キギョクが生まれた日の夜キカは、

久しぶりに屋上から星をみていました。

「まったくキギョクは、なんて時に生まれたんだろう！」

キギョクが生まれるであろう日は、なんとなくはわかっていましたが、

ピタリ決めた日と時間は、キギョクの運命や強さや宿命の強さや深さを知らせていました。

恐ろしくもあり、不安でもある誕生日からの情報の全てを、

かわいらしいキギョクからは想像もつかなかったので、

信じている星の声にもズレはあるのだと必死に思っていました。

キカは、小さなころからいつも星空を見ていました。

お城の屋上はいつもキカの特等席で、夜空はキカの庭でした。

赤ちゃんの時から太陽の光に弱く、

外に長くいると湿疹や咳が止まらなくなったりするので、

おのずと室内にいることが多かったキカには、

ルキの次に夜空が話し相手でした。

夜はキカを温かく迎えてくれ、夜空の満天の星たちはいつも、

キカにいろいろなことを教えてくれました。

キカは、星からの言葉を誰かに教えてもらったわけではありません。

星を見ている間に、星からのメッセージが理解できるようになっていったのです。

キカの持つ青い石のチカラは、星とつながり対話できることだったのです。

キカの部屋の床には、まるい何重もの大きな円が描かれていて、そこかしこにいろいろな石が置かれていました。

その石を動かしたりして、夜空と同じように配置をしたり過去現在未来を紐解いたり、外の世界を読み解くのが、キカの日常となっていました。

まだ星を読み始めて間もない頃の、そんなある日の時でした。

きらり強く光る星がありました。

「あ、れ？」

見つめていると、一つの星が鈍く濁った光になったり、ちかちか点滅をしたりし始めました。

星の位置も、今までみたことのない並び方になっていました。

星たちは、その位置や種類や光の様子で、キカに情報を教えてくれます。

その合図が始まったのです。

キカは急いで部屋に戻りました。

そして、今見た星の配置を、部屋にある石たちを使い、同じように円の中で動かして、先程の星からのメッセージを読み取り始めました。

「あれ、おかしいな、、、間違えたかな」

配置や動きは、何度やってもおかしなことになりました。

「・・・・え、どうしよう、お母さまに言わなくちゃだ」

キカは大事件だと思いお母さまのところに走りました。

「おかあさま！おかあさま！たいへんなの！ほしが！ほしが！」

ギョクランは真夜中に走ってきたキカに驚きました。

「まぁ、キカったらまだ起きていたの？また夜空を見ていたの？」

「うん、だってたいへんなんだもん！！」

キカが毎晩夜空を見ていることは知っていました。

体が弱く昼間外に出ることが自由でないキカにとって夜は彼女が自由になる時間です。

やっと楽しみを見つけたキカですから、ギョクランも特に叱ることをせず、ほおっておいたのでした。

「まぁ、今度は何が起きたの？何が大変なのかしら？」

ギョクランはそう言ってキカを抱き上げました。

「あのね・・・星がさわいでる」

「星は今度は何を言ってたの？何を騒いでるのかしら？」

「えとね、みんな消えちゃう！」

キカのそんな言葉に、ギョクランは一瞬呼吸が止まりました。

青い星の物語 21