父に残された時間は
長くありませんでした


だから
姉への感情がどうとか言ってる場合ではなく

とにかく偽りだろうとなんだろうと
姉と協力しながらやるしかありませんでした



この頃の私は
体力的にも精神的にもギリギリだったので

こんな関係であっても
姉がいてくれて助かったこともありました



本当は
こんな風になりたくなかった

たった二人きりの姉妹
協力して支え合って
父を安心させて見送ってあげたかった


これが私の本音です






危篤になった父に何度も伝えた
「ごめんね」の中には

姉とこんな風になってしまってごめんね
という気持ちもありました


父が一番悲しむことだったと思います

私にも子どもが二人いるので
兄弟姉妹仲良くしてほしいという親の気持ちは痛いほどわかっていたんです



それでも
どうしてもできなかった


とにかく姉への気持ちが爆発しないように
我慢しながら普通を演じることだけで
精一杯でした






父が息をひきとり
翌日から葬儀についての打ち合わせが始まりました


長女だから ということで
姉が喪主をつとめることになりました


葬儀に関しては
姉は 
お父さんを華やかに送ってあげたい と
棺や装飾等を細かく選んでいました


あの時の私はどこか冷ややかな目で
その様子を見てしまっていたと思います



どんなに華やかにしたって
お父さんはもういないんだよ…


今 そんなに頑張れるなら
どうして生きているうちにもっと支えてあげなかったの


そんな気持ちが
どうしても出てきてしまいました




葬儀では


本当に大変だったね、
△△ちゃんも(姉)よく頑張ったね、


参列してくれた方から
喪主の姉はたくさん声をかけられていました




棺を閉める直前、

最後の花は 私に入れさせてほしい、
父に触れる最後の人は私でいたい、


火葬後には
私が一番に骨を拾ってあげたい、
骨壷の蓋は私に閉めさせてほしい 等



姉の 私が、私が、 のすべてを
私は何も言わずに
一歩下がって見ていました





最後に触れなくても
最後の花を添えなくても

きっと父には
私の思いは伝わってるだろう と信じて



ちゃんとお見送りしたいのに
どうしても心がザワついて
自分の心を保つのがやっとなまま
父の葬儀が終わりました