あいさつをしない奴が
どうしても許せなくて
そういう人が目の前に現れる度に
猛烈な怒りが湧いた。

「どうしてあいさつしない奴が許せないのか?」

自分自身に対して
その質問すら出来ないほど
反応の波や渦に飲み込まれていた。

「もしあいさつされなかったら
私はどう感じるんだろう?」

再び自分への質問。
やや恐れながらその答えを紙に書き出してみた。

無視された
価値がない
ここにいるのに
無視すんじゃねーよ
どうしてわかってくれないの?

出てきたのは無価値観。

もう昔に比べたら
無価値観はだいぶ薄らいできていたのに。

どうやったらこの無価値観が無くなるのか?
どうすれば無価値観を感じずに済むか?
この恐れや苦しみから逃れられるか?

考えて逃れに逃れてみたけれど
結局どれも私には効果がなかった。

もし次にあいさつしない奴が現れて
仮にもし無価値観を感じる事があったなら

自分への一番の味方でいると決めて

お腹に力を込めて深呼吸しながら
存在感たっぷりの無価値観を
全身ぶるぶる震わせて感じつくす。