ムーミン谷の彗星新装版 (講談社文庫) [ トーベ・ヤンソン ]
小説シリーズの初書籍化作品。
何度読んでも、ラストシーンに無常を感じる。
ああ、朝の来ない夜はない。
物語の大筋は
あと4日で地球が滅亡!?
地球に向かってくる彗星について調べるため、
ムーミントロールとスニフは、おさびし山の天文台へと旅をし、
スナフキンやスノークのおじょうさんと出会い、
彗星衝突に備える。
大雨の真夜中、ムーミン屋敷を訪れたじゃこうねずみに、地球が滅びるという話を聞くのが、物語の発端。
朝になって、雨は止むが、まわりが普通ではなく、
すべてのものがどす黒く、この世のものとは思えないほど気味悪い様子。
もう、地球が滅びる事しか考えられなくなってしまったムーミントロールとスニフは、ちっとも遊ぼうとしない。
心配したムーミンパパとママは、二人をおさびし山の天文台へ地球のことを調べに行かせることに決める。
ムーミントロールは、
「お願いだよ、いつ地球が壊れるかわからない時によそにやらないで」と最初は拒む。
ムーミンママは、「どこかこの近くに星を観測する場所がある。どの星もそんなに大きいのか、宇宙は本当に黒いのかわかったら、うちのみんなが助かるわ」と諭す。
「そしたらママが安心できるっていうの?」
「そうですとも」
「僕たち調べてくる。ママ心配しないでね。人が思ってるより、地球はずっと大きいよ」
ということで、おさびし山へ無事出発。
ムーミンとスニフは、旅の途中、ニョロニョロやスナフキン、スノーク、スノークのおじょうさんと出会うことになる。
スナフキンやスノークのおじょうさんの初登場作品。
スナフキンの数々の名言は、次回にメモ。
今回は、ムーミンママ。
彗星衝突から避難するため、洞窟に隠れるのだが、
その際、荷車にいろいろなモノを積み込んで、避難する。
ママの避難先持ち込みグッズの数々に、、、。
花壇のバラや飾りの貝殻、湯船など、洞窟に持ち込む。
スナフキンが、洞窟の入り口にかけた毛布に「僕が毛布を強くしてやるよ」と、
火の精からもらった貴重な「地下のやけどの油」をぬって、熱を防ごうとすると、
すかさずママは
「それをぬったら、毛布がしみになりません?」
って、おいおいムーミンママ。
しっかり者すぎる。
でも、
物語冒頭の、真夜中に訪れたじゃこうねずみにムーミンパパが飲み物を作ろうと、
棚の上のりんご酒を下ろそうとしたときに、あやまって鉢を落として、割ってしまうのだが、
割れる音に気付いて起きたムーミンママが、パパに一言、
「そんなの、われたほうがよろしいわ。
とってもきたないおはちでしたもの。
イスの上へあがれば、らくにおろせますの。
わたしにもグラスをひとつとってくださいな」
とナイスフォロー。
彗星がぶつかった後、
「もうねましょう。
あの彗星のことは、いったん考えたりしないことにしましょう。
それから、外がどうなったか、だれも見ちゃいけませんよ。
それは、あしたでいいことだもの。」
スナフキンのハーモニカに合わせて子もり歌をうたうママ。
きっと、ムーミン屋敷でくらすみんなが幸せなのは、
ムーミンママのおかげ。
どんな苦しい時でも、ピンチの時でも、
一筋の光が差し込むように、
ムーミンママは手を差し伸べてくれる。
優しく、頼れる、抜かりないムーミンママ。