「はぁ〜気持ちいいアルな〜。」
ミラがコタツに入って寝転んでいる。
横にはアイちゃんも一緒に寝そべっている。(笑)
「アイちゃん、最近はミラがお気に入りなんやな。(・_・; 」
少し前までは、ジェットさんの傍にいると安全とか言って、くっ付いてきたくせに。(-。-;
「ミラさんは、いい匂いがするのです。」
いい匂い?(・_・;
「地球で言うと、バニラエッセンスに似た香りです。成分の化学構造はかなり複雑で、4ヒドロキシ-3メトキシベンズアルデヒドを重合させたC6H3(OH)(OCH3)CH=CH(OCH3)= … 」
「あぁ、もう分からんからええわ。
(-。-; 」
スーパーAIでも「いい匂い」に惹かれるらしい。(笑)
もはや自己意識に目覚めているとしか思えない。(・_・;
「ジェットさんは先程メタンの匂いがしました。」
やかましいわ。(-。-;
「到着したぞ。」
ピスが言った。
次の惑星ζ(ゼータ)に着いたのだ。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
ここ、惑星ゼータは地球から1500光年離れた散開星団にある。
我々は、この散開星団で生命反応のあった惑星を順に調査しているのだ。
α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)、δ(デルタ)、ε(イプシロン)と、順に仮符号を付けながら5つの惑星を回った。惑星ζ(ゼータ)は6つ目である。
調査の目的は、異星生物の実態を調べて知的生命の有無を確認すること、そして高度に進化した知的生命体による「銀河連合」が存在しないかを探るコトにある。
探検隊メンバーは、惑星Teharの柴犬っぽいピスと、Tehar製スーパーAIのアバターである黒猫っぽいアイちゃん、地球人のワタシ、そして惑星デルタで拾ったデルタ星人のミラである。
ここまでの調査では、最初の3惑星で原始的な生物に襲われ、知的生命体がいたデルタとイプシロンでは謎の高度知性体「ハウ」の攻撃を受けた。どこの星でも生物界は厳しい。(・_・;
さて、惑星ゼータに到着し、ピスが転移用テントの出入り口カーテンを開けた。
その瞬間、眩しい白光が飛び込んで来て何も見えなくなった。
ハウの高出力レーザーの攻撃かっ!?全身を悪寒が走る!
「…これは氷の惑星だな。」
ピスの声が聞こえた。
目が慣れてくると、一面氷に覆われた大地が見えてきた。強い反射光で眩しかったのだ。(・_・;
寒い。身体がブルっと震えた。
悪寒が走ったのは、単に寒かったのだ。(-。-;
「飛行艇でその辺を飛んでみるか。」
ピスの提案に従ってテントの外に出ようとしたが…。
「いやアル。寒いからここにいるアル。」
ミラがコタツから顔だけ出している。
(・_・;
ピスとアイちゃんが、黙ってこちらを見つめている。
こういう時の役回りはワタシらしい。
(-。-;
ぶーたか言うミラの両脇を抱えてコタツから引き摺り出した。(笑)
飛行艇で飛んでみると、惑星ゼータの表面は一面の氷で鏡のように輝いていた。
眩しくてじっと見ていられない。
と、遠くに黒い点のようなものが見えた。
近付くと、どうやら丸い穴が開いているらしい。かなり深そうだ。
「あそこに入ってみるか。」
ピスがそう言って、飛行艇を穴に向けた。
「結構、広いな。(・_・; 」
氷に開いた穴はかなり大きく、飛行艇が余裕を持って入れた。
そのまま下に向かって、飛行艇で穴の中に降りていく。やはりかなり深い。(・_・;
「だんだん穴が狭まっているようですね。」
窓の外を見つめながらアイちゃんが言った。
「成分は水やドライアイス、メタンなどの混合物のようです。」
5分ほどすると、突然広いホールに出た。
