オバマ大統領は任期満了までに財政赤字を半減する目標を掲げている。さらに歳出増につながる医療保険制度改革も行う。09年度、10年度がこの見通しで果たしてオバママジックがあるのか。

[日経]米財政赤字、180兆円に拡大 予算教書 09年度、税収下振れ  オバマ米大統領は11日、政権発足後初の予算教書の詳細を発表した。2009会計年度(08年10月-09年9月)の財政赤字を過去最大の1兆8410億ドル(約180兆円)と予測。赤字幅は2月に示した予算の基本方針での予測から890億ドル拡大した。米財政赤字は国内総生産(GDP)比では12.9%と、2月予測からさらに0.6ポイント悪化する。
赤字拡大は景気悪化による税収見積もりの下振れに加え、失業対策や金融安定化関連で歳出増を見込んだため。10会計年度(09年10月-10年9月)の財政赤字も1兆2580億ドルと、2月予測から870億ドル拡大。GDP比では2月予測より0.5ポイント高い8・5%となる。

今年2月から3ヶ月で09年の見通しで890億ドル、10年の見通しで870億ドルも赤字が増えた。国内総生産(GDP)比でいえば0.6ポイントも悪化し戦後最悪となる12.9%まで悪化した。


これまで最大だった08年度の4590億ドルの約4倍にも上りさらに1兆ドル超の巨額赤字が2年も続くのだ。


さらに日本でもよくよく取り上げられる累積財政赤字となると日本を軽く抜き、実に11兆2700億ドル(約1100兆円)となる。


これも7870億ドル規模の大型景気対策に加えて、金融機関や自動車大手への資本注入に活用する7000億ドルの金融安定化対策によって赤字が過去に類を見ない空前の規模に膨らんだためだ。


また追加でさらに2500億ドルもの公的資金を必要に応じて追加する条項も盛り込んでいるので増加することは確定的であろう。


しかも経済危機により景気が低迷したために税収が減り、失業保険などの社会保障費が増えたことも追い討ちをかけている。


先日発表されたストレステストの結果であるが、おそらくデタラメであろうことを考慮すれば資本注入が必死の情勢でありさらなる赤字拡大に繋がるであろう。


ハズレ社会人-オバマ大統領


当時を振り返ってみるとオバマ大統領はブッシュ前政権から引き継いだ1兆3000億ドルの財政赤字を1期目の4年間で半減することを掲げた。


それが現状09年度で1兆8410億ドルとなっていることから単純に引けば1兆1910億ドルの削減を4年足らずで行うという計算となる。


今後の赤字額の予測推移も出したのだが10年度に1兆2580億ドル、11年度に9290億ドル、そして13年度には5120億ドルに減少するとなっており非常に摩訶不思議なシナリオとなっているのだ。


長期ビジョンにおいても10年間で歳出を2兆ドル抑制する目標を提示した。そして経済再生と財政健全化を両立することも明言したのだが。


09年度の歳出見込みは3兆9980億ドルであり、10年度の歳出見込みも3兆5910億ドルとなっている。


10年度には医療保険や教育などの分野での歳出が含まれていることを想定すればプラス1兆円程度は上乗せされるのではないだろうか。


肝心の経済見通しのほうも2月と変わらずを想定しており09年暦年の実質経済成長率はマイナス1.2%、10年はプラス3.2%、11年はプラス4.0%と高成長を見込んでいるのだがかなりの疑問符が付く。


おそらくオバマ大統領が最終最後に狙っているのは「プラハ演説 」から想像できる軍事費の大幅削減となるのだろうか。


このような危機的な状況に陥っている米国にあって米国議会では必死に危機だ危機だと共和党議員が叫んでいる状況だ。


ただ返済能力を考慮している債務残高のGDP比を考えた場合に米国以上に深刻で瀕死な国が存在する。当然のことながら我が国、日本である。


米国の3分の1以下の国内総生産(GDP)しかない日本に900兆円もの赤字が存在する。国会議員はこれがどれほ深刻なのかを真剣に議論すべきだ。


にほんブログ村 経済ブログ


政治・経済を考えるハズレ社会人のオツカレ本棚


    世界金融危機はなぜ起こったか      ウォールストリート・ジャーナル発、米国金融危機の全貌     日本の金融危機