も運用・保守できるかどうかです。

開発チームがある場合は、既存システムからAPI経由で映画データを取り込み、登録後のコンテンツ更新まで含めた仕組みを構築する方法が考えられます。

一方、社内に開発チームがない場合は、M3Uプレイリストの一括取り込みなど、手元のデータに対応した導入支援をサービス提供会社が行っているかを確認するとよいでしょう。

作品情報の不足とカテゴリー名の不統一にどう対処するか

どの取り込み方法を選ぶ場合でも、元データに不足があったり、カテゴリー名が統一されていなかったりすると、登録後の修正作業が増えてしまいます。できるだけ取り込み前に整理しておくことが大切です。

作品情報が不足している場合:映画データベースで作品を照合する

作品名と再生URLしかないリストでも、映画データベースを使えば、ポスター画像や作品紹介などの基本情報を補える場合があります。ただし、同名の映画が複数存在したり、原題と翻訳された作品名が異なったりすると、別の作品に誤って一致することがあります。可能な限り原題や公開年などの識別情報を残し、一致する作品が見つからない場合や候補が複数ある場合は、個別に確認する必要があります。

カテゴリー名が統一されていない場合:取り込み前に表記をそろえる

異なるデータソースでは、同じジャンルに別々の名称が使われていることがあります。例えば、「Sci-Fi」と「Science Fiction」は、どちらもSFを指す表記です。

このまま取り込むと、同じ意味のカテゴリーが重複して作成される可能性があります。事前に名称を統一するか、元データのカテゴリーと新しいプラットフォーム側のカテゴリーを対応付けておけば、同じジャンルの作品が別々のカテゴリーに分かれる事態を防ぎやすくなります。

OTT Makerで映画を一括登録する方法

OTT Makerは、CMS APIとM3Uプレイリストの両方を使ったVODコンテンツの取り込みに対応しています。保有しているデータや導入時の要件に応じて方法を選べるほか、登録後のコンテンツ更新についても、それぞれの方法に応じた対応が可能です。

方法1:CMS APIを使って映画データを取り込む

OTT MakerのCMS APIでは、API仕様に沿って既存CMSとの連携処理を開発し、映画データを新しい管理システムへ一括で取り込めます。

具体的には、作品名、再生URL、カテゴリーなどについて、二つのシステム間で項目の対応関係を決め、必要なデータ変換とAPI連携を行います。既存のコンテンツ管理システムと接続しながら、取り込み処理を自社で管理できる方法です。

CMS APIは、登録後のコンテンツ更新にも対応しています。例えば、ポスター画像の差し替え、作品紹介の編集、作品の公開停止などです。運用要件に応じて、定期実行の処理やリアルタイムのトリガーから、必要なAPIを呼び出す仕組みを構築できます。

方法2:M3Uプレイリストから映画を一括登録する

すでにM3Uプレイリストがあり、独自開発をできるだけ抑えたい事業者向けに、OTT Makerチームでは一括取り込みサービスを提供しています。

まず、事業者から既存のM3Uプレイリストを提供してもらいます。OTT Makerチームがファイル形式、作品名、再生URL、関連データを確認し、取り込み方法を調整したうえで、条件に合う作品データを管理システムへまとめて登録します。

ライブラリを継続的に更新する必要がある場合は、要件に応じて、M3Uプレイリストを一定の間隔で再読み込みし、新たに追加または変更された項目を同期する設定も可能です。

TMDBを利用して作品情報を補完する

作品データの登録に加え、OTT Makerの対応する取り込み方法では、TMDBを利用してポスター画像、作品紹介、公開年などの情報を補うことができます。これにより、情報を1件ずつ調べて入力する手間を減らせます。

例えば、5,000本の映画を含むM3Uプレイリストがあり、作品名と再生URLはそろっていても、詳しい作品情報がほとんどないケースです。OTT Makerチームが提供する取り込みサービスでは、TMDBで正しく照合できた作品について、基本情報を追加できます。

ただし、補完できる情報の範囲は、TMDBに登録されているデータと照合結果によって異なります。正しく照合できなかった作品は、別途確認が必要です。

新しいVODカテゴリーをまとめて作成する

一括取り込みの処理内容によっては、OTT Makerは取り込んだデータをもとに、新しいVODカテゴリーや関連データを自動作成できます。カテゴリーを一つずつ追加する作業を減らすことができます。

ただし、これは名称が異なる同義のカテゴリーを自動的に統合する機能ではありません。あらかじめ決めたカテゴリーのルールに沿って、取り込みデータを整理しておく必要があります。

映画の一括登録後に確認すべきこと

一括登録が完了したら、作品データが不足なく登録されているか、アプリ上で正しく表示・再生できるかを確認します。特に次の4点が重要です。

作品数:元データと取り込み後の作品数を照合し、登録漏れや重複がないかを確認します。

作品情報:作品名、ポスター画像、紹介文が正しいかを確認します。特にTMDBで補完した情報は注意して確認する必要があります。

カテゴリー:作品が適切なカテゴリーに分類されているか、重複したカテゴリーが作られていないかを確認します。

表示と再生:アプリ内での作品の表示状態を確認するとともに、再生URLが正常に機能するかを検証します。

取り込み処理のタイムアウトやデータの欠落が発生した場合は、エラーの内容を記録し、状況に応じて取り込み方法や設定を見直します。

まとめ

大規模なVODライブラリの新規構築や移行を検討する際は、作品数、現在のデータ形式、作品情報の整備状況をOTT Makerチームに共有することで、CMS API連携とM3Uプレイリスト取り込みのどちらが適しているかを評価し、具体的な導入方法を確認できます。