その白い物体は | 大塚角満オフィシャルブログ「大塚角満のブログ」Powered by Ameba

その白い物体は

 ゴールデンウィークに突入して早くも3日目となりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? ワタクシめはアレコレと予定を考えはしたものの、いざ休日を迎えると「なんもする気が起こらんのう」ととたんにキリギリス化し、とくに何かするでもなく家でゴロゴロとPSPをいじくっているのでありました。でも逆の見かたをすると「いま遊んでいるPSPのゲームがあまりにも楽しくて他のことをする気になれない」という側面もあったり。プレイしているのは新進気鋭のソフトメーカー・イメージエポックから発売されたばかりの『最後の約束の物語』で、週刊ファミ通に載るこのゲームの攻略記事(の校正)を読んだ瞬間に、「これ、絶対に俺の好みのゲームだ! 発売されたら絶対に買って絶対にプレイする!!」と突発的な絶対男となって金曜日に買ってきたのである。で、思った通りまんまとツボにハマって「おもしろいおもしろい!」を連発しながら遊び続けているのです。このゲームについてはそのうち、ファミ通.comの“ゲームを読む”のほうで詳しく書こう。そうしようそうしよう。


 でも俺は昔から、集中力がないのか飽きっぽいのか知らないが、どんなに好きなゲームでも7時間も8時間もぶっ続けで遊ぶことができない。ところどころにインターバルをはさまないと、極端に疲れがたまってその後何もできなくなってしまうのである。なので今回もゲームのキリがいいところでPSPの電源を落として、庭に出て木々の手入れをした。本日のターゲットは、やたらと大木に育ってしまったキンモクセイの枝の伐採である。


 このキンモクセイ、秋になって花をつけると周囲一帯に独特の芳香を撒き散らして非常に風情豊かなのだが、春から夏に向かうこの時期にやたらと枝を伸ばし、ワサワサと大量の葉っぱをつけて近隣の家の庭にまで侵食しようと試みようとしやがるので性質が悪いったらない。伸びた枝と葉っぱは、いまや隣のIさん(仮名)宅の2階ベランダに入り込むほどに成長してしまっている。こりゃ1秒でも早く伐採しないと紛争の火種になりかねないぞ……と俺は顔面蒼白となり、ノコギリと高枝伐りバサミを持ち出して枝を伐り始めたのであった。


 キンモクセイの木は、繊維質がかなり強くて思いのほか伐りにくい。パキパキと軽薄に折れてくれる柿の木とは違う。そのため、それなりに太い枝を伐ろうと思ったらかなり強引に力を込めて、木の幹からねじり伐る必要がある(素人なもんで)。しかしそうすると、思いもしない方向に枝が倒れてしまって往生することが多々ある。そのときも、まさにそんな感じだった。


 その枝は、Iさん宅のベランダに最接近していた切り込み隊長のような存在だった。かなり太く、立派な枝で、ついている葉っぱの量もハンパなものではない。伐るのはかなり、骨が折れると思われた。でもこいつを伐ることができれば紛争問題に一石を投じることができるのは間違いないと思われたので、俺は一念発起して伐採に踏み切ることにした。


 しかし、ひとつ問題があった。見るとこの枝の中心部付近に、なにやら白く泡立ったような奇妙な物体があるのである。むむむ……。なんだアレは。なんだかとってもイヤな感じがするんだけど……。しかしその物体はかなり上のほうについていたので、しっかりと確認することができない。うーむ。どうしたものか……。もしもアレがヘンな虫かなんかで、万が一俺の顔に直撃するようなことがあったら目もあてられない。でも考えようによっては、あんな小さなものが顔に降ってくる確率はかなり低いとも思われたので、最終的に俺は「ま、平気だろ」といつものテキトー思考に立ち戻ってギコギコとノコギリを動かし始めたのだった。


 そして。


 苦労の末に、あとちょっとで枝の伐採が完了するところまで辿り着いた。しかしかなり大きくて重い枝のため、俺は不覚にも倒す方向をコントロールできなくなってしまう。足場を、不安定なブロック塀と木の幹に設定してしまったのも悪かったのだろう。俺は腕に力を入れることもままならず、大きな枝が自分の真上に落下してくるのを止めることができなかった。とは言っても、枝が直撃したところで自分も足場から落下する……なんていう大事にならないことはわかっていた。なので俺は安心して、木の枝が自分に降りかかってくるのを眺めていたんだけど……! そこで恐ろしい事実に気づいてしまった。


 例の白い物体が、俺の眼前にまで迫ってきている!!!


 「はっ!!!」と思ったときには、もう遅かった。なんとその物体がくっついた枝が、俺の鼻と口のあたりを直撃したのである!! ひぃぃぃぃいいい!! き、気持ち悪い!! なんだかわからんもんが、俺の顔に付着したじゃねえか!!


「ひええええええ!!!」


 俺は情けない悲鳴とともに地面に飛び降り、顔やら服やら髪の毛やらを手で掃いまくった。得体の知れないものが顔に降りかかった嫌悪感で、全身に鳥肌が立つ。そこで、俺は思った。


 ……あ、あの白いのは、いったいなんだったんだろう。


 よせばいいのに、気になって気になって仕方がないので、伐ったばかりのその枝に接近して例の白い物体を探す。すると……あった! あの俺の顔に当たったせいか物体の面積は若干小さくなっていたが、確かにそれは存在した。顔を近づけてみると、気のせいかそいつがモゾモゾと動いている気がしないでもない。イヤな予感が、急速に膨れ上がる。ま、まさかアイツは、“アレ”なのではなかろうか……。


 ビビりながらさらに近づく。すると今度ははっきりと、白いカタマリに見えたものが無数の小さな虫の集合体であるのがわかった。俺は我慢しきれず、声にならない悲鳴を上げた。


「カ、カイガラムシぃぃいいいい!!!」


 そう、こいつはカイガラムシ。樹木にたかる、一般的な害虫である。こ、こんな気色の悪いものが顔に直撃したなんて……!!!!


 俺は家に飛び込むなり素っ裸になり、浴室に飛び込んでシャワーを浴びた。口に入っていないことを祈りながら……。


 写真に収めて掲載してくれようか……とも思いましたが、確実にドン引きされると思ったのでやめておきます。