「それからね。

もう一つ大事なお話があるの。

先生

さっきから何度も

二人だけって言っているけれど。

 

この音楽の旅は

先生と進ちゃんの

二人だけの

ものなの。

 

 

その

音楽の旅には

 

お母様を連れてきてはだめなの。

 

わかる?

 

おばあちゃま

 

お姉さま

お父様と

一緒の

旅ではないの。

 

 

 

もちろん

お家では

楽しく遊んで

美味しいものを食べて

いろんなお話したりして

みんなで楽しく過ごす。

 

でも、ピアノのレッスンは


先生と

進ちゃんだけの時間よ。

 

いいかしら?」

 

「うん、いいよいいよ。」

 

僕は即座にそう答えたけれど

 

それが

どれだけ

深い意味を持っていたのか

当然子供の僕には

わからなかった。

 

 

「お母様や

おばあちゃまと

先生のお家までくるでしょ?

 

そしたら

先生と進ちゃん

二人だけでレッスンするわね。

 

先生と

進ちゃんのお家は近いから

 

帰りは

先生が

あなたとお散歩しながら

お家まで送ってあげる。

 

いいかしら?」

 

「うん、いいよ。」

 

 

 

「そう、ありがとう。

 

じゃ、

 

音のお絵かきするための

音楽の旅

 

始まりね。

 

進ちゃん

 

先生と指切りゲンマンしましょう。」