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和田秀樹 やっぱり適正体重より<小太り>が長生きだった?日本に残存する「痩せ信仰」「食べないダイエット」が女性に命の危機をもたらす

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婦人公論.jp

 

 

(写真提供:PhotoAC)

 

厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、同居家族の介護をする人のうち約3割が60代だそうです。

 

そのようななか、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生は「本来、60歳からは<やりたい放題>の人生の始めどきである」と話します。

 

そこで今回は、和田先生の新刊『60歳から女性はもっとやりたい放題』から、第2の人生を「やりたい放題」生きていくためのアドバイスを一部ご紹介します。

 

【写真】「奥さんへの依存で夫婦関係は悪化する。本当に助け合わないといけなくなるまでは別行動すべし」と語る和田先生 

 

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 ◆小太りくらいがもっとも長生きできる

 

 「自分は太りすぎているから健康のためにもっと痩せなくてはいけない」という方はとても多いのですが、本当に痩せる必要がある人は実はごく一部です。

 

 肥満度を示す指標にBMI(ボディマス指数/ Body Mass Index)というものがありますが、これは「体重(kg)÷身長(m)の2乗」で導き出されます。

 

 WHO(世界保健機関)と日本肥満学会の判定基準では、このBMIが18.5~25未満が普通体重とされ、BMI22が適正体重とされています。

 

 例えば、身長が160cmの方であれば、47.3kg~64kg(未満)が普通体重で、適正体重は56.3kgということになります。

 

 逆に言うと160cmで64kg以上の人は「肥満」とされるので、このあたりの体重の人は「ダイエットしなければ!」という危機感を抱いているかもしれません。

 

 中には医者からも「体重を落とすように」と指導されているケースもあるかと思います。

 

 ところが、2006年にアメリカで行われた調査でも、2009年に日本で発表された研究結果でも、統計的にもっとも長生きするという結果が出たのは、WHO(世界保健機関)では「前肥満」、日本肥満学会の判定基準では「肥満(1度)」とされるBMIが25~30(厳密にはアメリカの調査では25~29.9)の人たちでした。

 

 身長が160cmなら64kg~76.8kg(未満)です。 

 

つまり、日本人の感覚からすると見た目には小太りに映るくらいの人たちが、もっとも長生きする傾向があることがわかったのです。

 

 

『60歳から女性はもっとやりたい放題』(著:和田秀樹/扶桑社)

 

◆太りすぎより痩せすぎのほうがリスクは高い

 

 だから「自分は太りすぎだ」と思っていても、BMIが30未満であるなら「健康のためにも痩せなければ」という強迫観念に駆られる必要はありません。

 

 年齢とともに代謝は落ちる傾向にあるので、同じように食べていても太りやすくなるのは自然の成り行きで、しかも統計的にはぽっちゃり体形のほうが長生きできることが実証されているのですから、痩せることにこだわらなくてもいいのです。

 

 高齢者の場合、むしろ心配なのは、BMIが18.5未満、身長が160cmなら体重が47.3kgに届かない人です。

 

 先ほどの日本の研究結果では、そのような「痩せ気味」の人がもっとも平均余命(40歳時点)が短いという結果が出ていて、アメリカの調査では「痩せ気味」の人の死亡率(一定期間に死亡する人の割合)は「太り気味」の人の2.5倍という結果が出ています。

 

◆日本女性の「痩せ信仰」

 

 日本の女性は長きにわたり、「痩せていることが美しい」という「痩せ信仰」にとらわれすぎていて、多くの女性にとってダイエットは当たり前の習慣になっています。

 

 海外ではそのような「痩せ信仰」に警鐘を鳴らすべく、痩せすぎのモデルを規制する動きが広まっていますが、日本ではまだそのような気配はありません。

 

 だからいまだに多くの女性は食べたいものを我慢して、少しでも痩せようと頑張ってしまうのです。

 

 近年不妊に悩む女性が増え続けているのも、若い頃から無理なダイエットを続けているせいで、栄養不足が常態化しているのが原因ではないかという声もあります。

 

 それでも若い頃なら体力があるので、多少栄養が足りていないとしても、拒食症のような極端な場合でなければなんとかやっていけるのかもしれません。

 

◆高齢者の「食べないダイエット」は命を縮める

 

 ただし、栄養不足による体へのダメージは年齢を重ねるほどに大きくなります。

 

 つまり、「痩せ気味」の人の寿命が短くなるのも、痩せていること自体に問題があるというよりも、痩せようとするあまり十分な栄養が摂れていないことに原因があるのではないでしょうか。

 

 もちろん十分な栄養が摂れていないことによる、肌や髪の艶がなくなるとか、シワが増えてやつれた印象になるといった美容面での問題も、高齢になるほどより顕著になります。

 

 また、食は人間にとってかなり大事な楽しみなので、それを制限することはかなりのストレスを伴います。

 

 そもそも過食もストレスが原因なので、無理なダイエットをすれば、かえって太りやすくなるという面もあるのです。

 

 つまり、60歳以降の女性の場合は特に、無理して痩せたところでいいことなど何もありません。

 

 少なくとも「食べない」ダイエットは厳禁だと考えてください。

 

 ※本稿は、『60歳から女性はもっとやりたい放題』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

 

和田秀樹

 

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