日本銀行の白川総裁は景気について「当面は下げ止まりの動きが次第に明確になっていく可能性が高い」とのことだ。

[日経]景気「下げ止まりつつある」 日銀地域経済報告、判断引き上げ  日銀は6日、全国支店長会議でまとめた7月の地域経済報告(さくらリポート)を発表した。景気の総括判断について、「悪化ペースが鈍化しており、下げ止まりつつあるものの、引き続き厳しい状況にある」との認識を示した。前回4月の「大幅に悪化している」から総括判断を引き上げた。総括判断を引き上げたのは2006年10月以来、2年9カ月ぶり。地域別では、全9地域が判断を引き上げた。全9地域が総括判断を引き上げたのは、06年1月以来、3年半ぶり。
地域別では、関東甲信越が、前回の「大幅に悪化している」との認識から、「大幅に悪化したあと、下げ止まりつつある」に引き上げた。東海地方も前回の「急速に下降している」から、今回は「輸出と生産の持ち直し等から、下げ止まりつつある」とした。一方、北海道は、「低迷している」と判断。前回の「厳しさを増しており、低迷している」から「厳しさを増しており」との表現を外したものの、引き続き厳しい認識を示した。東北、北陸、近畿も判断を引き上げながらも「厳しい状況」と表現した。

地域経済報告では日銀が3カ月ごとに開く支店長会議に向けて集めた情報をもとに全国9地域の景気判断を行うこととなっている。


総括判断の引き上げは2006年10月以来、2年9カ月ぶり。また全9地域の上方修正は2006年1月以来、3年半ぶりとなる。


国内外で在庫調整が進んだことから輸出や生産が持ち直しを続けるほかに公共投資も増加を続けるとの見通しとした。そして景気の現状は大幅に悪化したあとに下げ止まりつつあるとの判断を維持した。


ただし企業収益の現状について大幅な悪化を指摘し、設備投資も大幅に減少とした。その結果、雇用や所得環境の厳しくなり、個人消費も弱まり、住宅投資も減少しているとのことだ。


現状、雇用情勢は雇用調整の動きが続き、有効求人倍率は低下。雇用者所得も所定外給与や特別給与の減少などから減り続けている。個人消費も厳しい雇用・所得環境の下で各地域で弱い状態が続いている。


そして今後も民間需要については引き続き弱まっていく可能性が高いとした。


個別に目を向けると家電販売(薄型テレビなど)、乗用車販売(ハイブリッド車など)など一部に政策効果がみられているが、大型小売店の売り上げは衣料品や宝飾品を中心に弱い動きが続いているとのことだ。また旅行・レジャーも新型インフルエンザの影響もあって国内、海外とも弱い動きとしている。


そして白川総裁は総括判断として「悪化ペースが鈍化しており、下げ止まりつつあるものの、引き続き厳しい状況にある」とした。前回が「大幅に悪化している」であるからかなりの改善となる。


ハズレ社会人-白川総裁


国内の金融システムについては「内外金融資本市場における緊張感が和らいでいることなどを背景に、全体としては落ち着きを取り戻しつつある」としながらも、「金融機関の2008年度決算は赤字が相次ぎだ。また金融機関の間の経営体力のばらつきが拡大しているなど、金融機関経営の動向は引き続き注意が必要な状況にある」と指摘。


国内の金融環境については「コマーシャルペーパー(CP)・社債市場の発行環境が一段と改善してきているほか、銀行貸し出しは大企業向けを中心に高めの伸びを続けている」と指摘したものの、企業の資金繰りは「悪化に歯止めがかかる動きが見られるものの、なお厳しい先が多い」との見方を示した。


世界経済について「昨年秋以降、米欧の金融システムや国際金融資本市場の動揺が深刻化する中、世界経済は同時かつ急速に悪化したが、最近では、金融・実体経済の両面で悪化テンポの鈍化あるいは下げ止まりの動きがみられる」と明るい兆しを指摘。


最後に白川総裁はその上で「日銀としては、当面、景気・物価の下振れリスクを意識しつつ、わが国経済が物価安定の下での持続的成長経路へ復帰していくため、中央銀行として引き続き最大限の貢献を行っていく方針である」とした。


今後の持続的成長へ持っていくための施策に期待する。


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