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抑うつ、不安……根本治療にはならないのに、適応障害に「薬物療法」が必要なワケ

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「仕事をする気が起きず、出社がいやになってしまう」、「夜になると気持ちが落ち込み、眠れないし食欲もない」、「つらいできごとを思い出しては苦しくなって泣いている」……。

 

病院に行くほどではないけれど、不安や抑うつの症状があるのなら、適応障害になっているのかもしれません。

 

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適応障害とはストレスに適応できずに起こる、病気と健康の境目にある「状態」のこと。

 

症状が軽いため、ストレスがなくなれば6ヵ月以内に回復するといわれています。

 

しかし重症化すると、うつ病やPTSD、不安症など、ほかの病気に移行することもあるため油断はできません。

 

 この連載では『適応障害のことがよくわかる本』(貝谷久宣監修、講談社刊)から、全8回にわたり、適応障害の対策を立てるためのヒントをご紹介します。

 

今回は、適応障害の診断と適切な薬物療法について解説します。 

 

適応障害のことがよくわかる 第6回

診断は、うつ病や不安症などと比較しながら慎重に

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最初はがまんしたり、誰かに相談したり。

 

ストレスによる不調は、こうした段階で治ることが多くあります。

 

抑うつが続けばカウンセリングや医師を受診することを考えます。

 

 医師は、いろいろな精神疾患を念頭におきながら、患者さんの話を聞きます。

 

うつ病やパニック症ではないか、統合失調症など重い病態の前触れの症状ではないかと、常に考慮しています。

 

適応障害には、うつ病や不安症など症状が共通する病気が多くあるため、診断するうえでそれらの病気との違いをしっかり把握しなくてはなりません。

 

 適応障害の診断は、以下の2つの点から検討していきます。

 

 1)よく似ていても、うつ病、不安症、PTSDの診断基準を満たすほどではないこと。

 

 2)いわゆる心因反応、第三者がみても明らかな苦悩を引き起こすできごとがあり、それに心身が反応した状態であることです。

書き出して、原因のストレスをつきとめる

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適応障害の治療は、まず発症の原因になったストレスを明らかにするところからスタート。

 

適応障害は、ストレスが原因の病気ですから、ストレスを除くことがいちばんの治療になります。

 

 3ヵ月以内に、大きな環境の変化はなかったか。頭の中であれこれ考えるより、書き出してみるほうがよくわかるかもしれません。

 

整理するうちに、おおもとのストレスが別だったと気づくことも。 

 

原因のストレスがわかったら、解決するための行動へ。

 

解決可能なものならまわりに相談したり、環境を変えるなどしてストレスを物理的になくす方法を考えたりしていきます。

 

解決できないストレスなら、受け止め方を変えて気持ちを楽にするために、精神療法で徐々に回復を目指します。

 

 一方で、症状を軽くするための薬物療法も開始。

 

多くの症状をもつ適応障害では、病名以上に症状を重視して、薬を処方します。

 

加えて生活療法で日常生活のリズムをととのえます。

 

治療の目的は、社会生活が送れるようにすることです。

 

医師に治してもらうのではなく、自分で治していく意識が大切です。

 

 【治療は2本柱】 

 

●精神療法 医師やカウンセラーとのカウンセリングで進めていく。

 

●薬物療法 抑うつ、不安を軽減する。不眠の改善、気持ちの安定も。

つらい症状を軽減させるには適切な薬物療法で

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適応障害の薬物療法は根本治療ではありませんが、症状が軽減されると、日常生活が送れるようになります。

 

不安や抑うつが強くてつらいときには、主に抗不安薬や抗うつ薬を使います。

 

ただ、抗不安薬や抗うつ薬、睡眠薬、抗精神病薬を、それぞれ三種類以上処方することは禁じられるようになりました(詳しくは医師や薬剤師にお尋ねください)。

 

 一方、気分を安定させるには、文字どおり気分安定薬を使います。

 

また、抗精神病薬には不安・抑うつを軽減する作用もあり、症状が激しいときや長引くときなど、患者さんの状態に合わせて鎮静のために処方することがあります。

 

薬の種類も量も、まさにさじ加減なのです。 

 

薬を飲む際の注意点ですが、まず薬を勝手にやめないこと。

 

それまで服用していた薬を突然飲まなくなるのは危険です。

 

症状が再発しやすいだけでなく、それまで効果を得られていた量では足りなくなったり、断薬による副作用が出たりすることがあります。

 

症状がなくなって、薬がいらないと思ったら、必ず医師に相談してください。

 

 それから、他に服用している薬を報告すること。

 

他の病気で飲んでいる薬や、今までかかっていた病院で飲んでいた薬があれば、おくすり手帳を示すなどして、医師に伝えてください。

 

サプリメントも同様です。

 

一緒に飲んではいけない薬や、同じ効果をもつ薬が重複することがあります。

 

薬の名前がわからなければ、実物を持参しましょう。

 

 【不安や抑うつに】

 

 ●抗うつ薬

 

 抑うつを改善するだけでなく、不安感も軽減します。

 

効果が出るまでに時間がかかる薬が多い一方で、副作用はすぐ現れます。

 

服用を勝手にやめないこと。

 

副作用は、頭痛、吐き気、めまいなど。

 

 ●抗不安薬

 

 適用が広く、多くの種類があります。

 

できるだけ長時間作用型の薬を使用します。

 

短時間作用型の薬をくり返し使用すると、依存の危険性が大きくなります。

 

副作用は、眠気、倦怠感、注意力低下など。

 

服薬中は車の運転はできない。

 

使用を突然やめると、吐き気、耳鳴り、けいれんなど離脱症状が現れることがある。

 

 ●睡眠薬 

 

入眠障害、覚醒障害(目覚めが悪い)の人には超短時間型や短時間型、熟眠障害には中時間型を使用します。

 

 【気分の不安定さを鎮める】

 

 ●気分安定薬

 

 主に双極性障害に使用する薬です。

 

ささいなことに大きく反応するような、気分の不安定さを鎮めます。

 

もっとも多く処方されるリチウムの場合、消化器症状、体重増加、震えなど。大量に摂取すると脳や臓器の中毒症状、甲状腺の機能低下。

 

バルプロ酸には白血球減少、カルマバゼピンには生命にかかわる副作用もあるため、医師の指示を厳守して服用すること。

 

 ●抗精神病薬

 

 主に統合失調症に使用する薬ですが、不安や抑うつを軽減する目的で使うことがあります。

 

副作用は、手の震え、筋肉のこわばり、手や足が勝手に動いてしまう、足がムズムズするなど。

 

からだとこころ編集チーム

 

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