オツカレです。


ものづくり企業の看板を外し、ソニー・ユナイテッドへ脱皮できるか。

[27日 日経]ソニー、ストリンガー会長が社長兼務 再建へ権限集中  ソニーは27日、ハワード・ストリンガー会長兼CEO(最高経営責任者、67)が4月1日付で社長を兼務すると発表した。中鉢良治社長(61)は代表権のある副会長に就く。ソニーは世界景気悪化や円高の影響でエレクトロニクス(電機)事業の収益が悪化、2009年3月期は1500億円の連結最終赤字に転落する見通し。ストリンガー会長に権限を集中し、経営立て直しを急ぐ。
都内で記者会見したストリンガー会長は「危機的な状況だから社内の階層を減らし、担当者と直接やり取りする必要がある」と説明。薄型テレビなど電機事業のコスト削減や製品開発を直接指揮していく考えを示した。中鉢社長は「次の成長戦略は若い世代の新しい感覚で取り組むのが最善」と述べた。

ストリンガー会長の実績は以下の通りである。
・米国事業を成長させる。
・映画事業を軌道に乗せる。コロンビア・MGMの買収。
・レコード事業の完全統合。BMGを買収。


しかしこの裏で断行したのは日産のゴーン会長と同じくコストカットである。自社製品が熟れていないのに収益が上がるという不自然な現象が続いた。


それでも今回の経済危機によりソニーはテレビやデジタルカメラなどのエレクトロニクス部門の業績不振を極めた。


2009年3月期連結決算で過去最大となる2600億円の営業赤字に陥り、14年ぶりに赤字に転落する見通しだ。


そこでさらなるコストカットとして国内外で正社員を含む1万6000人以上を削減する計画を打ち出した。


来期(2010年3月期)の費用削減額(今期比)は、1月22日時点の計画の 2500億円よりも増やし3000億円程度を見込んでいる。


また「利益があがらない製品は撤退を考える」と述べており追加リストラに踏み切る可能性も示唆している。


株主にとっては大変良い会社なのだろうがとても会社を長期に渡って安定成長させようという気概が感じられない。


今回の人事は、エレクトロニクス部門を統括する中鉢社長の責任を明確化し、ストリンガー会長に権限を集中させて経営再建を急ぐ狙いがある。


つまり中鉢社長のハードウエア事業、ストリンガー会長のソフトウエア事業という二頭体制が崩壊した。


ここで経済危機という棚ボタ勝者であるストリンガー会長が全権掌握しソフトウェア重視に傾いた。


ハズレ社会人-ストリンガー会長

目指すべきはエレクトロニクス製品とネットワークとの連携や、ゲームソフト、映画や音楽などコンテンツとの相乗効果を狙う事業路線。


ストリンガー会長も「ソニーはエンタテインメント企業ではなくエレクトロニクス企業だが、ネットワークにつながれた製品とサービスで事業展開していく。単にハードだけでなく、ソフトも含めた製品。ネットにつながるサービスを提供しながら、革新的なハードを提供していく。」 とのことだ。


つまりエレクトロニクス以外の様々な事業をグローバルに展開している同社の状況を踏まえての「ソニー・ユナイテッド(一体化されたソニー)」。


ものづくり企業「技術のソニー」の看板を下ろすつもりなのだ。世界で最も有名な日本企業」に登りつめたのは、「ウォークマン」「ハンディカム」「トリニトロン」などがあったのに。


成功体験なくして求心力は生まれない。過去受け継がれた「モノ作り遺伝子」は薄まることが必死の情勢となろう。


市場関係者のコメントもネガティブだ。
「ストリンガー会長が社長兼務というのはネガティブな第一印象で、投資家にとっては売り要因」
「この経営体制で何が新しいのか。投資家が期待しているものとはかけ離れている」


振り返ってみると2000年前後からソニーは製造業としてのあり方、方向性に迷ってきた。


これには出井前会長が推し進めたグローバル企業への経営変革、ネットワーク重視路線というものがある。


これらを行うためにストリンガー会長を招へいし、その後外資同様にM&Aを加速させ短期的な成長に成功した。


しかしこの間に薄型テレビ事業については競合他社に大きく出遅れた。中核部品である大型液晶パネルを自社製造をしなかったのだ。


この頃からものづくり企業としての綻びがあったと考える。逆にサムスン、L&Gなど韓国企業の台頭にはソニーの優秀な人材流出もあったとも考える。


そして重要な今後の展開なのだが決して先行きも明るくないと考える。


ソニーはエレクトロニクス企業なのだが、ストリンガー会長は本業のエレクトロニクスに関して思い入れがみられない。


つまり前述のようにソニーのDNAを一度消し去ることをも念頭に入れたソニーにとって大きな方向転換といえる。。


しかしソニーはパソコンもゲーム機も全体の市場シェアは低いのだ。デジタル家電においても単品として切り出している。


これでは他の家電メーカーも主戦場と考えている将来有望なホームネットワーキングのソリューションが展開できないのだ。


待ち構えるのは利益が上がらない製品の撤退と切り売りだろう。現在の日産のような位置になろう。


問題はゴーン会長、ストリンガー会長ともに自身の責任を負えずに平気でコストカットと称して人員削減を行うことだ。


人材育成なくして会社の成長はないのだが。景気復活のときに日本的経営VS欧米的経営の勝者がどうなっているのか注目だ。


オツカレでした。


政治・経済を考えるハズレ社会人のオツカレ本棚


    ソニー魂      貯金のできる人できない人     ソニーをダメにした「普通」という病