ホールと言っても壁が見えない。ずっと遠くまで広大な空間が広がっている。
激しく雨が降っており、微かに地面らしきものが見える。
「気温が上昇しましたね。地熱でしょうか。」
まるで氷の天井を通り抜けて来たみたいだ。
「この雨は、地熱で天井の氷が溶けて降り注いでいるのだろう。」
飛行艇が地面に近付くと、降り注いだ雨がそこここで濁流になって流れている。
こんな環境で、どこかに生物がいるのだろうか?(・_・;
そのまま氷の下の空間をしばらく飛行した。激しい嵐と濁流、洪水で荒れ果てている。生物らしきものは見えない。
濁流の中に小高い丘が見えたので、そこに着陸した。
コクピットを開けると土砂降りで風も強かったが、なぜか身体が濡れない。(・_・;
「ふぇぇ〜、全然濡れないアル。」
「これはTeharの湖の中に入った時と同なし仕組みか?」
「そんなところだ。」
ミラはこの手品を初体験だが、それほど驚いてないようだ。
嬉しそうにキョロキョロしながら手を伸ばしている。(笑)
外気温は高く。むおっとしている。
ピスが周囲を眺めながらコメントする。
「どうやらこの星は、全球凍結した後に地熱で氷層の下が溶けて空間ができているようだな。この雨は溶けた水が降り注いでいるのだろう。下から来る地熱と上の氷層から来る寒気で激しい対流が起こって常に荒天なのだろう。」
よく見ると、岩の割れ目にヌルっとしたものがこびりついていた。
「コレやろか?(・_・; 」
アイちゃんが見つめて解析した。
「どうやら、原生生物のようなものですね。」
すると、ミラが突然、そのヌルヌルを指で摘んで口に入れた。(-。-;
「酸っぱいアル。」
ペッペッと吐き出す。
「赤ちゃんとちゃうんやから、何でも口に入れたらアカンで。(-。-; 」
コレは教育のし甲斐がありそうだ。(笑)
「このような環境では、複雑な体制の生物は無理そうだな。」
「Teharや地球の生物が誕生した初期には、こんな環境が長く続いた時代もあったのかも知れませんね。」
つまり、この星の生き物は創世記の状態をそのまま残しているのだろうか。(・_・;
早々に諦めて、氷の上に引き返すことにした。
転移用テントに戻ってから、ピスが言った。
「あの、氷層の下に通じていたトンネルは、どうやってできたのだと思う?」
「地熱で溶けたんとちゃうんか?」
「さっきも見たように、地熱で溶けた水は雨になって降り注いでいた。つまり、地熱は氷層の下面全体を溶かしていたのだ。
あんな細長いトンネルを空けるような熱のかかり方はしていない。」
なるほど。(・_・;
「それに、あのトンネルは下の方が狭くなっていた。下から熱せられたのなら、逆に下の方が広くなっているはずだ。あのトンネルは上から空けられたのだ。」
「ほんなら、隕石でも降ってきたんちゃうか?」
「もし隕石なら、周囲がクレーターになるか放射状にひび割れているはずだ。あんなに細長いトンネルが空くものか。」
なるほど。(-。-;
「あの厚い氷層に細長いトンネルを空けられるものがあるとしたら…」
「ハウの高出力レーザーか!(・_・; 」
「アイちゃんはどう思う?」
アイちゃんがミラの膝の上で丸まって答えた。
「あの高出力レーザーは、単なる高エネルギーの光子の束です。
放った直後には周囲にオゾンなどができると思いますが、時間が経ってしまうと、もう分かりません。」
「この惑星ゼータの恒星系は、デルタ・イプシロンの恒星系から23光年ほど離れている。という事は、ハウは少なくともそのくらいの距離を移動できる程度の科学力は持っている可能性が想定されると言う事だ。まぁ、思い過ごしかも知れないが…。」
早速、ハウの痕跡らしきものを見つけたのかも知んないが、それ以上は分からなかったのだ。
知らんけど。(・_・;