【以下ニュースソース引用】
大失敗!でも 永瀬正敏が撮った小樽(271)
![永瀬正敏](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2021/04/048aebdec2ecc8919fc00c0dd50a8d38.jpg)
俳優・写真家
1966年生まれ、宮崎県出身。1983年、映画「ションベン・ライダー」でデビュー。「息子」(91 …
国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。
つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。
今回は小樽での一枚。
「大失敗」という写真を選んだ理由とは。
![大失敗!でも 永瀬正敏が撮った小樽(271)](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/06/f50c98e561296ec76b454cde98e6828b.jpg)
「天狗山きれいでしたよ」
ある作品で小樽にお邪魔している時、
共演させてもらった俳優さんに教えてもらった。
彼女にもう少し詳しく聞いて、
次の休みに登ってみようと決めた。
夜景で有名な小樽に来ているのだからやはり夜に行こうと、
タクシーとロープウェーを乗り継いで山頂にたどり着いた。
目の前に広がる夜景はやはり圧巻。
さっそくカメラを構えた。
はい、大失敗!!
こちらの写真はもろもろ失敗している。
完璧な手ブレだ。
しかし、何度かそのような写真をこちらでも、
連載させてもらってるように、
僕はこの写真がなんだか気に入ってしまった。
成功作もあるのだが、こちらの写真を選んだのは、
滲(にじ)んだネオンの光が、光の涙のように感じ、
また、自らもっと発光して何かを伝えているように、
感じてしまったからだ。
あと、僕が撮影していたポイントが、
きっとベストポジションだったのだろう。
撮影している僕の後ろに、並んで待っている女性二人組がいた。
二人の楽しそうな、待ち遠しいような姿を感じ、
早めに譲ろうと、シャッターを切ってすぐにカメラを動かしてしまったのだ。
結果、このような写真になった。
でもその仲良し女性二人組が、その後弾けんばかりの笑顔で、
夜景をバックにスマホで自撮りしている姿を見て、
なんだかこちらまで嬉(うれ)しくなってしまった。
大失敗写真。
でも、後から見返して大成功写真の方よりそちらの方が、
自分にとって貴重な写真になることが多々あるのだ。