Team re:Questの森です。今週も私がメルマガを担当します。
夏に入り暑くなるにつれて日増しに食欲がなくなってくる季節ですが、皆さんはきちんと食事を摂れていますか?
回復期に所属して7年目となりましたが、日頃思うことの一つとして、「またこの患者入院してきたのか」といことがあります。
退院までに身体機能訓練やADL訓練、環境調整などあらゆる手段で在宅復帰へ向け支援をしたにも関わらず、再梗塞や自宅で転倒して再骨折といった理由で再入院されてきます。
なぜそうなってしまったのか、それはケースによって色々な原因が考えられますが、その要因として栄養状態も関与している可能性があります。
回復期リハビリ病棟は、脳血管障害、肺炎その他の疾患による廃用症候群、腰椎圧迫骨折や大腿骨骨折などの運動器疾患などで、集中的なリハビリを必要とする方が入院してきます。
高齢者では、脳血管障害による嚥下障害や認知症による摂食障害を合併していることも多く、入院中に栄養状態が悪化するリスクが高いのです。
これらがサルコペニアを発症、進行させることはリハビリのアウトカムを悪化させることにつながり、またフレイルティの状態から離脱できないまま退院する場合、退院後、転倒・骨折、再入院、肺炎などの疾患の発症リスクにつながる可能性があると言われています。
| Friedによるフレイルティの定義 | |||||
| 以下の5項目のうち、3項目以上に該当 | |||||
| ①体重 | 1年で4.5kg以上減少 | ||||
| ②疲労感 | 自己評価 | ||||
| ③活動量 | 1週間の生活活動量を評価 | ||||
| 男性383kcal未満、女性270kcal未満 | |||||
| ④歩行速度の低下(15フィート[4.57m]を歩く時間) | |||||
| 男性:身長≦173cm 7秒以上、身長>173cm 6秒以上 | |||||
| 女性:身長≦159cm 7秒以上、身長>159cm 6秒以上 | |||||
| ⑤筋力低下 握力で評価 | |||||
| 男性 | 女性 | ||||
| BMI≦24.0 | 29.0kg以下 | BMI≦23.0 | 17.0kg以下 | ||
| BMI24.1~26.0 | 30.0kg以下 | BMI23.1~26.0 | 17.3kg以下 | ||
| BMI26.1~28.0 | 30.0kg以下 | BMI26.1~29.0 | 18.0kg以下 | ||
| BMI>28.0 | 32.0kg以下 | BMI>29.0 | 21.0kg以下 | ||
実際に患者の栄養状態は良好で、適切な栄養管理がされているという前提は成立せず、むしろ低栄養で不適切な栄養管理下の患者が多いと言われています。
リハ施設では低栄養のおそれあり(At risk)の割合が41.2%で、栄養状態良好の割合はわずか8.5%という報告があります。つまり、急性期病院だけでなく回復期リハビリ病院にも低栄養の患者が多いということです。
低栄養や不適切な栄養管理下で、レジスタンストレーニングや持久力増強訓練など、積極的な機能訓練を1日2~3時間行われることで、低栄養、筋力・持久力の低下が進行して、飢餓の可能性も出てきます。
つまり低栄養が身体機能・ADLの向上を阻害する因子となってくるのです。
脳卒中患者において、低栄養状態での歩行自立獲得の割合が約3割で、低栄養でない患者の約6割に比べてかなりの差がみられることや自立到達時期も低栄養では約2倍の期間を要すといった報告もあります。また血清アルブミン(Alb)が低いほど在宅復帰の割合が低くなるといった報告もされています。
大腿骨近位部骨折においても、受傷前屋内独歩の方が回復期リハビリ病院退院時に独歩獲得となるか、または歩行器・杖歩行未獲得となるかには栄養状態が関与している可能性があり、これは受傷前から存在する低栄養やそのAt risk、または骨折や手術によるサルコペニアによるものが考えられるといった報告もされています。
回復期リハビリでも栄養管理は重要だということが分かっていただけたでしょうか。在宅復帰へ向けて身体機能・ADL向上を目指すためにも栄養管理といった視点も持って患者をみていくことが大切ですね。
セラピストも身体が資本です。バランスのよい食事をきちんと摂って夏バテにならないように気をつけていきましょう。