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孤独死は理想的な死に方である…和田秀樹「ベタベタとした人間関係をさっぱり捨てる」ことの意外な恩恵

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プレジデントオンライン

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hanafujikan

 

孤独に対する不安を解消するには何をすればいいか。

 

精神科医の和田秀樹さんは「孤独が怖いと感じている人も、いずれ孤独になるときが来るかもしれない。

 

いまのうちから、1日の中に、誰ともつながっていない時間を意識的につくるなど、孤独な時間を楽しむことに、少しずつ慣れておくといい。

 

ひとりの時間に親しむうちに、孤独に対する怖れが薄らいでくるはずだ」という――。

 

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 ※本稿は、和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

 

 ■孤独死はある意味で理想的な死に方とも言える

 

  「孤独になりたくない」という声がよく聞かれる一方で、孤独が好きな人もいます。

 

  ひとりで映画を観たり、本を読んだりするのが好き。

 

人と関わるのが煩わしくて、ひとりでいるのが一番ほっとする。

 

そんな人は少なくないと感じます。

 

  脳の老化予防という観点では、人と会って話すことは大事なのですが、孤独が好きな人が、無理にでも友達づき合いをしたほうがいいなどとは思いません。

 

いわゆる「孤独死」はしたくない、と言う人も多いのですが、私は孤独死が悲惨なものだとはまったく思っていません。

 

  一人暮らしで誰にも看取られず亡くなり、死後数日経って発見されるということは、死の直前まで元気だったと推測されます。

 

  いまは要介護認定を受けた高齢者であれば、ほぼ例外なく何らかの福祉サービスにつながっていて、日常的に介護ヘルパーなどの訪問を受けます。

 

したがって、病気で寝たきりの高齢者などは、孤独死したくてもできません。

 

  そう考えれば孤独死は「ピンピンコロリ」、つまり直前まで比較的元気に生きて最期を迎える、理想的な死に方とも言えるのです。

 

■孤独に対する怖れが薄らいでくる方法

 

  ただ、「自分は孤独が好きだから、絶対に人とは交わらない」とか、反対に「自分は友達がいないとダメだから、人と交流しなければいけない」などと、決めつけることはしないほうがいいと思います。

 

  誰しも、ひとりが気楽だと思えるときもあれば、ふと人恋しくなることもあります。

 

ずっとひとりでいる必要もなければ、つねに誰かとベタベタ一緒にいる必要もありません。

 

寂しいと感じたときに会える相手がいれば、それでいいのではないでしょうか。

 

  孤独が怖いと感じている人も、いずれ孤独になるときが来るかもしれません。

 

それなら、いまのうちから、孤独な時間を楽しむことに、少しずつ慣れておいてもいいかもしれません。

 

  1日の中に、誰ともつながっていない時間を、意識的につくってみてください。

 

  ひとりで街を歩き、公園でぼんやりしたり、書店に入り浸ったりしてみる。

 

夜の10時以降はひとりの時間と決めて、自室で好きな映画のDVDや動画を観る。

 

  そんなふうに、ひとりの時間に親しむうちに、孤独に対する怖れが薄らいでくるはずです。

 

 ■誰かと濃密につき合っていると、他人が入り込む余地はなくなる

 

  いまの人間関係で、「離れるのが不安」と感じる相手、もしくはグループは存在しますか?

 

  その人、あるいはそのグループから離れたら、自分はひとりになってしまう。

 

それが不安だから離れられないのだとしたら、少し考えてみてください。

 

  その人(たち)と一緒にいれば、不安がないかといえば、そんなこともないはずです。

 

  相手が離れていってしまったらどうしよう。

 

嫌われたらどうしよう。自分だけ仲間はずれにされたらどうしよう。

 

  結局、いつもそんな不安がつきまとっているのではないでしょうか。

 

それはとても不自由で、窮屈な状態でもあると思います。

 

  誰かとベタベタとくっついていると、そこに他人が入り込む余地はなくなります。

 

  四六時中くっついているカップルのことを、他人は遠巻きに眺めて、誰もわざわざその間に割り込もうとはしません。

 

それと同じで、誰かと濃密につき合っていると、ほかの人は入り込めないものを感じて、あえてこちらと関わり合いを持とうとはしてこないものです。

 

  すると、おのずと人間関係は固定されてしまいます。

 

新しい出会いもなく、自分の世界が広がることもありません。

 

■孤独という自由が、相手を受け入れるゆとりをつくる

 

  離れるのが不安な相手から離れる。

 

それは、とても勇気のいることです。

 

それでも、離れれば、そこに必ず新鮮な空気が流れ込んできます。

 

  ベッタリとくっついていたところから離れれば、必然的に隙間(すきま)が生じます。

 

そこに、何かしらのものが流れ込みます。

 

  それは必ずしもいいものばかりではなく、たとえば寂しさや不安といったものかもしれません。

 

でもそれは、新鮮な寂しさであり、新鮮な不安であるはずです。

 

  「ひとりになったらどうしよう」。

 

いままでそんなふうに怖れていた、「ひとりになる」ことを、自分から選び、向き合ってみる。

 

それによって、初めて感じられるものがあります。

 

  ひとりの時間ができて、誰にも気兼ねせず、好きなことができる。

 

特定の人に気を遣う必要もない。

 

どんな人間関係も、自分の意志で選べる。

 

そんな自由や解放感、ワクワクした気持ちを味わえるはずです。

 

  「ひとりになったらどうしよう」という不安は、ひとりになれば消えます。

 

ひとりになることでもたらされる、心と時間のゆとりが、新たな人との出会いを受け入れる素地になるのです。

 

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 和田 秀樹(わだ・ひでき) 精神科医 1960年、大阪市生まれ。精神科医。東京大学医学部卒。ルネクリニック東京院院長、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師。2022年3月発売の『80歳の壁』が2022年トーハン・日販年間総合ベストセラー1位に。メルマガ 和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」

 

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精神科医 和田 秀樹

 

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