心霊動画騒動
すっかり放置してゴメンナサイ……。
そして、何事もなかったかのように更新します……!
◆◆◆
俺&中目黒目黒は怖がりのくせに、幽霊話や心霊動画といった“オカルトもの”が大好き。とくに、こういったコンテンツ(?)が盛り上がる夏が近づいてくると居ても立ってもいられなくなり、お互いにネットをうろついて新ネタを探し、「この話知ってる??」、「あの動画は観ましたか???」なんて言い合っているのだ。
そんなある日、俺はネットで、まだ観たことのなかった新手の心霊動画を発見した。“新手の”と言いつつ、そのスジでは有名な動画のひとつらしく、コメント欄には、「うわあああ!!」、「コレはヤバい」、「観なきゃよかった……」なんていう視聴者の声が寄せられていた。同じ趣味を持つ人々からこれほどホメられている(“ヤバい”ってのは最高のホメ言葉)動画となれば、まさに俺と目黒の大好物。当然、「すぐに観たい!!」という衝動にかられるが、同時にこうも思う。
「……最初に観るのヤだな。呪われたらかなわんし」
そこで俺はいつものように、目黒にスカイプした。
「目黒! 新モノの心霊動画見つけたぜ!! URLは……」
すぐに目黒はサイトに飛んだらしく、こんな返事を返してきた。
「うおおお! これはヤバそうっすね!! ……で、大塚さんは観たんすか?」
俺、正直に告白する。
「いや、観てない。だって最初に観るのイヤだし。目黒が観てみて、危険じゃなさそうだったら、俺も観ようと思ってwww」
この発言に、目黒はひどく反発した。
「ちょ!! 俺だって最初に観るのイヤっすよ!!w 大塚さんが観て、内容を教えてくださいよ!!!」
俺たちはしばらくのあいだ、「いや目黒さんからどーぞ」、「いえいえ、ここは先輩の大塚さんから……」なんていう、ダチョウ倶楽部を彷彿とさせる不毛なやり取りをくり返した。しかしけっきょくどちらも踏ん切りがつかず、「さ、仕事しよ……」とかなんとか言って、心霊動画の話題は流れてしまった。
……かに見えたが、じつは裏で話は進行していた。
俺は「絶対に目黒は観ようとしない」と確信していたので、同時に別のスカイプ窓も立て、ある男にメッセージを送ったのである。その“選ばれし者”に向かって、俺はこう切り出した。
「ナバちゃん、お願いがあるんだけど」
“ナバちゃん”というのは、ファミ通ペンネームで言うところの“百人乗っても稲葉”。俺と目黒には絶対に頭が上がらない、後輩中の後輩である。「おつかれさまです!! なんでしょう??」という稲葉に、俺は単刀直入に告げた。
「ちょっと観てもらいたい映像があってね。それを観て、内容と感想を俺に教えてほしいんだけどw」
稲葉の感想いかんによって、自分で観るかどうか決めればいいや。
しばらくの沈黙のあと、稲葉が口を開いた。
「観ましたよ。なんか変なものが映っていましたけど、それほど怖い動画じゃないっすね」
おおお……! ナバちゃんカッコイイ!! 何の躊躇もなく観られる君の度胸に乾杯!!!
「まあ、僕はすでに碓氷峠で呪われている(※)ので、こういうのは平気なんですよ。……そんなことより」
稲葉は、何か言いたそうだった。や、やっぱり何かあったのか? 観ないほうがいいのか!? 固唾を飲んで言葉を待つ俺に向かって、稲葉は衝撃のひと言を発した。
「大塚さんからの依頼と同時に、目黒さんがまったく同じことを言ってきましたよ!!! “ナバちゃん、この動画観て感想教えて”って!!!!」
そのとき、目黒からスカイプが飛んできた。
「大塚さん! この動画、そんな怖くないみたいっすよ!! 稲葉がそう言ってます!!!w」
笑う俺と目黒に、稲葉が雷を落とした。
「なんで俺に毒見をさせるんすか!!w まったく、ふたりともいい歳して!!!」
ナバちゃんの言う通り、その動画はぜんぜん大したことありませんでした。
おしまい。
※碓氷峠で呪われている……いまから10年ほども昔、俺、目黒、稲葉、カメラマンの4人で、群馬県の有名心霊スポットである碓氷峠に取材に行ったことがある。夜中の2時過ぎにここを訪れて取材したのだが、後日、俺と目黒は有名霊能者のもとを訪れて憑いてきた霊を落としてもらった(カメラマンは強力な守護霊に護られているとかで除霊の必要はない、と言われていた)。でもそのとき、スケジュールの都合で稲葉だけ行くことができず、ヤツはいまだに「ずっとカノジョができないのは、あのとき除霊をしてもらえなかったからですよ!」と俺と目黒に絡んでくる。
そして、何事もなかったかのように更新します……!
