今日の出来事 その3
今日じゃなくて、もう2日前のことだけどw
ハンターでごった返す幕張メッセのホールでウロウロしていると、ある親子ハンターに声を掛けられた。
「あのぉ~……。人違いだったらスミマセン。もしかして、大塚角満さんですか……?」
緊張気味にそう言うお父さんの年恰好は、俺と同世代くらいに見える。いっしょにいた活発そうな娘さんは、小学校高学年てところか。
お父さんの声掛けに対し、俺は紛れもなく大塚角満だったので躊躇なくこう応えた。
「はい。まさに、その大塚ですよー」
これを聞いたお父さん、「やっぱり! よかった~……」とその場にへたり込みそうなくらいホッとした様子を見せ、続けて意気込んだ口調で自己紹介を始めた。
それによるとこのお父さんは、以前エンターブレインが運営していたSNSの会員で、俺ともやり取りをしたことがあるという。
「そこでのハンドルネームは“V”(Vで始まる単語ってことね)でした」
V……? ……あ! 聞き覚えがある! 俺がはっとしたのがわかったのだろう。お父さんはトドメのひと言を発した。
「ハンドボールの話をさせていただいた……」
あああああ!! あのVさんか!! 俺はすべてを思い出した。
俺は学生時代にハンドボールをやっていて、中学、高校とも全国大会に出た。とくに高校のときは全国のさまざまな強豪校との対戦に明け暮れており、そのうちの1校がVさんのいた高校だったのである。Vさんは俺よりひとつ年下で、彼が所属していた埼玉の強豪チームとは確かに何度も対戦したことがあった。
「○○カップの決勝で激突しましたよね!! 延長戦までもつれ込んだあの試合で、相手のゴールキーパーが大塚さんだったんだよなぁ……。いまだに鮮明に覚えていますよ!」
Vさんはうれしそうに、当時のことを話してくれた。その話を聞いているだけで、20年以上も前の砂埃の匂いと松脂の感触が、脳裏にリアルに蘇った。※ハンドボールでは指に松脂をつけてボールを操るのです。
「あ、そうそう! もしも今日会えたら見せようと思って、こんなものを持ってきましたよ!」
Vさんはそう言って、カバンをごそごそと探った。そして「これこれ……」と言って、古びた雑誌を1冊取り出す。ナンダナンダと思って見てみると、その雑誌が発行されたのは20年以上も昔で、表紙では泥にまみれたユニフォームを着た選手が、手にしたボールを放とうとしていた。紛れもない、ハンドボールの専門誌である。なんとなく、見覚えのある表紙だった。
「このページを見てください」
Vさんに促されるまま、付箋が貼ってあったページを開いた。そして……。
「あ……! これって……!!」
俺はモンハンフェスタの会場で、あられもない悲鳴にも似た声をあげた。ここ5年くらいでは最高に驚いた瞬間かもしれない。
Vさんが持ってきたその雑誌には、俺が高校3年のときに出場した高知のインターハイの模様が特集されていた。俺の高校も、出場選手のリストが写真付きで掲載されている。もちろん俺も、モノクロのページに小さくだけど、かつての仲間たちといっしょの集合写真に収まっていた。いまよりも、20歳以上も若い姿で--。
「うわぁぁぁ~……。懐かしすぎる!! よくまあ、こんなに古い雑誌を持っていましたね……。心から驚いたわ……」
掲載されているこの写真、確かインターハイの準々決勝で負けた直後に雑誌社のカメラマンに撮られたんだよな。あとで学校に写真が送られてきたのでいまだに俺も持っているけど、カラーで見るとメンバー全員がヘロヘロの顔してるんだよねぇ……^^;
そんなことが、瞬時に頭をよぎった。
Vさん、貴重なものをありがとうございました。忘れかけていた大事なことを、たくさん思い出した気がします。
当時同じ夢を見ていた仲間たちに会って、昔話に花を咲かせたくなった。
