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「老後に貯金が必要」は大ウソ…和田秀樹「死ぬまで人生を楽しむために本当に必要な"たったこれだけの金額"」

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プレジデントオンライン

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/solidcolours

 

老後に必要なお金はどのくらいか。

 

医師の和田秀樹さんは「世間の人々は、不安、不安という言葉に惑わされて、必要もないのに貯金に励んでいるように見える。

 

しかし、厚生年金がもらえる予定なら、老後の資金としての貯金は500万円あればいい。

 

将来的に年金の受給額が減るという噂もあるが、年金が国の制度である以上、これから20~30年は、食べるのに困るほど減らされることはないはずだ」という――。

 

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 ※本稿は、和田秀樹『死ぬまでひとり暮らし 死ぬときに後悔しないために読む本』(興陽館)の一部を再編集したものです。

 

 ■「年金+500万円」、これだけあれば生きていける

 

  世間では、老後の心配を煽って、ことさらに貯金をすすめる風潮があります。

 

しかし、これは間違いです。

 

  実際のところ、老後にはほとんどお金がかかりません。

 

  誤解を恐れずにいえば、現在、そこそこの大企業に勤めていて、定年まで大過なく過ごす自信があれば、老後に備えた貯金は1円たりとも必要ありません。

 

  なぜなら、生活費を賄えるだけの年金がもらえるし、退職金ももらえます。企業年金にまで入っている場合は、生活費を賄ってもお釣りがくるくらいです。

 

  さらにいえば、介護保険を使えば、寝たきりになったときに入る有料老人ホームの入居費用もひとり当たり500万円程で済んでしまいます。

 

今は、これさえ取らないホームも増えているくらいです。

 

  ここで、老人ホームに入る場合にかかるお金の話を少し説明します。

 

  有料老人ホームに入居する場合、介護保険が使える要介護認定の下りた人であっても、月々のホームの家賃や食費は全額自己負担になります。

 

  額は、夫婦で入居したとしても、一般的なホームの場合、月に20~25万円というところなので、年金で賄える額です。

 

  「立ち上がりや歩行などが自力では困難で、支えが必要。排泄や入浴、衣服の着脱などに全面的な介助が必要。

 

いくつかの問題行動や理解の低下が見られることがある」という要介護3の人の場合、介護保険の利用限度額は月27万円前後なので、自己負担は約3~9万円でかなりのレベルの介護が受けられることになっています。

 

■要介護でなければ老人ホームは意外と安く済む 

 

 では、なぜ入居費用が500万円で収まるのかというと、有料老人ホームの価格破壊です。

 

  ホーム側からすると入居者からの家賃や食費に加え、介護保険からも安定した収入が得られることになります。

 

そこで、最初の入居時の費用を抑えめに設定したというわけです。

 

老人ホームも過当競争に勝たなければならない時代なのです。

 

  ただし、これは「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた「介護付有料老人ホーム」の場合の話です。

 

そのほかの施設は「住宅型有料老人ホーム」、「グループホーム」があります。

 

  住宅型有料老人ホームは、介護サービスを使っただけ自己負担額が増えるシステムなので、介護がほとんど必要ない高齢者は安く済みます。

 

  対して、寝たきりなどで多くの介護が必要になってくると、費用もかかってくることになります。

 

それでも、介護保険の範囲内のサービスなら、要介護5になって限度額いっぱいまで使っても、自己負担額はもっとも低い場合3万6000円程度です。

 

  公的機関が運営する特別養護老人ホーム(特養)は、待機者が全国で27.5万人といわれているので、かなりの入居待ちを覚悟しないといけません。

 

  それを考えると、民間の老人ホームを視野に入れておいたほうがいいでしょう。

 

立地やサービスがそれなりにいい老人ホームでも入居費用が500万円前後で済むところはたくさんあります。

 

 ■不安という言葉に惑わされて、必要もないのに貯金に励む人たち

 

  さらに高齢になり、ひとり暮らしが難しくなってきたとしても、このくらいなら、生活費を差し引いた年金の余りと退職金ですべて賄えるはずです。

 

そんなわけで「老後に備えた貯金は1円たりとも必要ない」のです。

 

  「大企業には勤めてないし」。

 

