【以下ニュースソース引用】
UAさん「受け止めてもらえる友がある喜び」
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歌手
1972年大阪生まれ。母方の故郷は奄美大島。1995年デビュー。1996年発表のシングル『情熱』 …
「eatrip」を主宰する料理人の野村友里さんと、現在カナダの島で暮らす歌手UAさんの往復書簡「暮らしの音」。
全国ツアーを終えたUAさんから、野村友里さんへ。
UAさんからのお手紙は、今回が最後となります。
親愛なる友里へ
こちら、AJICOの全国ツアーを終えて、島に帰ってきたところ。
メープルの花は終わり、発光するような緑の花粉がトランポリンに降り積もり、息子が一緒に飛びはねています。
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東京の滞在先では、大きな柿の木が窓の側にあってね、着いた頃は、はげちょろびんだったけど、発つ頃には、きらっきらの若葉であふれていたの。
桜も芽吹いては散りゆきて、ちょうど、ひと春を過ごしていたのです。
あなたと会った夜は、春の風が強い日だったね。
カフェをはしごした後、静かな通りをしばらく歩いたりして。太平洋を股にかけて通う者にしては、あなたとの時間は気軽に訪れる。
けれど思い返すと、不思議なほど特別に感じる。
きっと、移りゆく旅路の中で変わらず「親友」と呼べる人だからだね。
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島は、視界のほとんどが緑色の季節。
母屋から離れたスタジオでこちらをしたためていると、窓にコツンと音がして振り向けば、恒例のツバメの巣立ち、華麗なる空中遊泳が繰り広げられています。
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さて、2017年から始まったこちらの往復書簡、この度でおしまいとなりますが、全くもって貴重な機会をいただいたものだと、感謝の気持ちでいっぱいです。
7年間の文通を通して、2人はまるで違うようでいて、結局、とても似ているんだってわかります。
表現するものや暮らし方は違えど、未来や世界に望む目線は共通なんだって。
あなたの話は基本、シンプル。私のは長いのね (笑)。
思いが募ってはみ出すうーこを文通相手に選んでくれたこと、それは私の人生において、もはや必然の出来事だったと思うのです。
あなたにだから、恥ずかしげもなく書かせてもらえた
沖縄で暮らした後、カナダに移住して、手付かずの農地に暮らし始めたタイミングでスタートした、こちらの“暮らしの音”。
私のテーマとも言える、「意識と無意識」「右脳と左脳」「見えるものと見えないもの」、それから「歌手と母」。
言葉にすると相反するような事柄について、その切ないぼやきを、あなたにだから、恥ずかしげもなく書かせてもらえた。
そして今、何となく、それぞれがきれいなグラデーションで混ざり合ってきたのです。
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食と種と免疫について、言葉とコミュニケーション、時間と夢、そして死や宇宙について、真剣に投げかけ合った7年間の言葉は、そこにそのまま留まって変わらないのね。
コロナ禍の経験から、核心に触れたい衝動もあった。
色々なお題を元に、別の引き出しを開けてるつもりでいたけど、ずっと同じことを書いていた気がします。
ところが、ところがね、そんな私たち自身は、すっかり変わってしまった気がしない?
再会する時によく、「全然変わらないね~」なんて言うけど、最近になって、それも何だか、おかしなことにさえ思うのです。
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7年のうちに、物質として細胞レベルでは何度も入れ替わった私たち、それでも明日また、「私」として目が覚める。
だけど7年前の朝より、「私」の世界のたたずみ方が随分変わったと実感しています。
例えば、目の前に見えることが、とても明るく幸せだとしても、そこに至るまでの長い苦労や壁は、並大抵ではなかったろうと思い量ることができる。
信じがたい苦境に立たされたとしても、きっとそこには何かしら肯定的な意味合いもあるのではと受け入れる。
また、先に旅立って逝かれた大切な人々の存在によって、有形無形の相互作用がハートに響くようになった。
つまりは表裏一体、ひとつなんだなぁ。
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そして何より、内観したことを言葉にして手放して、受け止めてもらえる友がある喜び、これに尽きますな。
予期せぬワクワク、いよいよ楽しめるように
24年前に結成したバンド、AJICOは、この春ようやく3度目の(正直)ツアーをいたしました。
友里も(内田)也哉子ちゃんと来てくれて、そう、ご覧の通り、理屈抜きに幸福だったのです。
若い頃は、心の視力がおぼつかなく、「左脳のつぶやき」に無用に苦しんでいたのだけど、近頃は、呼吸を意識して、右脳的感性を迎え入れるようにすると、予期せぬワクワクが待ってることを、いよいよ楽しめるようになってきた!
無意識を意識できるようになってきた、と言えるのかもしれない。
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はてさて、こちらの往復書簡は最終回となりましたが、あなたとの地球時間は、エピソード何番まで続くのかしら。漫才さながら、ますます笑いが増えることは間違いなさそうね。
あなたの心の静けさときらめき、仲間の心身に栄養を注ぎ続ける立ち居振る舞いは、うーこの一生のお手本です。
本当にありがとう、友里。
愛してるよ。
うーこ
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