作業療法アプローチ研究会「Team,re;Quest」のブログ -14ページ目

Team re:Questの森です。8月に入りましたが、7月号最終部のメルマガです。

前回はリハビリと栄養についてのお話をしましたが、今回はその続編です。

ICFでは、適切な予後予測のもとでリハビリと栄養管理を実践することと提案されています。ICFの心身機能には第1レベルに消化器系、代謝系、内分泌系、第2レベルに摂食機能、消化機能、同化機能、体重維持機能、全般的代謝機能、水分・ミネラル・電解質バランスの機能があります。つまり、栄養状態も含めて全人的に患者を評価することが、本来のICFの活用方法とされているのです。

ADLを判断指標としたものでBarthel index(BI)を用いた研究でも、栄養不良患者の改善度合いが低い結果にあったとの報告があり、脳卒中患者においては褥瘡発生率も高く、入院が長期間におよび、自宅復帰率が低いとする報告もあります。


これらは回復期リハビリ病院においても考えなければならない重要な要素ですよね。

では、実際にどういった形で栄養状態は評価されるのか。



まずは栄養スクリーニングとして、BMI、体重減少、嚥下・消化器系機能、歩行能力、上腕・下腿周囲長や握力、上腕三頭筋皮下脂肪厚、食事量、血液生化学的検査値、認知症やうつの有無、精神的ストレスなどを評価します。

ポイントとして栄養障害、摂食・嚥下障害、サルコペニアを認めるかをみて、栄養管理は適切か、機能改善を目標としたリハビリを実施できる栄養状態かを判断します。

例えば、BMI18.5以下の場合は運動により異化作用がさらに亢進する可能性があるため、運動療法より栄養療法を優先する。

血液生化学的検査値でみるポイントとして、Alb値が3.6g/dl以上であれば栄養状態が良好であることが多いとされています。Alb3.6以上が正常、2.83.5が軽度栄養障害、2.02.7が中等度栄養障害、2.0未満が高度栄養障害となります。

軽度栄養障害では、筋肉量の減少がみられるため易疲労のため、休息を多くとるなどの負荷調整が必要。中等度では、創傷治癒遅延や免疫機能障害のため、週単位で状態に合わせた負荷調整が必要。高度では筋肉量、筋力、持久力とも低下していることが多く、機能維持を目標として栄養改善を優先し(栄養状態が改善傾向であれば機能改善を目標にできることもある)、拘縮予防や褥瘡防止など他動的運動を中心に行うことが望ましいとされています。


またエネルギーバランスをみて、栄養管理が適切かどうかを判断します。

エネルギーバランスとは、エネルギー摂取量とエネルギー消費量の差をみるものです。

訓練によるエネルギー消費量の例としては、体重50kgの患者が3Mets程度の運動(歩行・軽~中等度レジスタンストレーニング)を3時間行う場合、以下のようになります。

  1.05×50×3×3472.5 kcal

エネルギーバランスがマイナスの場合、現在の栄養管理は不適切と判断でき、今後の栄養状態は悪化すると予測できます。

低栄養状態で体重増加を目指す場合はエネルギーバランス+200500 kcal、過栄養で体重減少を目指す場合はエネルギーバランス-200500kcalを目安とするとされています。

通常の栄養管理の場合と栄養強化した場合の差を比較したところ、BIが上昇するとともに、死亡比率は低率で自宅退院率は高く、在院日数も短縮したという報告もあります。

回復期リハビリ病棟においても、診療報酬改定により、重症度の高い患者を受けもつ機会も増えてきました。そのような患者にはどのような目標を設定し、リハビリを提供していますか?リハビリの目標を機能改善とするか機能維持とするかを、現在の栄養状態と栄養管理をみて判断するのです。

FIMにおいて、食事は自立度が高い項目といわれています。食事動作では問題とならない場合でも、栄養状態が良好でなければADLの向上、さらには在宅復帰へとつなげられなくなる可能性があるのです。

患者の日々の食事はどのようなものを口にしているのか、摂取量はどうか、どういったものを好むのか、OTとして知っておくことも大切ですよね。

食事場面をみに食堂へ行くことで、NsST、管理栄養士との情報共有も可能なります。このような場を活用することも、チーム力の向上・医療の質の向上へとつながるのでないでしょうか。

患者をみるのに機能的やADLといったところに視点が偏ったりしていませんか?

リハビリ目標があいまいで,「やっているだけリハ」に陥ってはいませんか?

チーム内で「誰かがやるだろう」といった他人任せにはなっていませんか?

チーム全体で患者のリハビリ目標を共有できていますか?

現在の回復期リハビリ病棟は人件費の問題などから経験の浅いセラピストが多いと思われます。よりよいリハビリを提供するためには、チーム力の向上が必要です。そしてその前提に私たちセラピストの成長が求められます。

患者のために一生懸命取り組んだことが治療を通して変化をもたらし、それがまたセラピストへ返ってくるように思います。私にとって関わった方々が身体的にも精神的にも元気になることが、私のモチベーションとなっているからです。何を頑張るか、人それぞれ違いはあると思いますが。



回復期で働くOTとして日々思うことを書きました。私自身もまだまだ課題はたくさんありますが、読んでいただいた方の気づきになればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。