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電気を喰っているのは誰だ

※皆様、たくさんのコメント、ありがとうございます! なかなかコメ返しもできないのですが、すべて読ませていただいております。すごく励みになりますので、またときたま、コメント欄をオープンにすると思います! そのときはまた、よろしくお願いしますねw

 iPod touchを愛用している。

 基本的にはミュージックプレーヤーとして音楽を聴くことをメインに使っているが、マルチメディア端末らしくいろいろなことに使えるので、本体標準搭載の機能はもちろん、気になるアプリがあったら深く考えずにダウンロードして、遊んだり、活用したりしている。ユーザーインターフェースもさすがに使いやすく、レスポンスもよくて快適なので、会社への行き帰りや空き時間に、アレコレといじくって悦に入ったりしております。

 そんな便利なiPod touchなのだが、唯一と言ってもいい不満点として"電池の減りが速い"というものがある。

 ここで多くのiPod touchユーザーから「多機能端末なんだから、そんなの当たりめーだろ!」と言われてしまいそうだし、実際に俺もそう思っていた。なので、ちょっと前まではみるみる減っていく電池残量を見ても、「電池が速くなくなるのはしゃーない。おまえはがんばってる! わかってるわかってる」と燃費激ヤバのポンコツアメ車を愛でるおっさんのような寛大な気持ちでいたのだが、それにしたって最近の俺のiPod touchの燃費の悪さは尋常ではなかった。明らかに、このスタイリッシュな本体の中に電気を喰らう虫が巣くって、充電したばかりの新鮮な電気をむさぼっている印象なのである。どれくらい減りが速いかと言うと、朝、家を出る直前に満タンにした電池が、仕事を終えて会社を出るときには残量10パーセントを切っている……ってくらい。その間、このiPod touchでは音楽も聴いていないし、ゲームで遊んでもいない。カバンに入れっぱなしなのである。こいつはいったい、どうなってんだ。日本昔話の"飯食わぬ女房"かオマエは

 これほど速く充電がなくなってしまう原因は、大きく分けてふたつであろう。ひとつは、電池の経年劣化。長年使っていると充電池はヘタてきて、新品時代のパフォーマンスができなくなる。携帯電話で同じような体験をしたことがある人は多いに違いない。でも俺のiPod touchは、まだ買ってから1年も経っていないのだ。ヘタれるには早すぎる。

 もうひとつが、こういったマルチメディア端末ではありがちな"見えないところで何かのシステムが動いている"状態になっていること。たとえば、ゲームの通信プレイをするときに使ったブルートゥースがオンのままだったり、聴いてた音楽が一生ループで鳴り響いていたり……。前述の通り経年劣化の線は考えにくかったので、俺はあらゆる怪しい箇所をチェックして回った。しかし、音楽はキチンと止まっているし、ブルートゥースもオフになっている。いったい何が、俺のiPod touchのイノチを食っているのだ……。原因のわからぬまま、俺は燃費最悪のアメ車に騙し騙し乗り続けた。

 そんなある日、ふたりの同僚とジョギングに行くことになった。じつはしばらく前から健康維持とダイエットを目的に、仕事がひと段落した平日の深夜に皇居のまわりを走っているのである。そのとき、ランニングスピードのペースメーカー代わりに使っているのが、件のiPod touchに内蔵されているストップウォッチだ。皇居1周(約5キロ)を27分程度で走れるように、このストップウォッチを起動させて走っているってわけ。

 ジョギングに出るのは、3週間ぶりくらいだった。3人とも仕事が忙しかったり、会食の予定が入っていたりして、なかなか時間を合わせることができなかったのだ。ジョギングは間が空いてしまうと、復帰するのが面倒になる。なのでこの日は半ば強引に、「今日いかねえと、俺たち二度と走らなくなるぞ!!」と3人で励ましあいながらの出撃だった。

 で、ジョギングのスタート地点。準備運動を終えた人間から、つぎつぎと出発する。俺も、久々のジョギングになるので入念にストレッチをしてから「ヨシ!!」と気合を入れてパタパタと走り出した。そしていつものようにiPod touchに手を伸ばし、ストップウォッチの画面を起動。スタートボタンを押そうと思い、その画面をチラリと見る。するとそこに、なにやら見慣れぬ数字がズラズラと並んでいるのを発見してしまったではないか。

 498時間16分08秒

 数字は、文字通り時を追うごとに増えてゆき、呆然と画面を見ているあいだに16分は17分に変わった。な、なんだこの巨大な数字は……。おもに"秒"とか"分"という刹那を計測するストップウオッチに500時間近い数字が刻まれることって、前代未聞なのではなかろうか……。俺は走りながら、思わず考え込んだ。

(500時間……ってことは、日数にして20日以上、このiPod touchは動き続けていたってことか……。……ん?? ってことはまさか……!!)

 俺は一瞬ですべてを悟り、皇居の歩道にたたずんで人目も忘れて絶叫した。

「電気を喰らい続けていたのはオマエかーーーーっ!!」

 ストップウォッチを止めて以降、電池の減りは平常に戻りました。