辛いことを経験した後に、それを糧にできるか、あるいは一種のトラウマになるかには、さまざまな要因がありますが、私はいわゆる表と裏の3段階にどれ位長くいたかによるものと考えています。
ショックな出来事は何度も思い返すのですが、3段階での思い返しが多ければ多いほど、危険な記憶として定着しやすくなります。また中くらいの思い返しでも、回数が多くなればなるほど定着します。強度×回数の図式です。
辛い記憶が固定するパターンには大きく三つあります。
①表の3段階が大きいケース
出来事のショック度が大きければ、感情の3倍モード(表の三段階)がある程度続いてしまう。強烈な思い返しがあるだろう。
②裏の2~3段階に移行するケース
中ぐらいのショックでも、その後に自責感や無力感、不安感などが長引き、あるいは対応のために苦労するようなことがあれば、疲労が溜まり、いわゆるセカンドショックと呼んでいる裏の2~3段階へと悪化していく。その状態での思い返しはかなり長く続く。悪夢などを何度も繰り返して記憶が定着してしまうパターン。
③既に2~3段階の状態にあったケース
既に疲労(裏)の2・3段階になっている時は中ショックでも2倍・3倍のショックに感じ、①のパターンにもなりやすいし、その後のセカンドショックも大きくなりがちなので②のパターンにも移行しやすい。
辛い思い出を持つ人が案外見落としがちなのがこの③のパターンです。
本人に話を聞くと、トラウマ自体は覚えていても、その時代の様々なイベントについては忘れていることが多いのです。そのうえ、時間の経過とともに、どうして私はあの小さなことを忘れられないんだろう…という自信低下も重なってきて、トラウマが固定しやすいようです。
そういう方にはゆっくりと落ち着いて、その時代の周辺のことを聞いていきます。そして例えば転勤した、昇進した、病気した、猛暑だった、あるいは大切にしていた友人やペットが亡くなった…などのいわゆるライフイベントをきちんと思い出せると、当時、自分が既に2~3段階にいて、傷つきやすい状態だったということを理解出来ることが多いのです。自信がケアされ痛みが薄らいでいきます。
年末も押し迫ってきました。来年、龍の様に飛躍するためにも、一度今年の自分のライフイベントを振り返ってみてはいかがでしょう。
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2023年12月28日(金)20:00まで