日常会話で使う英語は中学英語で十分だ、と言う人がいる。確かに、簡単な意思疎通を図るだけなら、中学レベルの単語と表現を自在に使えるようになることが一番の近道だろう。それでも私は、ネイティブレベルの単語を知っていた方が英語を楽しめると思う。それにはいくつか理由がある。

 

第一に、知っている単語の数が増えると、理解できる英語の文章レベルは飛躍的に上がる。ニュースサイトでも科学論文でも、理解の妨げとなるのは単語の知識不足だ。一見難しく見える文章でも、理解するのに必要な文法知識はそれほど多くない。高校までに習った英文法で十分だ。どんなに難しく見える文章でも、知らない単語さえなれば、高校生だってほとんどの文章を理解できるはずだ。

 

第二に、難しい単語ほど、実は覚えるのが簡単だ。中学レベルの単語というのは、実は使用方法が途方もなく幅広い。それは、基本単語を辞書で引いてみればわかる。getという単語だけで、辞書数ページにも渡る解説があるはずだ。一方で、いわゆる上級単語というのは、その用法が非常に限られる。英検1級レベルの単語などは、限られた場面、限られた単語との組み合わせでしか使用されないケースが多い。いわゆる、単純な丸暗記で事足りる場合が多いのだ。

 

第三に、難しい単語は、見て理解できれば十分だ。英語で論文でも書くのでなければ、自分が話したり書いたりする英語は中学レベルで問題ない。いわゆる難しい単語は、読んで理解できれば十分だ。日本語でも、読めるけど書けない漢字はたくさんある。ニュースで聞けば意味はわかるけど、自分では使わない表現も多いだろう。難しい単語の学習するときは、その程度の深さでいい。無理に自分のものにしようとするのではなく、見たり聞いたりしたときに、なんとなくこんな意味だったなと思えるくらいでちょうど良い。そう考えれば、身構えることなく気楽に勉強できるし、その割にそのメリットは驚くほど大きい。

 

結局のところ、単語を覚えようとしないのはただの食わず嫌い。知ってる単語が増えると世界が変わる。日本の英語学習者がそのことを少しでも理解してくれたら、日本人の英語レベルは飛躍的に上がると思うのだけれど。