2021年4月3日(土)日経朝刊2面(総合1)社説に「ガバナンス改革の加速で経済活性化を」との記事あり。

金融庁と東京証券取引所が上場企業の経営規範ともいえる「企業統治指針」(コーポレートガバナンス・コード)を6月にも改定する。企業は指針を活用して経営改革を加速し、持続可能な成長の道を切り開いてほしい。

安倍晋三政権下の2015年に初めてつくられた統治指針は18年の改定を経て、今回が2度目の見直しとなる

 

独立社外取締役の選任や株式持ち合いの見直しなどを促すことにより、統治指針は経営に株主をはじめとする外部の声を反映させ、企業活動の規律づけをしてきた。

 

そうした考えが再改定にも色濃く出ている。

今回の指針改定は22年4月に予定されている株式市場の再編と密接に関連する。

 

東証は現在の市場1部にかわり、外国人投資家などが投資する優良企業向けのプライム市場をつくる。

 

同市場への上場を望む企業は、指針の改定で強化される要件を原則として満たさなくてはならない。

改定の目玉は2つある。

ひとつは、社外取締役の人数を現行の「2人以上」から「3分の1以上」とすることだ。

 

さらに多様な外部の視点を経営に取り入れることが可能になる。とはいえ、現在の市場1部でも取締役会の3分の1以上を社外人材が占める企業は全体の6割だ。

 

達成のハードルは決して低くない。

社外取締役の人数だけを増やす「数合わせガバナンス」では、経営の質を低下させてしまう。

 

企業は視野を女性や外国人、若者などに広げ、前例にとらわれることなく人材を探すべきだ。

改定指針のもう一つの目玉は、気候変動に関する情報開示を促す点だ。度重なる異常気象は企業に多大な被害を与えている。

 

気温上昇シナリオに基づくリスク分析は、中長期の経営戦略を描くうえで欠かせなくなった。

現状でも多くの企業が、主要国の金融当局が主導する気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき、自主開示している。

 

今後は気候問題の専門家の力も借りて分析や予想の精度を上げるなど、開示の信頼性を高めることが課題となる。

改定指針は英語による開示の充実も盛った。企業の負担感は決して小さくないが、統治のしっかりした企業は長期投資の株主が増えやすい。

 

思い切った事業戦略も可能になる。そうした企業の増加が経済活性化につながる。