2021年4月2日(金)日経朝刊15面(企業2)に「理研・富士通、量子で結集 産業活用みすえ中核拠点 米中穿孔、巻き返し狙う」との記事あり。
次世代の高速計算機である量子コンピューターの開発で日本勢が巻き返しを図る。
理化学研究所が1日、産学が結集する中核研究拠点を埼玉県に新たに設置した。
富士通との連携拠点を併設し、技術の実用化を見据えた開発に乗り出す。
米中が大きく先行するなか、日本が対抗戦略をどう描くかが問われる。
世界では次世代の産業競争力や安全保障に影響する量子技術の開発が熱を帯びる。
日本政府は2020年に国家戦略を定め、200億円規模を投じて8つの中核研究拠点を整備するとしてきた。
情報通信研究機構による量子通信・暗号関連の研究拠点の立ち上げなどが進んできた。
今回、この一環で理研が埼玉県和光市に「量子コンピュータ研究センター」を設けた。
理研による中核研究拠点の立ち上げは初めてとなる。
新センターでは量子技術の「本丸」である量子コンピューターのハードウエア開発に取り組む。
NEC在籍時の1999年に、世界に先駆けて量子コンピューターの基本素子を作った中村泰信氏が責任者を務める。
米グーグルなどと同じく、物質を極低温に冷やし電気抵抗をなくす超電導の回路で計算する方式を開発の軸に据える。
超電導方式を軸に、高度な計算の鍵を握る量子コンピューターの制御技術の向上を目指す。
人員は兼務含め120人。
ハードに加えソフトウエアの研究も進め、早期の実用化を図る。
国内ではこれまで大学や研究機関、企業がバラバラに量子技術の研究を進めてきた。
米国や中国ではIT(情報技術)大手などが巨費を投じて開発に乗り出しており、従来のやり方では太刀打ちできない。
そこで、国が旗振り役となり、産学が集う中核拠点を新設している。
理研の松本紘理事長は1日に東京都内で開いた記者会見で「量子技術は、世界の開発競争の中心だ。日本の力を発揮したい」と意気込みを述べた。
産学連携の具体策として、理研の新センターは富士通との連携拠点を併設する。
理研と富士通は世界最速のスーパーコンピューター「富岳」を共同開発した実績をもち、高速計算機の分野で協力を深める。
ただし、日本が先行する米中に追いつくのは容易ではない。
情報解析のVALUENEX(バリューネックス)が1990~2020年の量子コンピューター(ハード)の公開特許数を集計したところ、首位IBM(140件)、3位マイクロソフト(81件)、4位グーグル(65件)と米国勢が上位を占めた。
近年、量子コンピューターが脚光を浴びたきっかけは、グーグルが19年にスパコンで1万年かかる問題を約3分で解き「量子超越」と呼ぶ成果を上げたことだ。
国をあげて技術開発に資金を投じる中国は米国を猛追しており、20年末に中国科学技術大学がこの量子超越を達成したと公表した。[
