同窓会 その3 | 大塚角満オフィシャルブログ「大塚角満のブログ」Powered by Ameba

同窓会 その3

 自己満同窓会日記が、すっかり止まっておりました。まあ、自己満だからいいんだけど……w

 旧友との再会で真っ先に話題に上るのが、「変わってないな」もしくは「老けたな」という、容姿にまつわることだ。俺は事前に、何人かの同僚や仲間から「きっと“若い!”って言われますよ」というお墨付きをもらっていたのだが、俺に限らず、マスコミやゲーム業界に身を置いている人は年齢不詳が非常に多いと思う。皆、総じて若く見える。ウチの編集長なんて絶対に俺より年上に見えないし、編集部員たちも基本的に、若いころとほとんど変わらない。これはやはり、めまぐるしいまでに新しい情報が飛び込んでくるゲーム業界に身を置き、さらに子どものころと変わらぬマインドでゲームに興じている影響が大きいのだろう。

 幼馴染たちとの再会は、しみじみと楽しく、そして心温まるものだった。俺よりも早く中学時代の同窓会を実行した中目黒目黒から「ぶっちゃけ、誰ひとりして名前と顔が結びつきませんでしたよ……」と聞かされていたので少々ビクビクしていたのだが、俺はまったくそんなことはなく、ほとんどの連中の顔、名前、当時のニックネームを思い出すことができた(一部、まったくわからなかった人もいるがw)。わずかな面影をたよりに、20年以上前のニックネームが瞬時に口の端に上ってきて、「もしかして、○○!?」なんて呼び合う瞬間の高揚感は、ちょっと筆舌に尽くしがたいものがあったよ。

 そんな感じでいろいろな旧友と話しているうちに定刻となり、同窓会の本番がスタートした。

 まずは、中学3年時の担任の先生により出席が取られる。俺が所属していた3年3組(じつは2組だと勘違いしていて、2組の記念撮影に入ってしまいそうになったw)の担任は、女性のH越先生だ。H越先生の「オオツカヒデユキ君!!」というよく通る声に背中を押され、「はいっ!」と元気に返事をする。ちょっとくすぐったい感じがしたけど、当時を思い出させるいい演出だなと思った。

 この後、式次第には“歓談”とだけあったので、飲み物を手に会場をウロウロした。するといろいろなヤツに呼び止められて、「おーちゃん、ひさしぶり!! まあ飲んでよ!」とビールを注がれそうになる。しかし残念なことに、俺はこの日体調が悪くて「酒はやめとくわ」と断るハメに……。……って、じつは前日飲み過ぎたためヒドい二日酔いになっていて、身体が1滴たりとも酒を受け付けなかったんだけど(苦笑)。

 今回の同窓会には、60名弱の同級生が集まった。かなりの数に思えるが、同級生の総数は170人くらいなので、幹事(苗字が“新井”ってだけで、あだ名は“チュウ”)に言わせると「もうちょっと集めたかったいね~」とのこと。それでも、個人的には「ぜひこいつに会いたい!」って人と会えたので大満足だったけど。

 そのひとりが、ニックネームで言うところの“ぼっちゃん”だ。中学当時、俺、Y岡、A木、ぼっちゃん、そして今回は不参加だったGという5人は何をするのもいっしょで、部活が終わる夕方6時すぎからぼっちゃんの部屋に集まり、毎日のように夜遅くまでファミコンに興じていたのである。

 そんな5人だったが歳を取るにつれて会う機会は減ってゆき、なかでもぼっちゃんとは20年ものあいだ没交渉となってしまっていた。そう、成人式以来、会っていないのだ。なので同窓会の案内をもらったときから(ぼっちゃんと会えるといいなあ)と密かに思っていたのである。そして今回、幹事の努力の甲斐あってぼっちゃんとのコンタクトに成功。晴れて20年振りに、親友4人が顔を合わせることとなったのだ。

 4人が揃ったとき、ぼっちゃんは真っ先に俺の近況を聞いてきた。それに対して俺は、「ファミ通っていうゲーム雑誌で、ずっと編集者やってるよ」と答える。するとY岡が言葉を引き継ぎ、ちょっと忌々しそうな顔をしながらこんなことを言った。

「こいつさ、さんざん4人でゲームで遊んでいた時代を、そのままいまの仕事につなげてんだよ。大塚だけ、あんときのままみたいなもんだよな」

 これを受けて、A木が愉快そうに笑った。

「懐かしいな!!w ホントにあのころは、毎日ぼっちゃん家に行ってゲームばっかやってたよな。『スーマリ2』の無限1upを発見したりとかさー」

 Y岡、「はっ!」とした顔になってつぎのように言う。

「そうだよ! あれ、絶対に俺らが日本で最初に発見したんだぜ! ……で、ファミ通だっけ? 裏ワザコーナーに投稿したよな?w あのとき、ハガキになんて書いたか覚えてるか?

 俺たち4人は声を揃えて、元気な声でこう言った。

“『魔界村』ください!”だろ!www」

 驚くほど、思い出って色あせないんだなあ。

 そんな4人の会話の最後に、ぼっちゃんがちょっと遠い目をしながらこんなことを言った。

「そういえば、覚えてる? “将来、俺たち5人で街を作ろうぜ”って話してたことを」

 俺とY岡は「ん?」と言って顔を見合わせた。Y岡の顔には「そんな話したっけ?」と書いてある。しかしぼっちゃんは俺たちの反応などいっさい気にせず、歌うように話し始めた。

「覚えてない? 俺が建築屋になって家を建てて、A木は床屋を継いで俺たちの髪を切る。Gは電気系の道に進んで街の配線をし、大塚は街の出来事を伝える記者になる……って。Y岡だけは、何をするのかわからなかったけどさw」

 ああ……。言われてみると確かに、そんなことを語り合ったっけ……。

 当時、俺たちは河原で焚き火をするのが趣味のひとつだったが、なぜか焚き火を前にすると殊勝な気持ちになって、ふだんは滅多にしない将来のこととか恋愛のことなんかを、しみじみと語り合っていたのだ。そのときに、この話をしたような気がするよ……。

「いまのおまえらを見ると、意外なほどあのとき話した通りの道に進んでいるんだよな。なので、思い出したんだと思う」

 とぼっちゃん。当時は聞いたことすらなかった“SE”という職業に就いたY岡の進路だけは見えなかったが、確かに俺たちは、あのころぼんやりと語り合った道に進めているのかもしれないなぁ。

 気が向いたらもう1回くらい、同窓会シリーズ書くかもです。