その人は・・・
どうみても涼子の年代とはかけ離れている。
最近、
親子でも腕を組む人達はいるなぁ・・・
やっぱりお父さんか?
イヤじっくり見ても
涼子とは似ていない。
オヤジ体型で
頭のハゲたオッサン・・・
涼子はそんなオッサンと
べったり腕を組んで
寄り添っていた。
最初に涼子に出会った時に
一緒にいた店長より
はるかに年配・・・
『あの不倫の
オッサンか?
続いてたんや・・・』
そう親父さんの部下で
奥さんとも面識のある人・・・
それ以外考えられなかった・・・。
『オッサンと不倫旅行、
別れられへんかったんやな・・・
それにしても、
あれだけ身近な人なのに、
よく二人だけで
旅行に行けるなぁ~』
と僕は心で呟いた。
しばらく僕はロビーに居た。
涼子達は売店で物色をしたり、
ソファーで話したりしていた。
涼子は僕を気にしながら
当てつけのように
オッサンにべたべたしていた・・・。
『私は今、
幸せなの・・・』
と言いたげに・・・。
でも何故か涼子の
背中は
寂しそうだった・・・。