そんな、ステキな出来事--。
ハンターでごった返す幕張メッセのホールでウロウロしていると、ある親子ハンターに声を掛けられた。
「あのぉ~……。人違いだったらスミマセン。もしかして、大塚角満さんですか……?」
緊張気味にそう言うお父さんの年恰好は、俺と同世代くらいに見える。いっしょにいた活発そうな娘さんは、小学校高学年てところか。
お父さんの声掛けに対し、俺は紛れもなく大塚角満だったので躊躇なくこう応えた。
「はい。まさに、その大塚ですよー」
これを聞いたお父さん、「やっぱり! よかった~……」とその場にへたり込みそうなくらいホッとした様子を見せ、続けて意気込んだ口調で自己紹介を始めた。
それによるとこのお父さんは、以前エンターブレインが運営していたSNSの会員で、俺ともやり取りをしたことがあるという。
「そこでのハンドルネームは“V”(Vで始まる単語ってことね)でした」
V……? ……あ! 聞き覚えがある! 俺がはっとしたのがわかったのだろう。お父さんはトドメのひと言を発した。
「ハンドボールの話をさせていただいた……」
あああああ!! あのVさんか!! 俺はすべてを思い出した。
俺は学生時代にハンドボールをやっていて、中学、高校とも全国大会に出た。とくに高校のときは全国のさまざまな強豪校との対戦に明け暮れており、そのうちの1校がVさんのいた高校だったのである。Vさんは俺よりひとつ年下で、彼が所属していた埼玉の強豪チームとは確かに何度も対戦したことがあった。
「○○カップの決勝で激突しましたよね!! 延長戦までもつれ込んだあの試合で、相手のゴールキーパーが大塚さんだったんだよなぁ……。いまだに鮮明に覚えていますよ!」
Vさんはうれしそうに、当時のことを話してくれた。その話を聞いているだけで、20年以上も前の砂埃の匂いと松脂の感触が、脳裏にリアルに蘇った。※ハンドボールでは指に松脂をつけてボールを操るのです。
「あ、そうそう! もしも今日会えたら見せようと思って、こんなものを持ってきましたよ!」
Vさんはそう言って、カバンをごそごそと探った。そして「これこれ……」と言って、古びた雑誌を1冊取り出す。ナンダナンダと思って見てみると、その雑誌が発行されたのは20年以上も昔で、表紙では泥にまみれたユニフォームを着た選手が、手にしたボールを放とうとしていた。紛れもない、ハンドボールの専門誌である。なんとなく、見覚えのある表紙だった。
「このページを見てください」
Vさんに促されるまま、付箋が貼ってあったページを開いた。そして……。
「あ……! これって……!!」
俺はモンハンフェスタの会場で、あられもない悲鳴にも似た声をあげた。ここ5年くらいでは最高に驚いた瞬間かもしれない。
Vさんが持ってきたその雑誌には、俺が高校3年のときに出場した高知のインターハイの模様が特集されていた。俺の高校も、出場選手のリストが写真付きで掲載されている。もちろん俺も、モノクロのページに小さくだけど、かつての仲間たちといっしょの集合写真に収まっていた。いまよりも、20歳以上も若い姿で--。
「うわぁぁぁ~……。懐かしすぎる!! よくまあ、こんなに古い雑誌を持っていましたね……。心から驚いたわ……」
掲載されているこの写真、確かインターハイの準々決勝で負けた直後に雑誌社のカメラマンに撮られたんだよな。あとで学校に写真が送られてきたのでいまだに俺も持っているけど、カラーで見るとメンバー全員がヘロヘロの顔してるんだよねぇ……^^;
そんなことが、瞬時に頭をよぎった。
Vさん、貴重なものをありがとうございました。忘れかけていた大事なことを、たくさん思い出した気がします。
当時同じ夢を見ていた仲間たちに会って、昔話に花を咲かせたくなった。
そんな、ステキな出来事--。