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「動かない時間」が増えるほど疲労が残る…脳や心身に悪影響【科学が証明!ストレス解消法】
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【科学が証明!ストレス解消法】#170
世の中が便利になればなるほど、あまり動かずにいろいろなことができるようになります。
分かりやすい例で言えば、スマホがあればスマホ上からフードデリバリーを注文できるし、いつでも好きな音楽を聴くことができますよね。
少し前までは、自分で食べ物を買いに行かなければいけなかったし、曲を変えるためにプレーヤー機器まで移動しなければいけませんでした。
もっと言えば、もともと人類は獲物を追いかけたり、農作業をしたり、外で体を使って時間を過ごすことが多かったわけです。
便利な世の中になるほど、動かない時間が増えるとも言い換えられるでしょう。
クイーンズランド大学のオウエンらは、20~59歳のアメリカ人を対象に、一日をどのように過ごしているかを調査(2010年)しています。
その結果、起きている間の3%は運動(走る、スポーツをする、筋トレをする)などに。
そして、39%を軽い運動(歩くなど)に費やし、残りの58%は無運動状態(座ったり、寝転んだり、ただ立っている)と明らかにしています。
つまり、一日の半分以上は「動かない状態」という人がとても多かったのです。
ここに眠る時間が加わるため、24時間の中で「動いていない時間」の方が圧倒的に長いことが分かると思います。
前述のように、人間はせわしなく動いて活動をしていた生き物です。
じっとしている状態が続くことは、脳や心身に悪影響を与える──。
疲労につながることが判明しています。
例えば、ウィスコンシン大学マジソン校のエリングストンらは、女性を対象にした調査(2014年)を行い、座っている時間が短い人ほど元気と活力があり、疲れを感じにくかったと報告しています。
ある程度動き回っている人の方が、元気で疲れにくい傾向が分かったというのです。
また、ジョージア大学のペュエッツらによる研究も興味深いです。
この実験では、日常的に疲労感を抱いている健康な若者を集めて行われ、参加者を次のグループに分け、検証しています。
①中程度の負荷の運動をするグループ。
具体的には、6週間で18回ほどジムでランニングや軽い筋トレなど
②軽い運動をするグループ。
具体的には、6週間で18回ほどジムでウオーキングなど
③何もしないグループ
それぞれの疲労感について調べると、最も疲れが取れたと感じたのは②。
次に疲労が取れたのが①、もっとも疲労が残ったのは③という結果になりました。
この結果からも分かるように、何もしないでじっとしていることは、心身にとって良くない。
筋肉が硬直し、血流も悪くなり、結果的に脳も疲労してしまう。
あくまで軽い運動で構いません。
それこそ気分転換に散歩に行く程度でもいいでしょう。
便利だからといって、自分の半径1メートルで完結しない。
便利になるだけ脳も疲れる。そのことを忘れないように。
(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)
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