81才の親父さんが体力的に耐えられる手術というのはそれなりに限られています。

例えば、喉頭がんの上に食道がんだったり、咽頭がんだったりすると、手術自体に耐えられないという判断。

 

今のところ、ステージ4でも周辺リンパに転移しているところなので、よそへ飛んでいないと仮定すれば、手術がぎり可能というほんと綱渡りな状態。もう正直こんな刑執行前みたいな時間はご免だわぁってぐらい気持ちの悪い落ち着かない日々でした。

 

その転移があるのかどうかを診断できるのがPET-CTです。

がん細胞は、活動するにあたり大量の糖を必要とする特質から、事前に造影剤をのみ、準備をして検査をすることで、がんが活動している部分が光って写るんだそうです。

 

検査は車で2時間かかる県庁所在地の病院をご紹介いただいてました。

11時からの検査で1時間前には着いておくようにとのこと。
9時半には着けるくらいのスケジュールで7時半に出発しました。

親父さんは道中特にそわそわすることもなく、落ち着いていましたが、やはり寝られない。そして食も細くなっていて三キロほどやせたとのこと。
昨夜送っていった兄は、そんなに気にしないようにといったらしいんですが、気にしないわけないと不満顔。
そりゃそうだよね、兄もわかってるだろうにねーと笑いながらの道中でした。

余命宣告されようと、日常がいきなりかわるわけではありません。

父のように、見た目は声がかすれているだけで、全然元気で健康に見える場合ほんとうにこの体にがんが巣くってて余命いくばくも・・・なんて、ちょっと実感わかないのが普通だろうと。
こちらがおたおたしてもしようがないですしね。

 

声がれがおきはじめたのは、もっと前の二年くらい。それが以上にひどくなったのはここ半年くらいでしょうか。

先生もおそらく最初は少しこけのようなものが付着し、ある日がんになっていきなり進み始めたのだろうと言っていました。

 

高齢なゆえに治療の選択肢は狭まっていますが、高齢なゆえにすすみが遅く、手術できる選択のぎりぎりある時期に見つかったのかもしれません。たぶん運が良かったんです。


その他いろいろと調べたことを話しながら、もし転移していたら、好きなお酒をたらふく飲んで
温泉三昧で旅行して楽しいことたくさんしよう、お世話になった方呼んで生前葬して、お別れしながらぱーっとのもうと、その後の計画も二人でたてました。

そして県立病院の診察。
柄本明みたいな顔の先生。
CTに使う薬剤をいつもは自分のところで作っているのだが、点検が入って作れない。
その間は大学から宅急便で取り寄せるのだが、まだしばらくつかないからちょっと造影剤入りのお茶飲みながら休んでくださいとのこと。

次の診察日を聞かれ、明日ですと答えると、夕方送るから間に合わないかもしれないとのこと。
すごく急いでいるので、できれば待つから持って帰らせてほしい旨お願いすると例外だけど
用意します五時くらいにはできるかなとのことでした。

二階の待合室へいく道々、ちょっと朝早く出過ぎちゃったよねーと笑いながら上がっていったのだけど、どうも聞かれてたようです。

急いでいる割に切迫感のないのんきな親子だと思われたのかな。


時間をつぶさないといけなくなったため、どこか行くとこがないか検索。
なんと行ったことがないというので有名日帰り温泉へ行こうかと和やかに。

やがて時間が来たので、検査室へ入るのを見送ってから、近くの書店へ暇つぶしに行きました。当然なんだか気になるのは闘病記関係。日本一有名な声帯全摘患者はつんくさんですので、当然つんくさんの手記も読みましたが、なかなか思う情報は得られないんですよね。

発信する喉頭がん患者さんとして、勝手に一番参考にさせていただいているのは

 

気道戦士 喉頭癌ダムさんのブログです。

 

この方がいなかったら、倍はおたおたしてました。

長らく更新されていませんが、ご無事で闘病されていることを祈っています。

 

書店を出た後は、病院内のカフェで一服して診察室へ

検査はほぼ時間通り、検査結果については、当初5時に受け取りと聞いていたのですが、小一時間ほどで渡せるとのことで!えー!?なんでぇーーーー??


「朝も早く出てきたんでしょう。こちらもなるべく急ぎましたよ」
と見た目柄本明先生。慈愛にみちた笑顔で告げてくれたんです。

なんかジーンとしたよぉ。いい先生でした。

父は朝から何も食べてなかったので、病院内のローソンで食事と飲み物を買い、待合所でおしゃべりしながら待つこと小一時間。

無事データを受け取って帰宅しました。


そして、この日から入院までの間、猫四匹を連れて実家暮らしをすることにし、夜はノンアルコールビールで乾杯しました。

告知を受けてから先生に飲酒禁止を言い渡されていましたので、全然飲んでなかったらしいのですが、ノンアルコールビールなんて全然頭になかったみたいで、いや、きっとちょっとアルコール入ってるからダメなんですよ(笑)

ま、でも眠れないよりはマシだろうと、勝手に判断。二人で酒盛りして休みました。