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あなたがいま感じている「不安」の種類は何か? 精神科医が心理学と脳科学から説明
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Illustration: Fanatic Studio / Gary Waters / Getty Images
不安は人の心身に大きく影響し、人生を変えてしまうほどの力を持つ。
不安になったら、われわれはどうすればよいのか。
米メリーランド大学医療センターの精神科医・精神分析家が、米紙「ワシントン・ポスト」でわかりやすく解説する。
誰かが自分の精神に「毒を盛った」みたいだとその患者は表現した
圧倒されるほど強烈な不安を覚えることもあるだろう。
深刻な不安を抱えたある患者は私にこう言った。
「安心に感じるものは何もなく、この世界に大人はひとりも残っていないと感じるのです」 また別の患者は、誰かが自分について批判的なことを言ったと思うと、きまってひどく不安に感じるという。
誰かが自分の精神に「毒を盛った」みたいだとその患者は表現した。
その言葉をたびたび反すうして、それ以外のことが何もできなくなったり、考えられなくなったりするからだ。
この患者は精神が落ち着くまで、ひとりになって、仕事を休まざるをえなくなった。
こうした特定のことをきっかけに、心配とストレスが次々と押し寄せてくると、われわれはそれに固執し、その意味を誇張し、精神と身体を過度に働かせ続ける可能性がある。
そうなると、状況を切り抜ける道を考えることが難しくなりうる。
われわれの思考は感情に駆られ、ネガティブで、反復的で、変わりにくくなってしまうかもしれない(「固執的な認知」と呼ばれるものだ)。
神経生物学的には、不安に陥っているあいだ、「感情的な脳」(感情的な反応の質と強さを決める、へんとう体などの部位)が過剰に活性化し、「思考的な脳」(へんとう体の活動を制限することに関与する前頭前野皮質内の部位など)より優位になる。
不安が増すにつれ、われわれは、柔軟な思考を可能にする前頭前野の部位を活用することが少なくなる。
そうなると、へんとう体が優位になり、他の部位を刺激して、コルチゾールやノルアドレナリンなどのストレスホルモンが放出され、身体と精神は認識された脅威に備えるのだ。
この警戒状態と硬直した思考に生活を支配されると、われわれは落ち着きを感じることが難しくなり、絶え間ない心配状態に陥る。 不安は睡眠も妨げうる。
こうした悩ましい思考を夜に振り払うのは難しいからだ。睡眠が制限されたり寸断されたりすると、われわれが何とか眠っているあいだ、脳はネガティブな経験や恐い記憶を強固にすることを優先しがちになる。
そうなると、悲観的な見通しが強められうるのだ。
多くの患者が、起床時に不安が最大になり、これから始まる一日を怖く感じると訴える。
不安の表れ方は多くあり、人の経験は特定のカテゴリにぴったりはまらないこともよくある。
とはいえ、一般的な不安の感じ方というものがあるので、そのいくつかを以下で紹介しよう。
1. 社会不安
社会不安において、われわれは非難されることを心配し、他者が自分を詮索しているのではないかと想像してしまう。
そうした信念は、「ネガティビティバイアス」によって増幅されうる。
このバイアスが、他人の実際の意図や考え方に対する認識を妨げ、ゆがめられた信念を強固にする。
その結果、われわれは他者に自分をさらけ出すことを抑えるようにして行動し、自分に注目が向きすぎてしまうような、社会的な交流や状況を最小限に留めるかもしれない。
恥をかくことへの恐れがひどければ、われわれは最後の手段で、すべての社会的な関わりを避けるかもしれない。
社会不安に苦しむ患者たちのなかには、リモートワークの機会を与えられて安心したと語る人もいた。
2. 全般性不安
全般性不安においては、いくつかの繰り返される状況やストレス要因(仕事や家庭での義務、締切、請求書など)があり、そのために心配状態が持続することがある。
全般性不安は、筋肉のこわばりや倦怠感、そわそわするなどの身体に関わる症状も特徴とする。
ほかの種類の不安は具体的なストレス要因によるものである場合が多いが、全般性不安はより漠然と感じられ、ひとつのことにすぐには結びつかないような不安感が続く場合がある。
全般性不安がある患者たちがよく訴えるのは、「すべて、何でも」が心配のタネであり、満足のいく対処方法を見つけるのが難しいということだ。
Christopher W.T. Miller
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