こう不安に思った人も、安心して下さい。

 

  結局のところ、寝たきりになったときに必要なお金は、やはり500万円です。

 

  ヨボヨボになるまでひとり暮らしを続けたとします。

 

いよいよ立ちいかなくなった。

 

そうなったときには、旅行に行くわけでもないし、習い事をするわけでもありません。

 

  普段の生活ができればいいのです。

 

厚生年金がもらえる予定なら、老後の資金としての貯金は500万円あれば大丈夫です。

 

心配は、杞憂に過ぎません。

 

  将来的に年金の受給額が減るという噂もありますが、年金が国の制度である以上、あなたが受ける頃であれば(つまりこれから20~30年は)、食べるのに困るほど減らされることはないはずです。

 

  私には、世間の人々が、不安、不安という言葉に惑わされて、必要もないのに貯金に励んでいるように思えてなりません。

 

■生活保護は元をとるだけのこと、活用すればいい

 

  それでも、万が一、生活が成り立たなくなったときには、生活保護を活用すればいいのです。

 

  「生活保護を受けるなんて恥ずかしい」などと思う必要はまったくありません。

 

私たちは、これまで相当な額の税金を払ってきました。ただ、その元をとるだけです。

 

  開き直ってセーフティネットを活用しましょう。

 

  これは知らない人も多いのですが、年金の額が厚生労働省の定める最低生活費に満たなければ、その差額がもらえます。

 

  年金暮らしで貯金がゼロという人は、積極的に申請するべきです。

 

また、車や持ち家も、それが「どうしても生活に必要」とみなされれば、生活保護受給者も特例で所有できるようになっています。覚えておいて損はありません。

 

  生活保護を活用すれば、医療費もタダになります。

 

入院費用も基本的にタダです。

 

もちろん、個室入院などはできませんが、タダはかなり大きなメリットでしょう。

 

  世界的に見ても、日本は福祉が充実しています。

 

遠慮深い日本人は、国のお荷物になってはいけない、などと遠慮して、当然の権利を手放しているのです。

 

  こんなにもったいなく、為政者にとって都合のいいことはありません。

 

  繰り返しになりますが、老後に必要なお金は、年金の不足分の生活費と、500万円です。

 

そのほかに、趣味に使うお金を確保できたら、充実した余生が送れます。

 

  寝たきりになるまでには、まだまだ時間があります。

 

やりたいことをガマンしなくてもいいように、自分の趣味に見合った金額を、各自で判断して貯金しておきましょう。

 

 ■70代から「高額サプリや健康食品」では遅い  60歳は分岐点です。

 

  美容や審美歯科、ホルモン補充療法、サプリメントと、これからも若さを保とうと思ったらお金がかかります。

 

  服を新調したり、美味しいものを食べに行ったり、旅行や趣味にいそしむのにもお金がかかる。

 

脳の老化予防のために勉強するのにも、恋愛や遊びをするのにもお金は必要になってきます。

 

かけられるお金があるなら、今こそかけるべきです。

 

  ヨボヨボになってから高額なサプリメントや健康食品を買い込む高齢者はたくさんいますが、はっきりいってちょっと遅い気がします。

 

70代になってから慌てても、効果はそれほど期待できません。

 

  それよりは60代、いやもっと若い頃から小出しにメンテナンスを行っておくほうが、若さを長く保てるし、病気や老化も防げます。

 

  老化を遠ざける生活を今から送っていれば、いきなり体や脳にガタがくることもありません。

 

結果的に老人になってからもお金がかからないのです。

 

  ガマンは老化を早めます。

 

老後に備えてお金をとっておこうと、ガマン生活、節制生活を送っている人は、気をつけたほうがいいです。

 

  ガマンの積み重ねで、ストレスがたまり、いざ老後がきてみたら、不健康で気力が湧かず、見た目もヨボヨボ、何もやる気が出ないということになってしまう可能性があります。

 

  「老後のために」と考えたはずが、それによって肝心の老後が灰色になってしまっては、意味がありません。

 

  最後の最後まで充実した人生を送るためには、ここがお金のかけどころなのです。

 

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 和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医 1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

 

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精神科医 和田 秀樹

 

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