【以下ニュースソース引用】
心身が不調になったら受診先はどこ?「精神療法」のカウンセリングで、適応障害の原因ストレスを仕分ける
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「仕事をする気が起きず、出社がいやになってしまう」、「夜になると気持ちが落ち込み、眠れないし食欲もない」、「つらいできごとを思い出しては苦しくなって泣いている」……。
病院に行くほどではないけれど、不安や抑うつの症状があるのなら、適応障害になっているのかもしれません。
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適応障害とはストレスに適応できずに起こる、病気と健康の境目にある「状態」のこと。
症状が軽いため、ストレスがなくなれば6ヵ月以内に回復するといわれています。
しかし重症化すると、うつ病やPTSD、不安症など、ほかの病気に移行することもあるため油断はできません。
この連載では『適応障害のことがよくわかる本』(貝谷久宣監修、講談社刊)から、全8回にわたり、適応障害の対策を立てるためのヒントをご紹介します。
今回は、カウンセリングを中心とするさまざまな「精神療法」について見ていきましょう。 適応障害のことがよくわかる 第7回
適応障害、受診先はどこを選ぶといい?
適応障害では、専門の病院やクリニックよりも、プライマリーケアクリニックを受診する人が多いようです。
プライマリーケアクリニックでの問診だけで軽快することもあります。
会社員なら産業医や産業カウンセラー、学生ならスクールカウンセラーに相談しても。病状によっては、専門の病院やクリニックに紹介してもらいます。
精神療法はカウンセリングを中心に進めます。
医師、臨床心理士、カウンセラーなどの資格をもつ医療者が担当します。
内容によっては保険適用でない場合もあるので、確認してください。
●精神科
病院では精神科、精神神経科などがこころの病気を診療している。
重症な場合など。ただし、受診には紹介状が必要なところもあるので、予め確認を。
●心療内科
元来は心身症が対象だが、最近は、こころの病全般に門戸を開いている。
また、精神科のなかには、心療内科を標榜しているところもある。
●プライマリーケアクリニック
家庭医療専門医制度による総合診療科。
こころの病気、身体の病気、介護や福祉など、健康に関するあらゆることに対応。
総合病院や大学病院と連携しているところが多い。
●メンタルクリニック
「こころのクリニック」「ハートクリニック」と標榜していることも。
精神科医や臨床心理士が開業している。
臨床心理士のクリニックは薬の処方ができないが、カウンセリングだけを希望するなら、受診しても。
患者さんに自信と勇気をつける「支持療法」とは
適応障害を根本的に治すには、薬物療法だけでは不十分です。
精神療法で主にストレスに対処して、生活療法で生活リズムを整えていきます。
精神療法の進め方は、メインの治療法である支持療法を基本に、ストレスにどのように向き合っていくかを探ります。
患者さんに合わせて、補助的な療法(認知療法や曝露療法など)を加えるかどうかを検討します。
支持療法は、医師やカウンセラーなどの医療者と患者さんの会話でおこなわれます。
医療者が、「〇〇をしなさい」という指示を出すのではなく、あくまでも患者さんの話に耳を傾け、受け入れ、理解し、共感したり励ましたりして、話を「支持」的に聞くというカウンセリングです。
その過程で、患者さんが自らの根底にあるものに気づき、変化していくのを待ちます。
患者さんの気分が落ち込み、学校や会社に行けなくなるのは、自分なりに、なんらかの意味付けをしているからです。
ストレスに気づくだけでなく、なぜそのように感じるのか、自分のこころの底にあるものに気づくことが治療の第一歩です。
同じことをくり返し考え、内にこもっていないか。まず自分の現状を冷静に見てみましょう。
治療を続けるうちに、「自分の苦悩は当たり前のものだった。これから、きっとよくなる」と希望をもてるようになっていきます。
【支持療法でおこなわれる「介入」とは】
医療者からの精神的な働きかけを介入といい、以下のような技法があります。
●賞賛
患者さんのよい点を見つけてほめる。
●保証
医療者が信頼に足ると保証し、安心させる。
●勇気づけ
意欲や希望をもてるように。
●合理化
理論的に説明し、ものごとに新たな「意味付け」をする。
●助言
アドバイス。
不適切な計画を止めさせることも。
●不安軽減
情報を提供するなど、今後の不安を予防する。
●ネーミング
問題に名前をつけ、コントロール可能にさせる。
●意識領域を広げる
無意識の感情に気づかせる。
補助的に取り入れる「認知療法」と「曝露療法」
なにかのできごとに対したとき、自然に頭に浮かんでくる考えがあります。
それを「自動思考」といいますが、その次にどういう判断をするかが「認知」です。
なにかがあって「いやだな」と思っても、次に「どうしようか」と考えるか、「絶対に許せない」と考えるかで、その後のストレスは大きく変わってくるのです。
自分の認知のしかたを変えるのが、認知療法です。
認知の変え方に、以下のような方法があります。
つらいできごとがあったとき、ノートに気分や思いを書いてみるのです。
「私の人格まで否定した」 「これはいじめではないか」 「私はすごく怒っている」 「私をバカにするようなことを言った」 「私の言うことに耳をかさない」 「あの人とはもう二度と口をきかない」 「いや、もう会社を辞めてやる」 それを、「こんなふうにも思える」と客観的に検証していきます。
「私のすべてを否定したわけではない」 「仕事上、必要があって言ったことかもしれない」 「悪意から出た言葉ではなさそうだ」 こうして認知を変えれば、結果はおのずと違ってきます。
また、認知療法のひとつに、PTSDや不安・恐怖症の治療に多く用いられる「曝露療法」があります。
適応障害のうち、不全型PTSDといえるタイプに有効なことがあります。
曝露療法は、あえてストレス状況に身を置く方法です。
たとえば、つらい記憶を押し込めていた、こころの中の箱のふたを思い切ってはずし、中に入っているものをよく見るのです。
また、医師の指導のもと支援者とともに恐怖体験の場所に行くほか、起こったことと感じたことをすべて記録して嫌な記憶に直面する、などです。
そんなことになったら「自分は失神するだろう」「悪化するだろう」などと想像するでしょう。
そこで、しばらくじっとがまんをして、予想しているようなひどい結果にならないことを、身をもって理解します。
問題に直面しても抑うつや不安にならず、落ち着いた言動ができたことが自信になるのです。
からだとこころ編集チーム
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