それでも私の見当違いな返しながらも、その時はいろいろ話せたんだ。弟も酔っ払ってたからか素直だった。小さい頃から、家の中に居場所がなかったこと、自分なんかいなければよかったことなど話してくれて胸が痛かった。私は自分が無視していたことを謝ることができた。弟は「だめな弟でごめん」と泣いた。私は、「バカな子ほどかわいいんだよ」と言った。この言葉、今考えるとどうだったんだろうと思う。だめじゃないよと言えばよかったのか。自慢の弟だよと言えばよかったのか。答えはない。
弟との話の中で、一番心に残ったと言われたのが、私と弟が大好きだった漫画、ダイの大冒険の例えだったらしい。一生懸命仲間と共に戦ってきた一人が、重大な自分の存在意義に関わる悩みを抱えるシーンがある。今弟はその時期にあり、それを乗り越えたら、また違う世界があるみたいなことを言ったのかな。弟は笑ってくれた。その例えがよかったと言われた。どこがいいもんか。弟は乗り越える力すら残ってなくてそれで電話してくれたのにね。