◆◆◆
俺&中目黒目黒は怖がりのくせに、幽霊話や心霊動画といった“オカルトもの”が大好き。とくに、こういったコンテンツ(?)が盛り上がる夏が近づいてくると居ても立ってもいられなくなり、お互いにネットをうろついて新ネタを探し、「この話知ってる??」、「あの動画は観ましたか???」なんて言い合っているのだ。
そんなある日、俺はネットで、まだ観たことのなかった新手の心霊動画を発見した。“新手の”と言いつつ、そのスジでは有名な動画のひとつらしく、コメント欄には、「うわあああ!!」、「コレはヤバい」、「観なきゃよかった……」なんていう視聴者の声が寄せられていた。同じ趣味を持つ人々からこれほどホメられている(“ヤバい”ってのは最高のホメ言葉)動画となれば、まさに俺と目黒の大好物。当然、「すぐに観たい!!」という衝動にかられるが、同時にこうも思う。
「……最初に観るのヤだな。呪われたらかなわんし」
そこで俺はいつものように、目黒にスカイプした。
「目黒! 新モノの心霊動画見つけたぜ!! URLは……」
すぐに目黒はサイトに飛んだらしく、こんな返事を返してきた。
「うおおお! これはヤバそうっすね!! ……で、大塚さんは観たんすか?」
俺、正直に告白する。
「いや、観てない。だって最初に観るのイヤだし。目黒が観てみて、危険じゃなさそうだったら、俺も観ようと思ってwww」
この発言に、目黒はひどく反発した。
「ちょ!! 俺だって最初に観るのイヤっすよ!!w 大塚さんが観て、内容を教えてくださいよ!!!」
俺たちはしばらくのあいだ、「いや目黒さんからどーぞ」、「いえいえ、ここは先輩の大塚さんから……」なんていう、ダチョウ倶楽部を彷彿とさせる不毛なやり取りをくり返した。しかしけっきょくどちらも踏ん切りがつかず、「さ、仕事しよ……」とかなんとか言って、心霊動画の話題は流れてしまった。
……かに見えたが、じつは裏で話は進行していた。
俺は「絶対に目黒は観ようとしない」と確信していたので、同時に別のスカイプ窓も立て、ある男にメッセージを送ったのである。その“選ばれし者”に向かって、俺はこう切り出した。
「ナバちゃん、お願いがあるんだけど」
“ナバちゃん”というのは、ファミ通ペンネームで言うところの“百人乗っても稲葉”。俺と目黒には絶対に頭が上がらない、後輩中の後輩である。「おつかれさまです!! なんでしょう??」という稲葉に、俺は単刀直入に告げた。
「ちょっと観てもらいたい映像があってね。それを観て、内容と感想を俺に教えてほしいんだけどw」
稲葉の感想いかんによって、自分で観るかどうか決めればいいや。
しばらくの沈黙のあと、稲葉が口を開いた。
「観ましたよ。なんか変なものが映っていましたけど、それほど怖い動画じゃないっすね」
おおお……! ナバちゃんカッコイイ!! 何の躊躇もなく観られる君の度胸に乾杯!!!
「まあ、僕はすでに碓氷峠で呪われている(※)ので、こういうのは平気なんですよ。……そんなことより」
稲葉は、何か言いたそうだった。や、やっぱり何かあったのか? 観ないほうがいいのか!? 固唾を飲んで言葉を待つ俺に向かって、稲葉は衝撃のひと言を発した。
「大塚さんからの依頼と同時に、目黒さんがまったく同じことを言ってきましたよ!!! “ナバちゃん、この動画観て感想教えて”って!!!!」
そのとき、目黒からスカイプが飛んできた。
「大塚さん! この動画、そんな怖くないみたいっすよ!! 稲葉がそう言ってます!!!w」
笑う俺と目黒に、稲葉が雷を落とした。
「なんで俺に毒見をさせるんすか!!w まったく、ふたりともいい歳して!!!」
ナバちゃんの言う通り、その動画はぜんぜん大したことありませんでした。
おしまい。
※碓氷峠で呪われている……いまから10年ほども昔、俺、目黒、稲葉、カメラマンの4人で、群馬県の有名心霊スポットである碓氷峠に取材に行ったことがある。夜中の2時過ぎにここを訪れて取材したのだが、後日、俺と目黒は有名霊能者のもとを訪れて憑いてきた霊を落としてもらった(カメラマンは強力な守護霊に護られているとかで除霊の必要はない、と言われていた)。でもそのとき、スケジュールの都合で稲葉だけ行くことができず、ヤツはいまだに「ずっとカノジョができないのは、あのとき除霊をしてもらえなかったからですよ!」と俺と目黒に絡んでくる。