ムーミン谷の彗星新装版 (講談社文庫) [ トーベ・ヤンソン ]
小説シリーズの初書籍化作品。
今回も、前回↓に引き続き、メモ。
今回も、スナフキン様の名言。
物語の大筋は
あと4日で地球が滅亡!?
地球に向かってくる彗星について調べるため、
ムーミントロールとスニフは、おさびし山の天文台へと旅をし、
スナフキンやスノークのおじょうさんと出会い、
彗星衝突に備える。
スナフキンといえば、濃い緑色の広つばの帽子と、みすぼらしい古着コート。
一人旅が好きで、行ったことのない場所を探検したり、釣りで運試しをしたり、ハーモニカにあわせて歌をうたったり。
多才で、リュックサック一つで旅をするように暮らし、人生を思索。
モノに執着しないミニマリスト的な思考を持つ。
こちらの『ムーミン谷の彗星』にて初登場。
物語中盤で、ムーミントロール、スニフ、スナフキンの一行は、食虫植物に襲われているスノークのおじょうさんを助け、旅にスノーク(兄)とスノークのおじょうさん(妹)の二人が加わる。
ムーミン谷へもどる途中、夕方の5時ごろ、大きな立て札の立っている小さな道に出る。
「この道、野外ダンス場、売店。」と立て札に書いてある。
「あの売店へ行けば、レモン水が買えるよ」と、食べ物もなく、のども乾いて、くたびれていたスニフが言う。
「この道は、おそらく僕らの行く方向へ続いてるよ」と、家に早くもどりたいムーミントロールが言う。
「見るだけにすればいいさ、そばを通りながら」と、何も買わないからねという雰囲気をかもし出すスナフキン様。
売店には、キラキラしてネズミの目のように小さな瞳をした白髪のおばあさんが座っている。
「みんな、何が欲しいのかい?」
「レモン水をおくれよ、赤いのがいいな」とスニフ。
「横線か、升目のついているノートがありますか?」とスノーク。
「僕は、新しいズボンが1ついるんだけど。
新しすぎちゃダメなんだ。僕の形に馴染むズボンでないと、落ち着けないんでね」とスナフキン。何も買わないつもりじゃなかったんじゃ、、、。でも、買うからには、こだわりがある様子。
「それなら」と言って、おばあさんは、屋根裏からズボンを1つ引っ張り出す。
スナフキンは、心配そうに聞く、「それは、すごく新しいそうだね。もっと古いのはないの?」
「これが、ここにある中で、1番古いズボンなんだよ。明日になれば、1日古くなるわけさ」と、おばあさんは説明。
「そうだな。向こうの角っこに行って、はいてみる。だけど、これが僕に合うかなぁ」と言って、スナフキンは庭へ出て行く。
ムーミントロールは、スノークのおじょうさんに銀の縁がついている丸い鏡を、スノークのおじょうさんは、ムーミントロールに大きくてきれいな星のメダルをお互いにプレゼントしあう。
ドアのベルが鳴ってスナフキンが入ってくる。
「このズボンは、やっぱり、ここでもっと古くしたほうがいいと思うよ。僕に、合わないね」
「それは残念なこと。でも、帽子は、新しいのがいるでしょう?」とおばあさんは聞く。
スナフキンは緑色の古帽子をいっそう深くかぶって、おびえたように、ここで一言、ミニマル思考な名言。
「ありがとう。
でも、今も考えたんだけど、
持ち物を増やすと言うのは、本当に恐ろしいことですね」
このあと、彗星が近づくにつれ、海がなくなり砂漠に変わってしまっていたり(海も避難)、何百匹ものニョロニョロや動物たちも逃げだしたり、竜巻にあったり。
先々で弱音を吐くスニフに、スナフキンだけが励ます。
「よくきけよ、スニフ。海の底には、沈没している宝箱があるものなんだぞ」
それを聞いた、お宝好きなスニフは、気分の悪さもたちまちふっとぶ。
心細く、シクシクやりだすスニフに、
「心配するな、うまくいくよ。しかし、もうちょっと早く歩けよ。いまは、いそがしいんだから」
とスナフキン。
ムーミン谷についた一行は、ムーミンパパとママに、みんな一緒に洞窟へ避難するように促す。
このとき、スノークが避難の段取りをする。みんなが持っている物全部の一覧表を作るのだが、みんなに、好きでたまらないモノには星三つ、ただ好きなモノには星を二つ、なくても暮らせるだろうと思うモノには星一つをつけるようにお願いする。
すぐさま、スナフキンは笑いながら言う、
「僕のリストは、いつでもできるよ。ハーモニカが、星三つだ」と。
そしてそのあと、スナフキンとは真逆に持ち物の多いムーミンママの荷造りの大騒動が始まる。
そういえば、モノが多いといえば、
フィリフヨンカさんが代々受け継いだ所有物をたつまきでなくして自由になった話も、また久しぶりに読みたい。