【以下ニュースソース引用】

大失敗!でも 永瀬正敏が撮った小樽(271)

ARTS & CULTURE

 

永瀬正敏

永瀬正敏

 俳優・写真家

1966年生まれ、宮崎県出身。1983年、映画「ションベン・ライダー」でデビュー。「息子」(91 …

 

国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。

 

つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。

 

今回は小樽での一枚。

 

「大失敗」という写真を選んだ理由とは。

 

大失敗!でも 永瀬正敏が撮った小樽(271)
©Masatoshi Nagase

 

「天狗山きれいでしたよ」

 

ある作品で小樽にお邪魔している時、


共演させてもらった俳優さんに教えてもらった。

 

彼女にもう少し詳しく聞いて、


次の休みに登ってみようと決めた。

 

夜景で有名な小樽に来ているのだからやはり夜に行こうと、


タクシーとロープウェーを乗り継いで山頂にたどり着いた。

 

目の前に広がる夜景はやはり圧巻。


さっそくカメラを構えた。

 

はい、大失敗!!

 

こちらの写真はもろもろ失敗している。


完璧な手ブレだ。

 

しかし、何度かそのような写真をこちらでも、


連載させてもらってるように、


僕はこの写真がなんだか気に入ってしまった。

 

成功作もあるのだが、こちらの写真を選んだのは、


滲(にじ)んだネオンの光が、光の涙のように感じ、


また、自らもっと発光して何かを伝えているように、


感じてしまったからだ。

 

あと、僕が撮影していたポイントが、


きっとベストポジションだったのだろう。


撮影している僕の後ろに、並んで待っている女性二人組がいた。


二人の楽しそうな、待ち遠しいような姿を感じ、


早めに譲ろうと、シャッターを切ってすぐにカメラを動かしてしまったのだ。


結果、このような写真になった。

 

でもその仲良し女性二人組が、その後弾けんばかりの笑顔で、


夜景をバックにスマホで自撮りしている姿を見て、


なんだかこちらまで嬉(うれ)しくなってしまった。

 

大失敗写真。


でも、後から見返して大成功写真の方よりそちらの方が、


自分にとって貴重な写真になることが多々あるのだ。

 

https://www.asahi.com/and/article/20240621/424813082/?ref=and_mail_t_240708&utm_source=newsletter240708&utm_medium=email&spMailingID=8876635&spUserID=MTkwOTE1OTg0MjcwS0&spJobID=2240125278&spReportId=MjI0MDEyNTI3OAS2